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今回お説教されるのはシリウスさんです




客室に戻ると、子供たちは食事をすでに終えており、ダリアさんに絵本を読んでもらっていた。サラさんは仕事に戻ったそうだ。


「あいちゃんも、じてんしゃのりたかったのに!」


愛にも怒られるが、私は吐き気と格闘中でそれどころではない。

ぐったりしている私を見て、シリウスさんはスッキリした顔をしている。

くっそ…殴りてぇ…

愛には今度、愛サイズの自転車を出してあげることを約束して宥める。

望には三輪車を出してあげよう。


「しかし、ヒカリ様もとんでもないお転婆なんですねぇ!」


アンネさんは私の足を治療しながら豪快に笑っている。

素足で自転車を漕いでいたので少し傷ができていたようだ。全然気が付かなかった。

大したことないので治療するまでもないと思うが、気持ち悪くて抵抗もできないので、ありがたくやってもらう。


「あの二つ縛りのお嬢さんのことなら、私たちも存じ上げておりますよ。」


ええ?

シリウスさんは知らなかったのか、びっくりした顔をしている。


「なぜ、アンネたちが知っているんです?」


シリウスさんがアンネさんたちに尋ねると、アンネさんは呆れたようにため息を吐いていた。

ダリアさんは苦笑している。


「あの方、私たちが坊ちゃんの家のメイドだと知ってて、話しかけてきたんですよ。坊ちゃんのこと色々教えろってね。雇ってくださってる方のことペラペラ話すとでも思ったんですかね。何も話さないと言ったら、怒って行っちゃいましたよ。」


まさかアンネさんたちにまで詰め寄っていたとは思わず、唖然とする。

いつもはヘラヘラしているシリウスさんも考え込んでいるようだ。


「坊ちゃんがしっかりしてればこんなことにはならなかったんですからね!!」


「僕ですか!?」


この状況で自分が責められるとは思ってなかったようだ。


「あんな気が強そうなお嬢さんに大切な客人なんて言ったら、火に油を注ぐようなもんです!ミルドレッド様に派遣するように頼まれたのは事実なんですから、ミルドレッド様の客人と言ってもよかったでしょうに!わざわざ自分と関係あるように言わなくてもよかったんですよ!!」


「ぐ…」


「それで収まらないから、処刑ですって!?そんな風に庇ったら余計に角が立つでしょう!」


「そ、そういうものなのでしょうか…」


「そうですよ!それが余計にヒカリ様を危険に晒すのですよ!?

ヒカリ様がしたことは確かに無鉄砲ではありましたが、坊ちゃんがちゃんとしておけばヒカリ様もあんなことしなくてよかったんですからね。」


「しかし…」


「お黙りなさい!全く坊ちゃんは体ばっかり大きくなって!!」


アンネさんには頭が上がらないのか、シリウスさんは言われっぱなしだ。

オロオロしている姿をみると気の毒になる。


「アンネさん…もうその辺で…」


よろよろと手を伸ばすが、アンネさんは止まらない。


「ヒカリ様は事態を収めて下さろうと無茶をなさったんですよ!?それなのに罰を与えるみたいに転移魔法使って具合悪くさせて!!もう少し考えて行動してくださいな!!」


「えっと〜…」


「なんですか!?」


流石にそろそろ終わらせたいので、話を変えることにした。


「アンネさん!私、ドレスを汚してしまったので着替えさせてもらってもいいですか!?ダリアさんに手伝ってもらいたいので!!愛たちのことお願いしてもいいですか!?」


強引に話に割って入ると、シリウスさんはあからさまにホッとした表情になった。アンネさんの怒りはまだ鎮まっていないようだが、渋々ダリアさんと交換してくれた。

愛は早速ダリアさんとお絵描きをしたいようでおねだりしていた。

望はいつも間にか積み木を貸してもらったようで、積んでは壊してを繰り返していた。


「ヒカリ様、助かりました…」


「いいえ…もう転移魔法はやめてくださいね…」


「善処します…」


シリウスさんと私は2人で大きなため息をついた。




ダリアさんは色々なドレスを提案してくれたが、足が痛くてヒールのある靴はもう履けそうもない。お願いして、ドレスではなく、ミルドレッドさんが用意してくれた魔術師団の服を着ることにした。靴もブーツに履き替えた。

ドレスよりも遥かに動きやすい服装で満足だ。

ダリアさんはちょっとざんねんそうだったけど。


やっと落ち着いたので、私も愛のお絵描きに参加しようとしたが、もしかしたらスキルが発動してしまうかもしれないので、見るだけにした。

愛とのお絵描きの時間は、私にとっても大切な時間だったので残念だ。

今度色々な物を描いて、スキルがどんなものに反応するのか確かめなくてはいけないな。


そうこうしてる間にエリックさんが迎えにきたのだった。

読んでくださり、ありがとうございます!

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