表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/171

レポート書いてみた



部屋に戻ると娘たちはお昼寝していた。思いっきり遊んだようで、アンネさんたちもやや疲れが見える。

普段保育園に行っていたので、私と離れているのには慣れているんだろう。

しかしそうなると尚更家庭教師やら遊び相手やらを考えて、早めに対応しなければならないな…


子供たちはぐっすりと寝ているので、その間に今日あったことをまとめるためにレポートを書こうと思う。





------------------------------

『スキル報告書 -衣装部-』


・第三部隊長エリックさんと、衣装部チャーリーさんと衣装の打ち合わせにて衣装デザインを作成


《スキル発動》

ノートに描いたドレスなどを出現させた。専門家(衣装部 チャーリーさん)に細部まで確認してもらったところ、品質に問題はない。材質は不明。


描いたもの(合計9着)は全て簡単なデザイン図なので、着色はしていない。

しかしながら、出現したドレスには全てに色がついていた。


そこで、異なる色合いを想像しながら同一デザインで描き直したところ、色違いの衣装が出来上がった。

以上のことから、スキルを用いて作ったものは、想像したものと、描いたもので深い繋がりがあるといえる。


------------------------------




今日あったことをまとめると、ざっとこんなもんだろう。最初に出したドレスのことや、学ランのことなど細かく書いていったらキリがなさそうなので大まかなとこをまとめて書いた。

もし、突っ込んで聞かれたら書き足せばいいだけの話だ。


書き終えたレポートをそのままに、子供たちの寝顔を見に行く。

陛下との謁見が終われば、自由な時間が取れるだろうか?

子供たちと、サラさんやダリアさん、アンネさんと一緒にピクニックにでも行きたいな。

ここの外の世界がどんな様子なのか、まだ見たこともない。

きっと日本とは違う風景が広がっているのだろう。

楽しみな気もするが、少し怖い気もする。


魔法が使えたり、洋服が違ったり、現実味がなかなか無い日々を送っているが、いろんな人に支えられながら不自由なく過ごさせてもらっている。

だからこそ、実際にここで生きている人々の暮らしを見たら、きっと、改めてここで生きていく覚悟をしなければならないのだろう。

それが怖い。

いつまでも、お客様気分でいるわけにはいかない。

ぼんやりと考えていたら、いつのまにかわたしも寝てしまったようだ。




「あーぶ!」


「痛ー!!!」


顔面に衝撃が来た。

痛過ぎて涙目になりながら様子見ると、望が私の顔面をバシバシと叩いていた。

赤ちゃんの力だと思って甘く見てはいけない。加減ができないのでめちゃくちゃ痛いのだ。


「のんちゃん…痛いわ…」


ノロノロと体を起こして、望を抱き抱える。

望はにやっと笑って満足そうにしていた。


「ヒカリ様、目が覚めましたか?晩御飯の用意ができております。」


ダリアさんがひょっこりと顔を出して教えてくれた。


「え!なんも手伝わずに申し訳ありません…」


「いえいえ!私たちの仕事ですから!」


昼寝をしていただけなので申し訳なくて、ぺこぺこと頭を下げながら食卓につく。

今日も豪華な食事をありがとうございます。

愛もまだ目覚めたばかりなのか、ぼんやりしながら、オレンジジュースを飲んでいた。

果物や野菜は基本的に日本にあるものと同じだ。名称は違うものもあるようで、なんのことを言ってるのか分からないこともある。


「手を合わせてください。いただきます!」


日本にいた時の習慣のまま、食前の挨拶をして食事を始めた。

今日は、サラダとハンバーグ、パンにスープ、フルーツ盛り合わせだ。

どれもこれも美味しくて、顔が緩んでしまう。


ご飯を食べていると、コンコンとノックの音がした。

アンネさんが扉を開けて確認すると、シリウスさんが来たようだ。

シリウスさんも一緒に食事するらしい。


「シールス!おかーりなさい!」


「おかえりなさーい。」


ご飯を食べながらそういうと、シリウスさんは少々びっくりしてから、ふんわりと笑った。


「ただいま帰りました。」


マントをアンネさんに預けて席につき、シリウスさんもご飯を食べ始めた。


「あ、今日あったことレポートにまとめておいたので、食べ終わったら確認してもらえますか?」


「おや、今見せてもらってもいいですか〜?」


食事中にいいのだろうか?と思っていたら、アンネさんが持ってきてくれた。流石です。

シリウスさんはレポートを受け取り、確認し始めるとすぐに顔を上げた。

何か変なこと書いてあったのかと心配になる。


「ヒカリ様…よ、読めません…」


シリウスさんはとても言いづらそうにそう言った。


わ す れ て た


こっちは言語が違うのだった。

私が書いたレポートは日本語で書かれている。

口語が伝わっていたから、文字が全く違うことがすっかり抜けていた。

なんと無駄なことを!!


「すみません!!」


「いえ…むしろそうやって報告しようとしてくれたことが嬉しかったので〜」


シリウスさんはクスクスと笑っている。自分の間抜けさが恥ずかしくて、誤魔化すようにご飯を頬張った。

読んでくださり、ありがとございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