ドワーフの職人さんの話~その5
ドワーフの職人さんの話~その5
う~。
ご飯が美味しくて食べ過ぎた。
お腹ポンポンで苦しい~。
「確かに見事なポンポン腹だな」
ダメー!パァパ、お腹ポンポンしないで!!
「これは………動かない方が良さそうね?」
「だね。仕方ない。今日はこのまま此処に泊まるか」
僕のお腹がポンポン過ぎて動くと危険状態だからお泊まりすることになった。
パァパの魔法で体を清潔にしてもらって、お昼寝の時に使ったマットレスにコロン。
すぐに眠気がやってきて…………
あ!女神しゃまにお祈り忘れた!!
って思ったけどもう、ダメ。
お休みなさい。
あかマside
「俺はちょっと、さっきの奴等の様子を見てくる」
「行ってらっしゃい」
奥さんと息子を残して行くのは正直、不安と言うか嫌なんだけど仕方ない。
一応、死なない様に小細工はしてあるが即死攻撃と、罠には対処できないからな。
転移魔法陣に引っ掛かって壁の中に転移なんてしてたら、手のうちようがない。
別のダンジョンとか最下層に飛ばされてるなら、生命の危機に際してかけた魔法が発動するが……
「魔法、阻害されてなきゃな」
誰に言うでもなく呟いた。
未発見のダンジョンだけに魔物の湧きが早い。
スタンピードがおこる寸前って所かな?
「ヤベェ………あいつらが駆除するぐらいじゃ、ぜんぜん足りない………」
本当ならあまり手を出してはいけないのだが、仕方ない。
とはいえ、このまま無双するとちびマに大量の経験値が流れてしまう。
「ミュールフェリス。これから最低限の討伐を行う。経験値はちびマの腕輪にプールして、少しずつ加算していくように。なんならクエストの報酬って形でもいい」
『は、はい!ちびマ君の為にも、誠心誠意尽くします』
「逆だ逆!女神であるお前が使徒のちびマに尽くしてどうする?」
『あ!………』
「たく。とにかくそう言う事だから。頼むぞ」
『はい!初めてあかマさんに頼られました!!感無量です』
をい!
そんなんだから残念女神って我が君に言われるんだよ!!
最低でも1年はスタンピードが起きないギリギリのラインまで魔物を削る。
1年でいいよな?
それまでにはこのダンジョンも公になるだろう。
ならなかったら俺達が発見した事にしてギルドに報告すればいい。
まぁ発見したって言うかミュールフェリスから事前に貰っていたデータにあったから、知っていただけなんだけどな。
それにしても…………
「後から後からウザいわ!!」
俺はとっとと妻子の元に戻りたいんだよ!
奴等も一向にサーチに引っ掛かってこないし、全滅したか?
下の階に移動するとようやっと奴等が引っ掛かった。
「………あー。そういや今、能力制限してるから全階にはきかないんだった」
下級は問題なかったから、うっかりしてた。
そういやマップも各階限定だったな。
「まぁ、しゃあないか」
能力制限しないまま地上に居るとせっかく止めた崩壊が無駄になるからな。
サーチで見つけた奴等の近くへ行ってみると、なぜかCランクの3人がいない?
あれ?
サーチの精度をあげると逃げていく3つの光点。
あちゃ!制限しすぎた。
駆け出しの2人は、囮にでもされたのだろう。
奴等とは反対方向に逃げていた。
「だから!嫌だって!言った!のに」
「死にたくないなら走れ」
文句を言いながらも走る女と、その手をしっかり握って走る男。
手、放した方が早く走れるんじゃねぇ?
駆け出し冒険者side
何だよ!何だよ!何なんだよ!!
あり得ない数の魔物。
複雑に入り組んだ内部。
裏ダンジョンが難易度高いのは知っていたけど、下級でこれって無い!絶対、無い!
気がつけば前を歩いていた3人の姿が見えない。
あれ?
脇道に入ったのを見落としたのか?
戻ろうとした直後に現れたのは蟻の大群。
ヤバイ!
あれは下級にいていい魔物じゃない!!
裏ダンジョンの難易度って中級ダンジョン並みなのか!?
鉄より堅い体、サイズもデカイ!
足がすくんで動けない俺を幼馴染みで共に冒険者になったレイラが引っ張った。
「逃げるよ!!」
手を繋いでとにかく逃げる事だけを考える。
レイラは裏ダンジョンに入るのを反対していたのに、下級だからとタカをくくっていた俺は今日初めてパーティー組んだ彼等を、実力も知らない彼等を信じて来てしまった。
俺は自業自得だからどうなっても構わない。
でも彼女はレイラだけは助けなくては!
2人で必死に逃げ惑い。
疲れた体に鞭打って走る。
「あっ!」
「レイラ!!」
彼女が疲れからか転んだ。
寸前に俺の手を放す。
なんで!
「私が囮になるから。逃げてハイル」
「そんな事、出来るわけ」
くずおれたレイラに蟻どもが襲いかかる。
チキショー!
無駄かもしれないけど、彼女を捨てるなんて選択肢………
「あってたまるかーーー!!」
一矢報いてやると、気合いをこめて蟻を倒す。
故郷の先輩冒険者から聞いていた通り、頭と胴を繋ぐ細い部分を力任せにぶったぎる。
どこまで剣が持つか分からないけど、それでも切って切って切りまくる。
体勢を立て直したレイラも魔法で援護してくれる。
彼女が使える魔法はそう多くはない。
魔力だってまだ少ない彼女には、連戦は俺以上にキツイはずだ。
「無理するな!」
「そっちこそ!」
幼馴染みだからこそ分かる相手の行動に、こんな時だと言うのに安心感が募る。
レイラが魔力切れでふらつく、俺の剣も限界をむかえたようで粉々に砕け散った。
ここまでかよ。
でも頑張ったよな。
レイラの体を抱き寄せて小さくゴメンと謝った。
彼女は俺の謝罪を受け入れて微笑む。
あー!俺、本当にバカだ!!
神様!もしも本当にいるのなら俺はどうなってもいいから彼女はレイラだけは助けてくれ!!
後から後から出てくる蟻に絶望しながら、彼女と一緒なら死の世界で冒険するのも悪くないなんて現実逃避してみる。
喰われる!!
と、思ったら俺達の体が光り出して………
えっ!?何が起こっている?
「俺がかけといた救済措置がやっと発動したようだな」
声に驚いて振り向けば真っ赤なローブのフードを深くかぶった人物が。
あれ?あの人は。
「一足飛びに強くなる方法なんてない。堅実に励むんだな。今回のこれはいい教訓になったろう?」
そうだ。裏ダンジョンの入り口を見つけた人!
俺と彼女が四苦八苦して倒した蟻の数より更に多くの蟻が魔法で蹂躙されていく。
「じゃあな」
呆気に取られる俺達に、気にする事もなくかけた声がキーワードだったのか、光が集束すると俺達はミゼルの町の門前に座っていた。
周りが何か騒いでいるけど、もう限界だ。
俺とレイラは仲良く気を失った。




