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ちびマの冒険  作者: 秋野空
2/44

プロローグ

一気に2話投稿してます。



プロローグ的な話~その2


「ん?………759世界の奴等が邪神化したか………面倒くせぇな」

「我が君。お言葉づかいが」

「いいんだよ。ここはそもそも俺とお前しか入れない特殊空間なんだから。お前も普通に喋れよ」

「我が君の仰せなら………で、どうします?」

「んー………とりあえず邪神化した連中なんか何の役にもたたんからサクッと消してこい。後釜は用意しておくから」

「………今すぐですか?」

「早けりゃ早いほど被害は少ないだろ?」

「分かりました

………………………………………………………………………戻りました」

「早っ!!いや早すぎだろうが!?行って何分で帰ってきたよ」

「…………1分50秒です」

「何気に新記録?」

「いえ。過去最高は30秒です。場所が遠くて少し時間がかかりました」

「…………そこまで急がなくて良かったんだが……ってか早すぎて後釜の選定が間に合わねえ!」

「知らんがな」

「おい!」

「……………俺が離れている間に妻に懸想する奴がいたらどうしてくれる?」

「あ、うん。ごめん。お前が妻一筋のヤンデレだって忘れてたわ」

「病んでるのは認めるがヤンデレではない。デレヤンデレだ」

「デレが前後に入るのかい!!奥さん可哀想に」

「妻の口癖は愛され過ぎてて幸せだ」

「夫婦揃って病んでる!!」

「仕事がないなら帰っていいか?」

「はいはい。ご苦労さん。当分、よびだしはないと思うから、夫婦仲良くいちゃついてろや」

「言われるまでもない」

「………………………………………」

「なんだ?」

「俺。一応上司」

「知っているが?」

「うん。ならいいや」

「では我が君。御前失礼致します」

「……………有能なんだけどな…………有能なんだけど………なんであんなに残念な性格なんだろうな………天は二物を与えずってか?ハハハハ………って!天って俺じゃねぇかよ!!」


とある日の最上創造神と、その眷族の会話。





「…………………当分、よびだしはないと言われた覚えがあるのだがな」

「しっかたねぇだろ!こっちだって寝耳に水状態なんだからよ!!」

「はぁ………で、崩壊寸前ってどこの世界だ?」

「………すんげぇ遠くて番号読み上げるのも面倒な世界。一応、通称としてミュールフェリスって名前だな」

「何で崩壊寸前?」

「世界樹、切り倒されたらしい。現地人?に」

「…………馬鹿か?それとも世界規模での自殺志願か?」

「どっちかってと前者だな。世界樹の大切さが、曲解された挙げ句の暴挙みたいな?

一応、そこの世界の女神が頑張ってたらしいが、随分前に信仰されなくなっていて、神殿も残ってないっていうか、別の存在しない神の神殿に作り替えられているんだと。結果、力及ばず崩壊寸前」

