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「今日のスケジュールなんですけど〜一旦客室に戻って着替えてもらってから、第一部隊の方に来てもらってもいいですかね〜?」


シリウスさんの話によると、一応第一部隊の配属になっているので、先に挨拶をして回るそうだ。愛と望も連れていくそうだ。第一部隊は研究を主にしているらしいので、どんなことをやっているのか気になる。とても楽しみだ。

挨拶回りが終わった後は、今後のスケジュールを決めていくらしい。


「そういえばサラさんは書物の管理がメインでしたよね?シリウスさんとルウさんは何をしてるんですか?」


「私たちは団員の研究結果を報告してもらって、まとめたり、アドバイスしたりが主な仕事ですかね〜」


うーんと、シリウスさんが考えながら話してくれた。

ルウさんは少しムッとしている。


「…隊長はだいぶ自由に過ごされてますけどね!」


日頃の鬱憤が溜まっているらしいルウさんは棘のある言い方でシリウスさんの仕事ぶりに言及した。

私もその自由にしているところの原因ではある気がするので、すみませんという気持ちだ。

ハーバリウム作る時だって半日使って遊んじゃったし。


「だって自分でやる方が確実だし、成果が出るの早いじゃないですか〜。」


「それじゃ、下が育たないでしょう!?それに書類の整理だって立派な仕事です!!」


「ルウは真面目ですね〜。」


「私の立場ならば当然です!!」


なんだか言い争いのようなものが始まってしまった。ルウさんイライラしてるから巨大起き上がりこぼしをプレゼントしてあげよう。

ライドンさんは補佐なのだが、実際は他の研究をしているそうだ。しかし、シリウスさんが暴走することがあるので、補佐という形でサポートに回ってもらっているらしい。ライドンさんも優秀な研究者だそうだが、最近は補佐の業務にかかりっきりだそうだ。

今度ライドンさんの研究も聞いてみたい。理解できるかは分からないが、ライドンさんなら丁寧に教えてくれそう。




そんなことを話していたらあっという間に客室に着いた。

そういえば一応ではあるが、隊員になったのだからいつまでも客室を使っておくわけにはいかないのではないだろうか?

後でミルドレッドさんに聞きに行かないと。てか、巨大起き上がりこぼしも回収しないと。

部屋の中ではライドンさんとサラさんもいて、子供達の面倒を見てくれていた。


「お疲れ様でした。遅かったですね?」


サラさんは心配していたようだ。事の経緯を話すと、サラさんは私らしいと笑ってくれた。

サラさんといると心がほっこりする。

愛と望はライドンさんにお馬さんになってもらったようで、順番に乗せてもらっていたようだ。体を張ってもらって申し訳ないが、二人とも楽しそうなのでとてもありがたかった。


「あ、第一部隊って結構広いですか?」


第一部隊に挨拶しに行くのに、愛が疲れてしまわないか心配だった。望はベビーカーがあるから大丈夫だが、愛はさっきの緊張で精神的にも相当疲れただろうと思ったのだ。その状態でたくさん歩かせるのは体力的にも心配だったし、絶対にぐずってしまって挨拶どころでは無いと思う。

ルウさんから聞いた限りでは結構広そうな感じがしたので、私はまたスキルを発動して愛と望が二人一緒に乗れるものを出現させた。

アウトドアで使えるキャリーワゴンだ。保育園では避難車とか呼ばれてるような、自分でいっぱい歩けない子を乗せてお散歩で使うやつ。今後出番が多そうなので折り畳みもできるようなものを出した。


「わ!おさんぽのやつだー!」


愛は小さい頃から保育園に通っていたので、身近にあったものだから嬉しそうにしていた。今日はこれに乗せて挨拶回りをしようと思う。


「これは比較的こちらにある材料で作られてますね。」


ルウさんがじっくりと観察しながらキャリーワゴンを分析している。

そうなのだ。このキャリーは金属と布でできている。金属は普通にこちらにもある。問題は車輪の部分だと思う。しゃがんで車輪部を見ると、車輪の部分は少し柔らかめのゴムのような素材でできていた。

これは一体なんだろうか?


