第十五話 戦いの終わり。そして邂逅
やっと書き上がりました…
相変わらずの残念語彙力(笑)と超高校級の駄文(笑)ですが、読んでくださる方も大勢いらっしゃいまして…
ありがたい限りです。いやほんとに。
まぁ、続きはあとがきでやることにして、それでは最新話、『第十五話 戦いの終わり。そして邂逅』を、どうぞ!
『よーい…てーっ!!』
ドドォン…
砲撃音とともに飛翔した榴弾は、目標に向かって飛翔し、弾着とともにその威力を解放する。
二十階建てビルを一撃で粉砕するほどの威力を秘めた120mm榴弾は、目標──ハルヴィア帝国帝都、ラケートリア───の城壁もまた、やはり見事に粉砕した。
それと同時に、待機していた数十両の装甲車両が走り出す。
『ゴーゴーゴー!!総員突入せよ!』
『こちら第二中隊!第一城門制圧しました!』
『第六戦術機械化汎用歩兵小隊、第二中隊の援護に入る!』
『よし!第二中隊は城門の確保、その他部隊は王城へ向かって駆け抜けろ!』
『了解!』
わずか数秒の間に膨大な無線が駆け抜ける。
しかし全てのウィストレル皇国軍部隊は何も混乱することなく、帝都に侵入していった。
対ハルヴィア帝国戦争はついに終わりを迎えようとしていた。
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「撃て撃て!制圧しろ!」
中隊長の号令と共に、兵士達の持つ91式小銃から多数の5,56mm弾が放たれる。
発射された弾丸は、通りの向こう側で必死に抵抗するハルヴィア帝国軍の兵士を貫く。
重装歩兵の盾も、騎士の着込む鎧も。
まるで木の板を貫くかのごとく簡単に銃弾が貫き、ハルヴィア帝国兵士が倒れ伏す。
あまりの敵の強さに、遂にハルヴィア帝国側から数名の逃亡者がではじめる。
数名が逃げたのを皮切りに、次々と兵士が逃げていく。
指揮官が必死に叫んで呼び止めるが、すぐにその声も消えてしまった。
それを確認した第四歩兵中隊は、すぐさま前進を開始する。
「敵の数が多いな…」
などと兵士達は呟きながら、第四中隊は前進を再開するのだった。
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「3、2、1、ゴー!!」
「行け行け!走れ走れ走れ!!」
突入開始から十数分後、遂にいくつかの部隊が王城へ突入した。
途中、何人かの敵兵が飛び出してくるが、油断なく制圧し、さらに走る。
しばらく走りつつ王城を探索した結果、ついに突入部隊は、王がいると思われる部屋を特定した。
扉の両側に兵士がつき、片方の兵士が室内に閃光手榴弾を投げ込む。
バァン!!という轟音が轟くと共に、兵士が室内に突入する。
そこには、震えて動けなくなっている皇帝と、倒れ込みながらもこちらを睨みつける近衛と思われる兵士が6人、更に気絶した二人のメイドがいた。
「動くな!貴様らは既に包囲されている!両手を上げて、投降しろ!下手な真似をすればすぐさま射殺するぞ!」
突入した部隊の兵士は、91式小銃の銃口を皇帝に向け警告する。
それに対して皇帝は、震える声で兵士を威嚇する。
「ふ、ふざけるな!!誰が貴様らなぞに…」
被せる様にババンッと、二発分の銃声が響く。
それと共に近衛兵がひとり崩れ落ちる。
広間に、鎧を着込んだ近衛兵の崩れ落ちる音が響いた。
それを聞いた皇帝は遂に………白目を向いて気絶してしまった。それを見た突入部隊の隊長は、手近の兵士二人に捕縛命令を出す。
「気絶したか…まぁいい。アレン、山本、お前らは皇帝を確保しろ」
「「了解」」
それを聞いた近衛兵が顔色を変えて叫ぶ。
「待て!陛下に…」
しかし、言い切る前に国防軍兵士の誰かが放った銃弾に倒れた。
それを見た残り四人の兵士が突っ込んでくる。
しかし、その四人もすぐに先の兵士の後を追うこととなった。
この後、ハルヴィア帝国皇帝、『レゼラ・ディ・ハルヴィア』は捕縛され、ついにハルヴィア帝国の敗北が確定した。
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ハルヴィア帝国帝都、ラケートリア攻略作戦から1週間後…
ウィストレル・アルセイア連合軍と新ハルディア共和国(ハルヴィア帝国は敗戦を機に、政治体制の転換が図られた。ちなみにアルセイア王国もアルセイア連邦に変わり、政治体制が変わった。)の終戦条約に関する会議が、旧アルセイア王国王城の会議室で行われようとしていた。
