「夏のホラー2020」終電後の駅
このお話は、私が実際に体験した事をベースにしました。恐怖要素は少ないかもしれませんがお楽しみ頂ければ幸いです。
「夏のホラー2020」終電後の駅
タクシー運転手の私は今日も帰宅する客を狙うため駅に入り続けていた。
ここは、都心から離れたベッドタウンの小さな駅だ。
回りには中規模の団地がいくつかあり、帰宅客を送る回数の稼げる場所だ。
この小さな駅に5社ものタクシー会社がひしめき合っている。
仲が良い訳はなく順番の奪い合いで日々トラブルが起こる。
終電直後、乗り過ごした都内までの客を拾い幸運に感謝した。
マン券以上の客をロングと言って何本拾ったと自慢するのが楽しみなせこい暮らしだがそれなりに満足していた。
都内から戻ると駅前には客もタクシーも無くガランとしていた。
さっきの幸運があるのでまだ行ける気がして待機してみたが誰も来ない。
ちょっと離れた3路線が集まる終着駅に移動する事にした。
普段はテリトリー外なのであまり行かない駅だ。
駅前をひと回りしたがここも誰もいない。
タクシーもいないのも変だなと思ったがもうひと回りする事にした。
横の路地から誰か来るのがわかり止まってみた。
女性が出てきた。
疲れきった様子で、「北斎場まで」とだけ告げると俯いている。
「あの近くには人家があまりないけど、どの辺りですか?」
と確認すると、「迎えが来るのでその前で大丈夫です。」
迎えが来るならここまで来てもらえば良いのにと感じたが最後の客を拾えた幸運にすぐ走り出した。
違和感を気にしながら走っているとエアコンが急に強くなった気がした。
まさかよくある話の途中でいなくなりシートが濡れているヤツじゃないだろうなと話しかけてみた。
「どうしてあそこにいたんですか?」
「乗り過ごしてタクシー探してたのですが、誰も止まってくれずやっと乗れたんです。」
「それは大変でしたね。でも駅前にはタクシーいませんでしたか?」
「並んでたのに、後ろの人が先に乗って行ってしまうんです。」
この時点で確信した。
これはマズイ客を乗せてしまった。
普通では見えない人、見えてはいけない人を乗せてしまったと。
このまま北斎場まで行けば迎えとやらに自分も連れて行かれるという恐怖から道を間違えたふりをして止まった。
さっきまで走っていた道路がなぜか見たこともない景色になっている。
「どうしました? 前のトンネルを抜けるとすぐですよ」
イヤイヤ私の記憶ではこの辺りには一切トンネルなどない。
その時急にひどい耳鳴りがして車を飛び出して走って逃げた。
翌日私は脱輪して気絶している所を巡回の警察官に発見され入院していた。
会社が不信に思いドライブレコーダーを確認すると、会話してるような独り言を繰り返し、車から降りて走っていく姿が写っているだけで脱輪の現場は写ってなかった。
むろんどうやって車へ戻ったのかもわからずだった。
私は今も入院中なのだが、見舞い客にまじってあの客が来るのには参っている。
どうしたいのだろうか?
私の処女作をお読み頂きありがとうございました。
拙い文章で、読み辛いところもあったとはおもいますがお楽しみ頂けたなら幸いです。
今後もいろいろな作品を投稿していきますのでよろしくお願いします。