「…………女神を消すのか?世界を消すのか?」

「物騒な奴だな。まぁ俺としてもそうしたいのは山々なんだがな。出来ない理由があってな」

「よし分かった!俺の出番は無しだな」

「うん。お前の出番はないな。必要なのは、お前の嫁さんだから」

「何だと!!」

「新しい聖域造ってそこに世界樹を生やして育ててもらう。世界樹がしっかり根付くまで、帰ってくるの禁止な」

「俺と妻を生き別れにすると言うのか!!!」

「俺とて命は惜しいわ!お前は嫁さんの護衛として一緒に派遣してやるから、別の世界でいちゃこらしてこい!!」

「よしのった!」

「後日、仕事が増えても文句言うなよ?」

「妻と一緒なら行き着く先がたとえ地獄でもハネムーンだ」

「ああ、そうかよ!」


とある日の最上創造神と眷族の会話。







「ありがとうございます~」


滂沱の涙を流す見目麗しい女性は、この世界ミュールフェリスの女神。


「ウザ!」


全身を真っ赤な衣裳で包んだ狐耳を生やしたイケメンの青年が、顔に似合わぬ乱暴な言葉で呟く。


「ヒド!」

「あなた!話が進まないから少し黙っててくださいな。それで女神ミュールフェリス。こちらに元々あった聖域はどうなったのです?」


真っ白ながらも動く度に虹色に煌めくローブを着た狐耳の女性。

彼等は最上創造神より派遣された夫婦だ。

彼等に名前は無い。

そもそも最上創造神の眷族である彼等の名前は、仕える最上創造神に捧げられているので、いまや彼等の名前を知るのは最上創造神たる彼等の「我が君」だけである。


「聖域は汚され、もはや聖域としての機能はありません」


がっくりと項垂れる女神ミュールフェリス。


「聖域から造るのか………面倒くせぇな」

「あなた」

「はいはい。奥さんの為に最高に最上な聖域を造り出すから任せて」


愛しい妻の為ならばと意味もなく袖を捲りあげた青年が、両手に神力を籠めて空へと放つ。


とたん空に光が走り収束すると、そこには今まで存在しなかった大地が浮かんでいた。


「……………うそ…………」


自分の力が最盛期の頃でも造れなかったであろう天空の大地。

それを短い間にあっというまに造り上げた青年は顔色一つ変えず「ま、こんなもんでしょ」なんて言いながら奥さんにチュッチュッしてる。


滅べリア充!と女神ミュールフェリスが思っても仕方ないぐらい理不尽な出来事。


「あなた。いい加減にして。まずは聖域の確認が先でしょう」


散々いちゃこらしたあとで言うんじゃないと、思わずツッコミ入れたくなった女神ミュールフェリスは多分、まとも?


「そうだね。さっさと世界樹生やして、育てて帰ろう」

「ここまで崩壊がすすんでいると世界樹を最低でも20年は育てないと………」


青年は狐のフサフサな尻尾を9本ひろげて空へと歩いていき、女性は同じようにフサフサな尻尾を7本ひろげて、まるで見えない階段を上るように空へと歩いていく。


「私も?!」


慌てて後を追いかけようとして女神ミュールフェリスは愕然とした。

飛べない!


まさかそこまで力を無くしていたのかと、再び滂沱の涙を流す。


「鬱陶しい」

「あなた」


愛しい妻にメッと可愛く叱られて胸キュンキュンの青年は女神ミュールフェリスの右腕を掴む。


「えっ?何!何!?」

「大丈夫ですよ。夫と私で女神ミュールフェリスの腕を掴む事で空へと架けた不可視の階段が見える様になりますから。ゆっくり上がって行きましょうね」


どうやら本当に見えない階段があったようだ。


女性が女神ミュールフェリスの左腕を掴むと、確かにそこには不可視の階段が。


そういえば天狐って空を歩けるんだったと思い出した女神ミュールフェリスが恐る恐る階段に足を乗せると意外にもしっかりした作りに驚き、空を歩くという体験した事のない出来事(今までは空を飛んでいたので)に沈んでいた心も踊りだす。


「ふおお~楽しいこれ凄く楽しい」


もはや女神の威厳など異次元の彼方に吹っ飛ばした女神ミュールフェリス。



新たに造りだされた聖域。

それは花と緑にあふれた実に美しい場所だった。

そのあまりの美しさに上位の世界の神の眷族とは、こんなにも凄まじい力を持つのかと羨ましいやら憧れるやら。


「少し物足りないな」

「どこが?!」

「そうね………しばらくここに住むわけだから、最低でも家と畑は必要ね」

「だね」


青年が指を鳴らすと空間に見たことのない穴が広がりそこから3体のゴーレムが出てきた。


「1号は畑を2号と3号は家を」

「いい加減、ゴーレムちゃん達に名前ぐらい付けてあげたら?」

「1号って名前なんだけど」

「あら、そうだったの?ごめんなさい」

「なんのなんの」


それ名前って認めちゃダメな奴って思う女神ミュールフェリスは常識人ならぬ常識神(笑)


あれよあれよというまに家が建ち、畑が出来ていく。


「この辺に果樹園とかどう?」

「泉も欲しいわね」

「いいね。いいね。って事でゴーレム頼んだぞ」


わっしょいわっしょいと言う声が聞こえてきそうな雰囲気で瞬く間に果樹園と泉が出来上がると、女性が胸元から一粒の種を取り出し植える。


「さあ。お目覚めの時間よ」


茶目っ気たっぷりの声に応える様に種からみるみる双葉が生えて、まるで早送り映像の様に一本の樹が30メートルぐらいの高さまで育って止まった。


「…………う~ん………予想以上に汚染されてるわね。まぁとりあえずここまで伸びただけマシかしら?」


「ミュールフェリス」

「はい!」

「世界樹のそばに神殿を建てたから、いつでもそこへきて休むといい」

「へ?」

「天界に天使はいるのかしら?」

「最後の一体が消えた事で一気に汚染が進んで…………」

「そう。では私の配下の精霊を何体かこの聖域に放ちます。そうすれば天使の一体ぐらいならすぐに生まれるでしょう……………使えるかどうかは別にして………」

「あははは………頑張って育てます」

「そうしてくださいね」


こうして崩壊寸前の世界ミュールフェリスは、なんとか一命?をとりとめたのだった。

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