「これ、スライムじゃね?」


ライドンさんがふにふにとタイヤをつまみながらそう言った。

またスライム!!

こちらのスライム万能だな!!

私にとってはスライムは希望の光だ。

スライムについて知りたい。


「あの、魔物?って言うんですか?それに詳しい人っていますか?」


「え?ああ、俺かなぁ…」


「ええ!?ライドンさんが!?」


実はライドンさんは動物系が得意分野らしい。本当は普通の動物が好きらしくて、それを突き詰めて調べてたらしいが、魔力を持たない動物と魔力を持つ動物である魔物とでは切っては切れない関係らしく、いつの間にか両方に詳しくなってしまったらしい。

こんな近くに素晴らしい人材がいたなんて!!


「スライムって量取れますか!?」


「いやーそもそも今あんまり魔物出てねーから。量取るのは難しいかも。」


そう簡単にはいかないか。

量が取れないとなると、材料がないということだから、運良く手に入れたとしても作れる数量も限られるし、原価が上がってしまって、オムツなどを作っても結局値段が高くなってしまう。そうなってしまったら売れるものも売れない。

どうしたもんかと考えてみる。うーん。


「スライムの生態ってどれくらいわかってるんですか?」


「ほぼ水分で、なんでも食べるって事かな…細かく分けると結構種類いるけど、大差はないね。攻撃は液体を吐き出して攻撃することもあれば、体当たりとかしてくることもある。」


「増え方はどうですか?雌雄は?」


「雌雄はない。分裂だったと思うけど…なんでそんなこと?」


ライドンさんはピンと来ていないようだ。


「スライム養殖できません?」


そうなのだ。養殖がうまいこと行けば、安定した量を長期的に取ることができる。餌代や施設費などかかってしまうお金もあるだろうが、スライムを使った商品化ができるとなればきっと元は取れるはずだ。

それを聞いた魔術師団の皆様はドン引きしている。ライドンさんは目を輝かせていた。


「めっちゃ面白そうじゃん!!」


「でしょ!?私これ研究したいです!!」


「ちょっと!?ヒカリさま!?」


ルウさんは青い顔をして慌てているが、私がこの世界で商売するにはスライムは必要不可欠なのだ!!!

ライドンさんという強力な助っ人を手に入れた私は飛び跳ねて喜んだ。


「ヒカリ様〜ライドンを引き抜かれると僕も困るんですけど〜」


「シリウスさんが仕事しない分、補佐にライドンさんがついてるなら、シリウスさんが仕事すればいいんじゃないんですか?」


私はライドンさんを手放すつもりはないぞ、とライドンさんの役職と、シリウスさんの仕事ぶりについて触れた。

ルウさんは確かにと頷いてるし、ライドンさんは笑いを堪えていて、サラさんは顔を青くしてる。シリウスさんは笑みを浮かべながら黙っていた。


「…まぁ今後のことは改めて話し合うとして〜。」


あ、誤魔化した。

絶対私は諦めないからねー!!!

ここにきてやっと見えて来た突破口を逃すわけにはいかない。珍しくやる気になった。

このまま私とライドンさんが話し続けると終わりそうにないと思ったのか、シリウスさんはささっと愛と望をキャリーワゴンに乗せて行きますよ〜と強引に移動し始めた。

仕方ないので、ライドンさんとアイコンタクトでまた今度話し合おうねと伝え合った。


読んでくださり、ありがとうございます!

評価、ブックマーク、感想もありがとうございます!!

嬉しいです〜!!

また、誤字報告もありがとうございます!たまにとんでもない間違いをしているので、報告いただけて助かっております!

これからもよろしくお願いします!

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