「…それでは、終戦条約締結会議を始めます。進行は一応、私、ウィストレル皇国外務大臣の今川洋太が務めさせていただきます。では早速こちらからの要求を発表いたします…」
そう言うと、今川は、そばに控えていた職員から黒のアタッシュケースを受け取り、中から数十枚の書類を取り出した。
アタッシュケースを職員に返して、今川は書類を会議に参加するメンバー全員に回し始める。
途中、書類の内容を見たハルディア共和国の使節交渉団からは驚きの声が漏れる。
「そちらが我々、ウィストレル皇国政府並びにアルセイア連邦政府からの要求です。しっかりと内容を確かめておいてください」
その言葉に対して、ハルディア共和国側の代表団は内容の確認を始める。
書類にはこう書いてあった。
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ウィストレル皇国・アルセイア連邦連合軍並びにハルディア共和国終戦講和条約要項
・一、ハルディア共和国は一切の武力を放棄し、連合軍との戦闘を終結するものである。
・二、ハルディア共和国が一切の武力を放棄した際には、ウィストレル皇国軍がハルディア共和国の防衛を代行する。
・三、ハルディア共和国側は、賠償金として1兆2千億ドレルをウィストレル皇国に、9千億ドレルをアルセイア連邦に支払うものとする。
・四、今までにハルディア共和国が侵攻を行い、統治下に置いた国に関しては独立させ、経済的支援をウィストレル皇国が行うものとする。
・五、以上の条文は、基本的に締結後すぐに適用され、発効するものとする。
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「簡潔にいえば、とりあえずはそれが最低条件です。特に武力放棄は譲れません」
「…武力放棄に関しましては、貴国が防衛を担ってくれるとのことなので、まぁいいでしょう。ですが賠償金の額は…」
そこまで言うと、ハルディア共和国代表は苦虫を噛み潰したような顔をする。
それを見たウィストレル皇国側は、譲歩案を出した。
「…もし、賠償金が払えないとおっしゃるのであれば、貴国の領土内にある、未開発の各種資源の開発権を譲っていただければ結構です」
この言葉に、ハルディア共和国代表しばらく悩み………
「…分かりました」
と、承諾の意を示したのだった。
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あの後、移動した各国代表はアルセイア連邦首都シェルフィーグの港に停泊させたウィストレル皇国海軍所属の巡洋戦艦『BCN-54 アークレスト・ヴェラ・レイフォニア』の甲板上で、降伏調印式を行った。
これにより、真の意味で両国間の戦闘は終結、遂に完全な終戦を迎えたのだった。
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「…終わり、ましたね」
「…あぁ」
そう言うと総悟は椅子に深く腰掛け、背もたれに体を預けた。
年季の入った執務用の革張り椅子は、まるで背もたれにかかった負荷に抵抗するように小さく『ギイィ…』と、音を立てる。
しばらくそのままじっとした後、思い出したように机に高層ビルのごとく積み重なった書類の中から一枚を取り出す。
「…損害はゼロ、消費弾薬は1200億円ちょっとか。まぁ、及第点ってとこか」
総悟が取り出したのは、今回の国防軍の損害が記されたものだった。
もっとも、損害らしい損害といえば弾薬費ぐらいで、人的被害も物的被害も全くもって発生してはいなかったのだが。
「…総統閣下。外務省によりますと、既にいくつかの周辺国家から国交開設の打診が来ているそうです。いかが致しますか?」
その突然の質問に、総悟は一瞬考えて
「…国交開設に関しては認めよう。だが、相手はしっかり選べと、外務省に伝えてくれ」
「了解致しました」
そういうと、友莉は手元のクリップボードに挟んだ紙に、スラスラとメモをした。
そしてメモを書き終えると、再び総悟に向き直り、口を開いた。
「それと、アルセイア連邦に対する武器の輸出に関してですが…」
友莉はそこで一旦言葉を区切り、クリップボードから数枚の書類を外して総悟に渡した。
そして再び、口を開いた。
「一応、兵器レベルとしては冷戦時代までに開発された兵器を輸出する方向で調整しています。訓練に関しては退役した兵士を招集し対応する予定です」
