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これは夢、夢なのだ。  作者: 椿 雅香
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初めての事故

夢の世界で初めて事故が起きます。

少し短いですが、キリが良いのでアップします。

 ナビに映し出される映像を参考に走っていると、突然、通信機が叫んだ。


「こちら3号車!東名高速道路、大井川付近で道がなくなってる!Uターンするから、気を付けてくれ!

 何?ハンドルが利かない!オイ!8号車、この非常時に、何で突っ込んで来るんだ!

 止まれ!止まるんだ!」


 通信機から爆音が聞こえて、3号車と8号車からの連絡が途絶えた。


 ナビのディスプレイ上で、3号車と8号車が消えた。


 車の中の空気が重くなる。

 空調が利いてるのに、寒々する。

 十台のうち二台が失敗した――消滅した――瞬間だった。


「大丈夫さ。ミッションを指揮する環境保護局が救助に向かってるはずだ」

「そうよ。ブラックボックス地域じゃどうしようもないけど、ここなら、東京から救急隊が駆けつけることができるわ」

 

 レオが、自分に言い聞かせるように言い、マリアもそれに同意した。



 おいおい、あんたたちの話は無茶苦茶だ。

 その理屈でいけば、ブラックボックス地域で事故ったら、助からないってか?



 マリアは、自分の発言に責任を持つべきだ。

 って言っても聞く耳持たないか。

 


 マリアの失言に突っ込みを入れるメンバーはいなかった。

 

 というより、話題が事故の原因の方へ向かったのだ。



「車の操縦が利かなかったように聞こえなかったか?」

「テロリスストが何か企んだのかもしれねえな」

「そんな。だって、出発時に点検したんでしょ?」

「ウチほど時間をかけなかった」

「ウチほど時間がかからなかったの間違いじゃない?」

「どっちにしろ、点検が完璧じゃなかったんだろう」

「それって……」

「名古屋で正確な情報が入るだろう。

 いずれにしろ、毎朝、キチンと点検した方が良いだろう」

「大丈夫。ウチには、俺もリョウもいるんだぜ。

 点検ってことなら、余所のチームよりズッとキチンとできる」


 ひとしきり、事故の原因に頭を巡らし、そんなことより、自分たちも事故らないよう気を付けようということになった。

 

 


 最後尾の利点で、他のチームが通った跡は走行可能と判断できる。

 

 そう思ったのも束の間、とんでもないことが起きた。


 セメントとアスファルトの交じった灰色の砂が道路の穴を隠していて、車がノッキングみたいにガクガクしたが、そんなのは序の口だった。

 先行する車が走った轍の後を走っていると、突然車輪が穴に落ち込んだのだ。言うなら、脱輪したのだ。

 車の重さのせいだ。

 先に走った車は異常なく通ったのに、私たちの車が行くと、道路が陥没していたのだ。

 

 脱輪って、路肩とか道の側溝とか道の端っこで起きる事故だ。

 こんな道路の真ん中で起きる事故じゃない。


 どうなってんのよ。

 

 道路の真ん中に大きな穴が開いていた。



「こんなの、先行するチームの報告には無かったぞ!」


 レオが怒鳴った。


「というか。七台も走ったから、僕たちが通る前にできたんじゃないか」

「そんな、殺生な……酷いわ。先行チームのデータを信じてたのに」

「落とし穴そのものだってか?」

「何を信じれば良いんだろうな?」

「手前ぇの目で見たこと以外信じるなってか?」

「きっと、そういうことなんでしょう」

「とりあえず環境保護局に報告して、道路情報ポイントをゲットした方が良いんじゃないか?」

「リョウ、お前なあ、道路情報ポイントより、車輪を穴から救い出すことが先だろ?」



 一同の、性格が表れた相談の後で、車を穴から持ち上げることにした。


 おい、そっちもっとしっかり押してくれ。

 いや、もっと持ち上げるようにするんだ。

 こんな感じで押したら良いか。

 もうちょっとだ。

 思いっきり押すんだ。



「せえーの」


 ナギがハンドルを握り、レオとリョウと私の三人が車を押して、やっとのことで、脱出した。


 

 マリア、あんた、いくら美人でも、みんなが額に汗するときは、一緒に働いてよ。

 男たちが許しても、私は許さないぞ。


 容姿が良ければ何をしても、いやこの場合は何もしなくても許される、と思っているのだ。



 この根性悪な女に腹が立った。


 大体、やることをやって一人前なんだ。

 やることもやらない人間には、他人を馬鹿にしたりする権利はない。





こんなに合わない連中と旅をするナナが気の毒になります。

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