初めての冒険者ギルドの話~その1
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その1~その9まであります
初めての冒険者ギルドの話~その1
僕がちびマになってから3年たちました。
今日、聖域を出てこれからは地上生活です。
「時々、様子を見に来るから畑と果樹園は頼んだぞ。ゴーレム1号~5号」
パァパのゴーレムはとっても大きくて強いんだけど、お名前が番号なのはなんでかな?
「いちいち名付けてられるか。面倒くさい」
おお!なるほど。
「ちびマ。地上では念話はダメよ。ちゃんとお声を出しましょうね」
「………はあい………ケホン、ケホン」
「お口あーんして」
「あーん」
「喉が少し腫れてるわね。のど飴食べる?」
「べる」
マァマ特製ののど飴、おいしい♪
「念話だとちゃんと喋れるのに、なんで声に出すとたどたどしくなるんだ?」
「かんない」
「しょうがないわよね。お喋り出来るようになったばかりなんだから」
「まぁ、ずっと念話で話してたのに気づかなかった俺達も悪いんだけどな」
「そうね。女神ミュールフェリスに指摘されるまで、違和感なく過ごしてたものね」
お声を出すのって難しいし疲れるの。
「おいでちびマ。まだ一人で空を歩くのは危ないからパァパが抱っこしてやろう」
「はあい」
うふ。うふ。
パァパに抱っこして貰うと遠くまで見えて楽しいんだ。
「パァパ大しゅき♪」
「そうか♪パァパも大好きだぞ」
「あら羨ましい」
「マァマ大しゅき♪」
「ありがとう。マァマもちびマが大好きよ」
(´∀`*)ε` )
ほっぺにチューって。
パァパとマァマはいつも僕にいっぱいチューしてくれるの。
だから僕もパァパとマァマにチューするの。
(´∀`*)ε` )
「この辺で降りるか」
「見回した限りでは人も魔物もいないようね」
「ちびマ。寝てるな」
「夕べは興奮してなかなか寝なかったし、さっきまではしゃいでたから疲れたのね」
「出会った時から比べると重くなったな」
「栄養失調で失明寸前だったと分かった時には泣いちゃったわ」
「聖域の栄養たっぷりのご飯で子供らしいふっくらした体になって」
「目もキチンと見えるようになって」
「「ますます可愛いくなった」」
「俺達と同じ銀の髪」
「左目は私と同じ癒しの水色」
「右目は俺と同じ苛烈な緋色」
「誰が見ても正真正銘、私達の子供」
「偶然とは恐ろしいな」
「ふふ。偶然なんかじゃないわ。この子は私達の息子なんだから必然よ」
「そうだな」
「ええ。そうよ」
夢うつつで聞こえたパァパとマァマの声に、僕は嬉しくてパァパの胸にしがみついた。
「?寝ながら笑ってるな」
「きっと楽しい夢を見てるのね」