「そうか…わかった、それで許可しよう」
「はっ。すぐに取り掛かります」
そこまで言うと、友莉は執務室から出ていった。
それを見て一言。
「…副総統って、いつ休んでるんだろ」
そんな呟きも、付けっぱなしのエアコンの作動音に掻き消されて消えたのだった。
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「着いたー!アルセイア王国!」
数週間前にセルジュオン王国の王都、リバレストリアを出発し、諸国を回りながら東の方に遠征に出ていた勇者一行は遂にアルセイア連邦首都シェルフィーグに到達していた。
「にしても…やけに近代的だな。リバレストリアより発展してないか?」
「そうだね…」
冷峰の言葉に、白良木が頷く。
事実、アルセイア連邦はウィストレル皇国の経済支援を受けて、徐々にではあるが高層ビルが建ち始めていた。
ちなみに余談だが、アルセイア連邦国内で一番高いビルは、『ロージアコロストビル(228m)』であったりする。
「まぁまずは、支援物資を港に受け取りに行こう」
「わかりました」
今回の遠征に、付き添いとしてきていた騎士団長が勇者達に指示を出す。
彼らは今回の遠征の最終目的地であるアルセイア連邦首都、シェルフィーグで、帰りの分の物資の補給を港に先回りする船から受け取る事になっていた。
「にしても、まさか暮原さんも抜けちゃうなんて…」
ちなみにいつの間にか、暮原も抜けていたりする。
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「おいおい…嘘だろ…」
「なんでこの世界に…コンテナ船がいるんだ…?」
港についた冷峰達、勇者一行は、中世の文明レベルとは思えないほど発展した港を見て、驚愕していた。
しかも、港湾設備だけではない。船までもが、現代的なタンカーや貨物船、コンテナ船なのだ。
そうして勇者たちが呆然としていると、汽笛を鳴らしながら、数隻の大型船が入港してきた。
それは、たまたま補給の為にシェルフィーグに寄港した、ウィストレル皇国海軍艦隊だった。
それを見つけた冷峰たちから、驚きの声が上がる。
「あれって…ハワイにあるアメリカの戦艦じゃないか?」
「アメリカの空母みたいなのもいるぞ!」
「なんでこの異世界にあんな軍艦がいるんだよ!!」
ある者は『戦艦ニューヨーク(形状は戦時中のノースカロライナ以降のアメリカ戦艦に似ている)』を見て叫び、ある者は『空母しょうかく』などを見て叫ぶ。
それほどまでに、港に現代風艦隊が入港する光景は、彼らにとっては信じ難い光景だったのだ。
唖然とした表情で、入港する艦隊を見つめていた冷峰たちの横で、アルセイア連邦の市民が話し始める。
「お、ありゃーウィストレル皇国の船だな」
「みたいだな。さすがウィストレル海軍、馬鹿デケェ船がいっぱいだ」
「そーいや聞いたか?今度、ウィストレル皇国総統の蒼月総悟って方が来るらしいな」
「ウィストレル皇国の総統って言ったら、一番偉い人じゃねぇか!そりゃぜひとも顔を拝んでみてぇもんだ…」
一連の話を聞いた冷峰達は、驚愕していた。
なぜ驚愕しているのか?と言われれば、この国の国民の口から、自分達と別れたはずの人物の名前が出たからだろう。
その人物とは、もちろん総悟の事なのだが。
その後、再起動した彼らは予定にあったアルセイア連邦軍基地の視察に向かうことになった。
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「なんでジェット戦闘機がここに…」
再起動した彼らが向かった先の連邦軍基地には、ウィストレル皇国より供与された『F-4E』や、『Mig-29』『Su-27』などの戦闘機が配備されていた。
さらに、元々は騎龍用のものだった滑走路も強化、拡張され、5000m級の滑走路に生まれ変わっていた
これを見て、やはり勇者達はまたも驚愕していた。
「では、昼食時となりましたので、食堂にご案内いたします。私についてきてください」
「は、はい…」
ウウゥゥゥゥゥ………ウウゥゥゥゥゥ……
キィィィィン…………
案内役の兵士について、食堂へ向かおうとしていた勇者達だったが、突如基地内にけたたましいサイレンが鳴り始める。
それと同時に、ジェットの駆動音が格納庫から聞こえ始める。
直後、誘導路上に4機のF-4E戦闘機が姿を現した。
