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ちびマの冒険  作者: 秋野空
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僕、誘拐されちゃったの話~その1

僕、誘拐されちゃったの話~その1



うみゅ~(T-T)


ここ、どーこ?


さっきまでパァパとマァマとお買い物してたのに気がついたら僕は両手両足縛られて、目も口も布で塞がれて投げられた。


僕はお荷物じゃないんだから放り投げるなんて酷い!

お荷物でも放り投げたら壊れるでしょ!

天地無用だからね!!


あれ?使い方間違ってる?


「うー!うー!うー!」

「静かに…………あいつらが居なくなったら目隠しを取ってやる」


誰?初めて聞くお声。

う~んと男の人みたい。


お耳をすましていると僕をここに投げた人達が立ち去る音が聞こえた。

ガチャガチャって鍵をかける音も聞こえる。

油ぐらい注せば?


「…………よし。いま目隠し取ってやる。大きな声を出さないと約束するなら猿ぐつわも取ってやる」


出さないから取って。

涎が気持ち悪いの(T-T)


うんうんって頷けば目隠しと一緒に猿ぐつわも取ってくれた。


うえー。

涎でベタベタ。


「こんな幼い子供まで………くそっ!家の連中は何してんだ!!」


家の連中?


目隠しされてたせいでちょっとお目々がシパシパする。


魔法でお手々と足の縄を切って、お目々クシクシしてう~んって伸びをしたら


「おまえ!どうやって」


目隠しとか取ってくれた男の人の驚いた声が。


「魔法」


僕、まだパァパみたいに無詠唱で魔法使えないから猿ぐつわ取ってくれてありがとう。


「えっ?魔法使えるのか?いやでもお前の首に付けられてるそれ隷属の首輪だし、魔法封じもされてるのに?」


そうなの?

でも僕には効かないよ。

だって僕の左耳にはマァマから貰ったピアスが付いてるし、きっと今ごろ僕に首輪を付けた人は知らずにマァマに慰謝料を払わされてると思うよ?


ついでに涎でベタベタになったお洋服にも魔法使って、やっと気持ち悪いのなくなった♪


「…………本当に魔法使えるんだな………」

「うん」

「ならここから出るのに力を貸してくれ」


えーっと………


「無理」

「何でだ!?」

「僕、5才」

「へ?…………」


5才児に過度な期待はしないでよ。


「あ、悪い。魔法封じ効かないからてっきりその………エルフ………かな~なんて」


なんでエルフさん?


僕が首を傾げたら男の人は頭の後ろをかきながら、教えてくれた。


「伸長からみて子供だろうと思った。なのに魔法封じ効かないし、その精度ってか制御?も細かいから魔法に長ける種族なんだろうなと。それならエルフかなって……」

「僕、エルフ。ちゃう」

「そっか。悪い」

「ここ。どーこ?」

「場所は分からない。俺も情けない事に誘拐された口なんでね」


誘拐?


えっ!僕、誘拐されたの!?


「たーへん!パァパ、マァマ。僕、ここ」

「いや呼んだって来るわけ「無事か!ちびマ!!」来たよ!!マジか!?」


だってパァパだもん。


「ちびマ。私の可愛い坊や。怪我はなぁい?」

「だーじょぶ」

「ごめんなさいね。マァマがちょっと目を離したせいで」

「マァマ。泣いちゃメ。僕、だーじょぶ」

「ええ、ええ。そうね。無事だったのだから泣いちゃダメよね」


うん。マァマには笑顔が似合うから。


「………あー………感動の再会中に悪いんだけどさ。あんたら、どうやってここに?」

「親の感だ!」


パァパそれ無理あると思う。


「!すげぇー!俺の親父には絶対ないな!!」


うん。まさか信じるとは思わなかったよ。

お兄ちゃん素直って言うか純粋だね。

そして何気に自分のパァパを貶めるのは良くないと思うよ?


「所でここは?」

「あー……連中の言い方をかりれば家畜小屋、または商品資材置場」

「ほぉー………家畜小屋ね………」

「うふふ。私達の可愛い坊やを家畜扱いするなんて、慰謝料は3倍いえ1000倍は取らないとね」


マァマ。一気に桁が上がったよ!


