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これは夢、夢なのだ。  作者: 椿 雅香
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宿舎での女たち

夢の中でお風呂に入ると風邪をひくのですが、ナナは、あえてお風呂に入ります。

 夢の中でお風呂やプールに入ると、風邪をひく。


 昔、母が言っていた。

 でも、入りたくて我慢できない。

 風邪ひいたら、それはそのときだ。



 やけくそになって、お風呂に入った。

 髪も洗ってバスタオルでゴシゴシ拭いた。ドライヤーも使って、うん、完璧。

 風邪をひく可能性があるなら、できるだけひかないですむ努力をすれば良いのだ。



 満足~。



 でも、夕食へ行くのに備え付けの浴衣じゃ格好がつかないことに気が付いた。


 

 仕方がないから、一度着た浴衣を脱いで明日着る予定の迷彩色のユニフォームに着替えた。


 あ~面倒くさ。



 食堂へ行くと、チーム毎にまとまっていた。

 既にウチの連中もそろっている。


 驚いたのは、野郎どもは備え付けの浴衣なのに、女子はそれぞれ私服だったことだ。

 

 マリアなんか透ける素材のギリシャ神話に出てくるようなゆったりしたワンピースだ。

 こんなときに、こんな服まで持って来たのだ。

 

 お風呂に入って、髪も洗ったのだろう。完璧にブローした形跡がある。

 つくづく、価値観が違うというか、世界が違う。


 だが、マリアはマリアで、充電器の件で、私のことを見直したようだ。

 だったら、素直にそう言えば良いのに。例によって、気取った言い方で、


「あなたも、ちょっとした特技があって良かったじゃない」だって。


 別に、あんたに喜んでもらおうと思って充電器をセットしたわけじゃないけどね。


「それで、お風呂、大丈夫だった?」


 男がいる場所で、それを訊くか?

 つくづくKY(空気が読めない)なヤツだ。


 でも、案外、意地っ張りで可愛いかも。


 私が男なら、この人の容姿や能力より、このKYなところとか、あっちこっちに喧嘩を売って自爆する可愛らしさに惹かれるんだけど……。



 食べながらの会議になった。

 

 少しでも危険を避けたいナギと、多少の危険を冒しても一気に金沢を目指したいレオの口論となる。


 目の前の料理が冷めるのも構わず、延々と議論する。


 どっちでも良いじゃないの。

 要は、前へ進めば良いんでしょ。


 そう言うと、マリアに叱られた。

 不真面目なのだそうだ。



 宿舎のコンピューターにあったデータによれば、保護対象生物の目撃情報は琵琶湖西岸より北部の方が多いらしい。


 結局、中間をとって琵琶湖西岸から北上するルートを選択した。


 

 ま、私にとっちゃ、どうでも良いけどね。

 と、声に出さずにつぶやいた。


 マリアに聞かれたら、また怒られそうだ。


 夕食を兼ねた会議が終わると、ナギは、他のチームのリーダーたちと今後の協力体制について相談すると言ってどこかへ消えた。


 残りのメンバーは、談話室へ移って交流会に参加することになった。


 いろんなチームのメンバーがあっちこっちに集まって、雑談に興じたり、ゲームをしたりしている。

 中には、ナンパしているヤツまでいる。


 一応、自由参加ということらしいので、いそいそと寝に帰った。

 ここで、寝ておかないと現実リアルで辛いから。


宿舎での女たちは、もろ女たちでした。ナナとは別の生き物のようです。

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