そう、勇者達はたまたまアルセイア連邦空軍の緊急発進を間近で見ることになったのだ。
滑走路まで進んだ4機のF-4Eは、エンジンノズルから炎の尾を引いて離陸していく。
ギュァァァァァァァァァァア……………
アフターバーナーを焚いて高速で離陸して行った4機のF-4Eは、あっと言う間に空の彼方へ消えていった。
それをありえないものを見る目で見ていた勇者達は、ハッとすると、案内役の兵士に問いかける。
「す、すいません!あれは…あれはアルセイア連邦のものなのですか!?」
「はっ?え、あ、いえ、あれはウィストレル皇国政府から、宇亜安全保障条約に関連しての軍事兵器供与規定で供与された、ウィストレル皇国の兵器です…」
「宇亜安全保障条約?」
「は、はい。つい数週間前に締結されたばかりの条約ですが…」
それを聞いた勇者たちのうちの数名が怪訝な顔をするが、とりあえず、今日のところはシェルフィーグの宿───いつの間にか現代的なホテルになっていたが───に戻ることになった。
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勇者達がホテルに帰ったあと、シェルフィーグから数百キロの上空に一機のジャンボ旅客機が来ていた。
『…こちらアルセイア連邦空軍第91飛行隊リゼル隊。ウィストレル皇国、コールサイン、エアフォースワンへ。これより貴機を先導する、追従されたし』
『こちらエアフォースワン了解。護衛部隊に関してはどうするか?』
『同じくシェルグ空軍基地に着陸してほしい。空軍上層部から許可は降りている』
『了解……エアフォースワンよりスレッジ隊各機へ。スレッジ隊各機は、本機に追従してシェルグ空軍基地に着陸せよ』
『スレッジ01了解』
「総統閣下。間もなくアルセイア連邦首都、シェルフィーグに到着いたします。ご準備を」
「うん…わかった」
そう眠そうな顔で呟くと、総悟はゆっくりと準備を始める。
それから数十分後、シェルフィーグ東のシェルグ空軍基地にエアフォースワンは着陸した。
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翌日、総悟は部下数名と副総統を連れてアルセイア連邦大統領(王家は象徴となり、代わりに宰相が実権を握るようになった)のタバンス・ボルゲーゼ大統領に面会するため、アルセイア連邦大統領府(旧アルセイア王城)に来ていた。
一方その頃、勇者達も宰相に到着報告をする為に大統領府に来ていた。
先に入室したのは総悟達。
そのまま総悟と大統領は軽く儀礼的な挨拶をした後、総悟だけが部屋を出て晩餐会に向かうことになった。
時刻は夕方。王城に設置された窓ガラスから夕日が差し込み、王城の廊下を赤く染め上げていた。
その景色に見とれつつ、総悟たちがゆっくりと歩いていると、向かいから数名の若い男女か歩いてくるのが見えた。
それは、挨拶に来た冷峰達勇者一行だった。
ついに別れた二つの道が交差する時が来たのだ。
「冷峰…!」
「蒼月…!?」
遂に、彼らは邂逅した。
かたや人類の希望、勇者として。
かたや相手を武力で叩き潰す、軍事国家の長として。
…物 理 が わ か ら な い
あ、おっと本音が…
すいません最初のヤツは愚痴です。キニシナイテクダサイ(爆)
まぁ、それはともかく。
以前、読者の方からお叱りの言葉を受けまして、勉強をちょっと頑張ってみたりしている私ですが…理数系ェ…
なんで理数系あんな難しいんだよぉ…(泣)
とまぁ、そんなことは置いといて。
相変わらず高校生活楽しんでる私ですが…この度、恋人と付き合い始めて半年を迎えることが出来ました。
友人も、『リア充爆ぜろ!』とよく言ってはいましたが、まぁなんだかんだ応援してくれたのでありがたかったです。
さて、今回の話ですが…まぁ、かなり展開が早すぎたかなとは思っています。
で、でも仕方ないじゃないですか!前からこうするつもりでしたし!僕は悪くない(爆)
なんにせよ、反省はしています。
そして最後に…みなさまにこの作品を読んでいただいたおかげで、遂にPV22000超えました!ありがとうございます!
嬉しすぎて今ならジャンビング土下座ができそうですが本当にするとスマホが割れそうなのでやめておきます。
次話も早めに上げていきたいと思っていますので、よろしくお願いします!!
最後に…感想があると作者は大暴走を始めるので是非感想くださいお願いします。




