第五話 始まり
やっと投稿できた…!
受験で更新頻度が更に落ちる。(多分)
「しっかし…そんな簡単に行くもんかな…」
「信じるしかありませんよ、総統閣下。」
俺が零した疑問にそう答える鈴ヶ谷副総統。
「それに、既に衛星と宇宙軍によって
陸地は観測されているんです。じきにしっかりとした文明も見つかりますよ。」
「だといいんだが…」
あの会合からは既に三日たっている。
その三日間のあいだには、
・この星が、前世界の星より大きいこと
・海と大陸(陸地)の比が6:4である事
・大気構成が前世界と変わらない事
・重力値が前世界と変わらない事
・月面基地や火星基地などの基地はこっちの世界の各惑星にあたる惑星に転移していること
以上の五つが分かった。
今は自分たち以外の文明(あの召喚しやがった国は除く。)を捜索しているところだ。
ああ、それと撃墜された竜騎士は、捜索していた海軍の汎用ミサイル駆逐艦、『はるさめ』に無事救助されている。
もっとも、それからまだ目覚めていないのだが…
とにかく、文明が見つかるまで、しばらくの辛抱が必要だな…
と、そんなことを考えていると…
「失礼します!第二航空艦隊の第四航空打撃群所属の空母『そうりゅう』の艦載機が 戦闘行動中の艦隊を補足したとの報告が!」
よっしゃ!遂に来た!
「第二航空艦隊なら…佐世保か。よし、待機中の第六戦隊を出せ。第四航空打撃群直近の戦隊も急行させろ。海洋安全管理局でも問題ない。いいな?」
「了解!」
事態はついに動き出す。
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一方、少し時を遡り、総悟達首脳部が会合を行っている頃。隣の大陸にある『アルセイア王国』の王城内部に存在する、謁見の間では混乱が起こっていた…
「姫様は一体どこに行かれたのだ!?」
「近衛騎士団は何をやっておったのだ!?このような事態を未然に防ぐ為の近衛騎士団だろう!?」
「も、申し訳ございません!!」
「現在、第二近衛翼竜騎士団と、第三、四両翼竜騎士団が総出で捜索しておりますから、間もなく見つかるものかと…ッ!」
「とにかく急がせるんだ!」
「はっ!」
「この大変な時に…!」
アルセイア王国の混乱の原因は、この国の第一王女、フィレイラ・レイ・アレスティア・ヴァン・アルセイアが行方不明になったからだ。
以前にも、何度も似たようなことがあったのだが、今回は少し事情が違う。
何時もなら、六、七時間飛んだら帰ってくる彼女が未だに帰ってこないのだ。
もちろんその理由は、ウィストレル国防空軍に撃墜されたからなのだが、そんな事などアルセイア王国の人間が知る由もない。
その為に現在は、翼竜騎士団が三つ出動して捜索に当たっている。
また、王国海軍の艦隊も出港準備が整い次第、捜索に参加する予定である。
そして、その混乱を極める謁見の間に更なる凶報がもたらされる。
バタン!と大きな音を立てて扉を開け、一人の兵士が駆け込んでくる。
「王の御前だぞ!弁えぬか!」
「はっ!申し訳ありません。ですが緊急でお伝えしたい事が…」
すると奥の王座から、男の低く、かつ威厳ある声が飛ぶ。
「よい、申してみよ。」
その声を発した主こそアルセイア王国の現国王、ラウグ・レイ・ベルセーグ・ヴィン・アルセイア その本人である。
「はっ。先ほど魔法庁の賢者ヴィレイフムス様が大規模魔力の反応を魔海の方角に確認したと…」
「なんだと!?」
この兵士の報告に、謁見の間は一層騒がしくなる。
「…それは真なのか?」
「はっ。真実かと。」
「ならば、その規模は?」
「現在調査中、と…」
んむぅ…と唸りながら国王は考えこむ姿勢をとる。
第一王女は、自他ともに認めるお転婆な女性で、国民からの求心力は高いが、その持ち前のお転婆さで周りを振り回すこともある。
翼竜に乗って、今回のように、空の散歩に出かけることも多く、大抵終わると人知れず戻ってくる。
また行く方角としては、海の方角に行くことが多い。
とすれば…
「火竜にでも襲われたか…?」
「!?」
火竜とは魔海の方角に住んでいるとされる魔物で、魔物の中では最強格とされる。