「あらやだ。私の可愛い坊やになんて不粋もの付けてくれるのかしら!!」


マァマが僕の首に付けられた首輪を見付けてゲキオコしてます。

うん。ちょっと怖い。


「解除」


呪いを解除するのも回復魔法特化のマァマにはお茶の子さいさい。

首輪は外れるだけじゃなくてボロボロと崩れて無くなった。

うん。マァマの怒りぐあいがよく分かる。


「!!なぁそれ」

「シッ!静かに。誰か来る。俺達は姿を隠す。ちびマ。少しの間だけ縛られて、気絶してるフリをしろ」

「かった!」

「あんたも」

「ああ、分かってる」


僕は切った縄を手足に軽く巻き付けて寝転んだ。


お兄ちゃんも同じようにしてるみたい。


お耳をすましていると鍵を開ける音に続いてギィーってさっきは聞こえなかった扉を開ける軋んだ音が。

やっぱり油、注せば?


「獣人ってのは間違いないのか?」

「尻尾らしい物は確認してる。ただローブに魔法がかかってるみたいで、どうやっても取れねぇんだよ!だから何の獣人かは分かんねぇ」

「尻尾の形状は?」

「それも分かんねぇ。ただローブの尻の所が変に盛り上がっていたから、猫とか兎って事はないだろうよ」

「蜥蜴かもな」

「あー………それは考えてなかったな………大人捕まえた方がよかったか?」

「子供を囮にすれば捕まえるのなんか容易いだろうよ。親子なんだろう?蜥蜴でも欲しいって物好きはいるからな」


声の感じからして男の人が三人かな?


「こっちの奴はどうする?」

「ああ。こいつな。雇い主のお嬢様が欲しがってるそうだ。婚約したくて何度も打診してるのに件もホロホロに断られてキレまくってるとさ」


可愛さ余って憎さ百倍?


「…………そんなに色男には見えねぇがな」

「お前よりは色男だな」

「余計なお世話だ!」

「アホ!こいつは宰相の次男だ。婚約すれば王宮の夜会やら王族の茶会なんかに出られる。そこで王子様を狙うんだとよ」

「あ!なるほどね」

「踏み台ってやつか!こりゃいい」


最低!


そんな女の人、断られて当たり前だよ。

きっとお顔に出てたんだよ。


パァパが言ってたもん。

どんなに見た目が綺麗でも性根が卑しければ顔、特に目に出るから分かる奴には分かるって。

その点マァマは見た目も心も綺麗で最高って……………


うん。惚気けだね。


「こいつの引き渡しは今夜だ。オークションは3日後だから、それまでに獣人の親も捕まえる」

「どうやって?」

「今頃、必死に捜してるだろうから子供の居場所を教えてやれば警戒しつつもノコノコ来るだろうよ」

「そこを罠にかけると」

「男親の方は力が強いかもしれないから縄より頑丈な鎖用意しとけ。女親の方は子供を人質にすれば抵抗せずに捕まるだろうよ。女はなるべく傷を付けるなってお達しだからな」

「蜥蜴なら少しぐらいの傷ならバレねぇと思うけどな」

「蜥蜴と決まった訳じゃない。魔法のローブ着てるぐらいだ。もしかしたら稀少な種族かもな」


うん。大正解。

とっても稀少な種族だよ。

僕はこの世界でただ一人の天狐で、パァパとマァマはさらに上の世界の神しゃまに仕える天狐だからね。


「他のガキどもはどうしてる?」

「抵抗せずに大人しくしてる。もっとも水だけしか与えてないから抵抗する力も出ないだろうよ」

「ひでぇなぁ。かわいそうに」

「ハッ!声も顔も笑ってるぞ」

「たりめぇだろう。他人の不幸は蜜の味ってな」

「ちげぇねぇ!しかも金蔓ときてるからな」

「ああ!最高だぜ」


ゲラゲラと下品な笑い声をあげながら男の人達は出ていった。

何しに来たの?


「…………今すぐ消してやりたい!」

「同じく」


いつになくパァパとマァマが物騒です。


「宰相の次男ね………」

「フラグ回収率いいわね」


好きで回収してる訳じゃないからね。


「…………恩を売っとくか?」

「この国の宰相って権力的には?」

「2番手だ。1番手は国王」

「普通。王妃が2番手にならないか?」

「正妃は5年前に他界してる。後継ぎの王子も三人いるから、側妃も側室もいない。親父が2番手なのは王弟だからだ」

「あら?と言うことはあなたにも継承権が?」

「あるな。かなり末尾になるけどな」


世が世ならば王子様!


「なら恩を売っといて損はないな」

「ついでに冤罪も倍返しでね」

「もちのろん」


パァパとっても楽しそうな笑顔だけど黒いです。


「………よくわかんねぇけど、助けてくれるんなら俺に出来ることならなんでもする。だから頼む。他の子供達も一緒に助けてくれ」

「何を当たり前の事を。助けるといった以上は完璧を目指すに決まってるだろう」


パァパ!かっこいい!!


「息子に尊敬されるチャンス逃がしてたまるか」


うん。その台詞は余計かな。




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