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「すみませーん、ヒカリ様いらっしゃいますかー?」
扉の外から私を呼ぶ声がしたので、エリックさんと、チャーリーさんと一緒に衣装部の皆さんがいるところに顔をだした。
すると、そこにはライドンさんがいた。
「お!兄ちゃんもいるじゃん!」
ライドンさんがニコニコ笑いながら手を振ってくる。
「エリックさん、弟さんなんですか?」
あまりにも似てないのでびっくりした。エリックさんはキョトンとした後盛大に吹き出す。笑いすぎて立ってられなかったのかその場に蹲り、肩を震わせている。
「ち、ちが….!!」
「え!?血!?」
エリックさんの途切れ途切れの言葉に耳を傾けるが何言ってるか分からない。一体どうしたのだ。
オロオロしてると、チャーリーさんがため息をついた。
「ライドン、お姉様とお呼び。」
「なんでよ、兄ちゃんじゃん。」
えええええええ!?
なんとまさかのチャーリーさんの弟さんだった。
こちらも似てない…でも思い返せば感受性豊かなとことか似てると思ったかも。
衝撃の事実の発覚に頭が追いつかないが、ライドンさんとチャーリーさんは気にせずに話し続けていた。
「あ、そうそう!ヒカリ様、今日の午後はスキルの研究だって!謁見の前にある程度知ってた方がスムーズだろうってことで!」
「え、はい、分かりました。」
第一部隊の研究室の一室をお借りして、召喚時にいたメンバーにミルドレッドさんを加え、私のスキルについて分かることを増やすらしい。
何をやるか分からないが、少しこわい。
今私が持っているスキルがどんなものを生み出せるのか不安だった。
とんでもないものを作り出してしまったらどうしよう。こわい。
不安が顔に出ていたのか、チャーリーさんが背中をバシッと叩いてきた。
衝撃でよろめく。
「しっかりなさい。こいつもいるから大丈夫よ。」
「う…はい。」
痛む背中をさすりながら涙目で返事をする。痛すぎるよー!!
「衣装の方はもう良いわよ。大体はもうこれで決まりだし、ヒカリが着た感じで飾り付け足した方が似合うと思ったから、肩じゃないところに飾緒ちょっと足しとくわ。」
「分かりました。お任せします!楽しみにしてますね!!」
今のままでも十分素敵なのに、これ以上綺麗になるなんて!!楽しみだ!!
私の期待の目を見て、チャーリーさんは微笑みながら頭を撫でてくれた。
「…さっきはからかってごめんなさいね。」
ライドンさんの衝撃でスッカリ忘れていたが、そんなこともあったな。
全然気にしてないと言うと、小さく、そう…と呟いた。
もう帰って良いとのことで、ライドンさんと一緒に先に退室することになった。
完成した服は明後日の朝一で持ってきてくれるらしい。お願いして、エリックさんとチャーリーさんに手を振って衣装部を後にした。
「ついつい、忘れちゃうけど、あの子母親なのよねぇ…」
「そうだねぇ、可愛い娘さんが2人もいるよ。」
「見た目はお子様なのにね。なんだか悪いことしちゃったわ。」
「僕もちょっとはしゃぎすぎちゃったよ。シリウスとは長い付き合いだしさ。」
「旦那さん、かぁ…」
「難しい話だよね。」
「ままならないわね…」
私たちを見送ったチャーリーさんとエリックさんは、静かに反省会を開いていたそうな。
私はライドンさんと一緒に客室に戻る。そこにはエリックさんにもらったらシロと一緒に遊ぶ娘たちの姿があった。それを見たライドンさんはちゃっかり仲間に入れてもらっている。
「午後はシリウスさんのところで私のスキルの研究だそうです。」
「かしこまりました。」
アンネさんとダリアさんに午後の予定を伝える。まだお昼まで少し時間があるので、私もシロとの遊びに加えてもらった。
望は私の上に登ってきてコアラのように抱きつく。愛はライドンさんのことを覚えていたのか、ライドンさんと一緒にシロの観察をしている。
そんな二人の様子を見てて、ふと思い立ったので、ノートとペンをとって鳥籠を描いて出現させた。
「シロのおうち!?」
「そうだよー入れてあげてみて!」
シロは素早く動くので愛には捕まえるのが難しく、ライドンさんが捕まえてくれて、そっと鳥籠の中に入れてくれた。
突然狭い鳥籠の中に入れられたシロは戸惑っているのか、バタバタと羽を動かしながら鳥籠の中を飛び回っていた。ハンカチで出来た鳥なので食事をするわけでも、糞をするわけでもないので、鳥籠は必要ないけれど、夜も室内に自由に飛び回るので鳥籠があってもいいだろう。
お世話をする!と張り切っている愛を撫でると、ちょうど昼食の時間になったのだった。
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