何十年に一度レベルで出現しては小国を軽く二、三個、ひどい時で中小国を五、六個壊滅させてまた魔海に帰るということを引き起こす。
また、最強格の魔物であるため、強大な魔力を保有しているとされ、大規模魔力の反応が魔海方面に出た時は、大抵火竜の出現する前兆であると言われる。
つまり…
「…陛下は、火竜が現れるとお思いで?」
貴族の1人が問う。
「あくまで可能性の話だろう。あくまでな…」
「しかし…可能性はゼロとは言いきれませんぞ?」
「だが、早過ぎやしないか?前回現れたのはわずか七年前だぞ?」
「確かに、最低五十年は開くはずだ。…火竜に何かあったのか?」
取り留めのない議論に発展しかけたところで、王が止めに入る。
「皆の者。まだ火竜と決まった訳では無いぞ。」
「しかし、もし火竜ならば…」
しかし、疑念は拭えない。
「…しばらく様子を見るしかあるまい。」
娘をもつ父親として、苦渋の決断だった。
「それもそうですがハルヴィア帝国との戦争は如何するおつもりで?」
貴族の一人がそう切り出す。
実はこの時、アルセイア王国は隣国のハルヴィア帝国と極度の緊張状態にあった。
戦力差は歴然としており、まともにやれば勝ち目はないと、王国政府は見ていた。
「…交渉はどうなった?」
これに外務卿のタレス・ガトーヴァが応じる。
「…未だにこちらの交渉役が帰ってこないことから見るに、恐らくは…」
「そうか…覚悟を決めるしかないのだな。」
「申し訳ございません…ッ!」
そう言ってタレスは涙を零した。
「良いのだ。防げなかった我も悪いのだからな…」
もう、勝ち目はない戦いに身を投じることになるのは明白だった。
(一応言っておくと、当の姫様は別に死んでいない事をここに明記しておく。←ここ重要)
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時は戻って現在。
元・日本海の洋上を疾駆する艦影が四つ。
ウィストレル皇国、海洋安全管理局所属の重巡洋艦、『高雄』『愛宕』『摩耶』『鳥海』の4隻である。
彼女達は、領海の近辺で戦闘行動を取る艦隊を制圧するために、西に向かって航行していた。
また、同じ理由で彼女達より北30kmの位置にも、軽巡洋艦『神通』、重装巡視船『陽炎』『不知火』『霞』『霰』の5隻が急行している。
そんな中、『高雄』艦橋では、大きなため息を漏らすショートボブの小柄な女性が一人。
『高雄』の艦長、菅谷 メイ一等管理正その人である。
「あー。今週やっと休みが取れたと思ったらこれだよ…全くもー。偶にはユウや、なほりんと遊びに行きたかったのにー…」
因みに、ユウと言うのは、国防海軍イージス巡洋艦『かわち』の艦長、相澤 友貴一佐、なほりんと言うのは海洋安全管理局防空駆逐艦『なつしま』艦長、鬼頭 夏帆一等管理正の事で、どちらも菅谷 メイの幼馴染である
「あはは、でも仕方ないですよ。仕事ですから。」
「…それはそうなんだけどね。」
横から笑いかけたのは、『高雄』副長の田所 颯士三等管理正。
かなりのイケメンで、管区内でも人気が高い。
「しかし、なかなか見つかりませんね…」
「情報だと木造帆船らしいし、レーダーで探すにも一苦労ね。」
「でも、どうやら見つかったようですよ?」
直後、艦内に警報がなる。
『目標補足!総数50以上、依然増加中。総員、緊急戦闘配置!繰り返す、総員、緊急戦闘配置!』
「見つかったみたいですね。」
「やりたくないなぁー…まぁ、今更こんなこと言ってたってなんにもならないか。」
そう言うと、左耳の骨伝導イヤーマイクに手を添え、彼女は指示を出す。
「仕方ない、CIC、主砲射程に入り次第教えて。接近する前に撃つ。二水戦と後続艦にも話回しといて。」
イヤホンから返答が返る。
『既に主砲は射程圏内。話も今回しました。』
「さすがに早いわね。ご苦労様。発砲のタイミングはこちらから出すからよろしく。」
『了解。』
こうして、異世界初の砲雷撃戦は始まろうとしていた…
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