第十四話 デラッサ平原会戦
やっと書けました…
中間考査なうだけど赤点覚悟で小説を書いた私です(′・ω・`)
みなさんの期待に応えるためですからね。
え?期待してない?
……すいませんでした(′・ω・`)
…アルセイア王国東部の港町ニレイブルから約90km北に進んだ場所には入り江が存在する。
この場所は、以前からアルセイア王国海軍の基地とする案があったのだが、広過ぎてそもそもそこにいれるほどの量の船を王国海軍が持っていなかったために、計画は白紙になった。
そして現在。
その広大な入り江は、アルセイア王国支援のために出撃したウィストレル皇国軍の基地が建設されていた。
既に基地には第一次派遣艦隊だけではなく、第二次派遣艦隊の各艦も到着、入港しており、上陸した陸軍施設科部隊により、急ピッチで各種施設が整備されていた。
『こちら工兵第二中隊、第三ブロックの防御区画完成率90%超えました』
「司令部了解。第二中隊の一部にあたっては、第三中隊の支援にあたれ」
『第二中隊了解』
『武偵第二小隊から司令部。B区画で偵察中、前方にゴブリンらしき影を確認。攻撃許可求む』
「司令部了解。攻撃を許可する」
『第二小隊了解』
入り江に建設された基地………『リーレイス統合派遣軍基地』の中央部にそびえ立つ司令塔の地下にある、派遣軍総合指令室にはひっきりなしに通信が入ってきており、各オペレーターは膨大な量の情報をうまく分担しながら、混乱が起こらないように冷静に対処していた。
そして、派遣軍司令長官になったのはこの人物………天山院 ルキア中将である。
彼女は元々、対テロ特殊作戦群の中で唯一MCFを主として扱う部隊…『ブラッド・ムーン』の隊長であった。
更にその前にも、もはや皇国内では伝説になり、現在でも政府が存在を認めていない国防軍特軍部唯一の魔導運用特務部隊…通称『第零魔導特務隊』の幹部格を務めていたのではないかとされるが、こちらに関しては本人が頑なに認めないためわかっていない。
因みに派遣軍司令長官になる前は北部方面軍参謀長官、北部太平洋方面軍キスタ基地司令官も歴任していたりする。
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太陽は頭上から既に落ち、入江の向こう側に広がる水平線に近くなっていた夕刻、リーレイス基地司令部に一報が入った。
オペレーターの1人が基地副司令のレゲル・クリストフ少将に耳打ちを行う。
「なんだ?…ああ、わかった……天山院司令」
オペレーターからの報告を聞いたレゲルは、天山院を呼び自らが聞いた報告を伝える。
「なに?」
「哨戒中の空軍機…RF-46Jからの報告です。ここから北西に50キロほど行った国境付近にハルヴィア帝国軍と思われる大規模な部隊の展開を確認。数は15万ほど。早ければ後数分で越境し、アルセイア王国領に侵入すると思われるとのこと」
「ついに来たわね…現時点で展開可能な部隊は?」
するとレゲルはタブレット端末をいじり始め、しばらくすると顔を上げ口を開いた。
「…第二から第五までの各中隊、および第52機械化歩兵師団、並びに第202戦闘爆撃飛行隊、第517爆撃飛行隊、第二戦術機械化汎用歩兵大隊、第六、第七両機甲中隊、第二特科大隊です」
「ほかの部隊は?」
「即応体制ではありませんから…少し時間がかかるかと」
それを聞いた天山院は、一瞬だけ脳内で計算したあと、
「戦力が若干心許ないけれど…取り敢えず、各飛行隊による対地爆撃を行って敵の足を遅らせつつ、デラッサ平原に誘導しなさい。地上部隊が展開可能な直近の平地は…」
そこまで言うと、彼女はタブレット端末を取り出し操作する。
しばらく操作した後、考え込むような仕草をしてから再び口を開いた。
「…ここ…デラッサ平原なら展開可能ね?」
「…はい。そうですね、行けるかと」
「ならばこのポイントにて敵を迎撃します。出撃可能な部隊はすぐに展開を開始させなさい。いいわね?」
「了解しました」
指示を聞いたレゲルが通信担当官に駆け寄り、指示を出させようとしたところで、天山院が再びその背中に声をかける。
「あぁ、それと」
「はい?」
「わかってるとは思うけど…現在待機中の各部隊にも、出撃準備を速やかに済ませるように通達して。できるなら3分以内に」
「…3分はきついでしょうが…まぁ、一応通達しておきます」
そう答えたレゲル、再び通信担当官に指示を伝えるように促したのだった。
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『第二小隊、展開完了!』
『こちら第202戦闘爆撃飛行隊、ディック1。目標を誘導中。ポイントα到達まで5分』
「HQ了解。ポイントα到達後、第202戦闘爆撃飛行隊は特科の弾着観測に移行されたし」
『ディック1了解』
デラッサ平原に展開したウィストレル軍は、着々と近づきつつある敵に備えていた。
機甲部隊の戦車…98式戦車(一つ前の主力戦車《MBT》。外見は10式戦車に酷似しているが、走攻守の性能は10式戦車より上。)は、52口径120mm滑腔砲W-66を敵の向かってくる方面に向け、砲撃の時を今か今かと待っている。
その他榴弾砲や迫撃砲も砲身を上に向け今か今かと待機していた。
そんな中、後方に設営された司令部テントに待ちに待った報告が届いた。
『こちらディック1。目標のポイントα到達を確認した。目標への爆撃を一旦停止、これより別命あるまで監視行動を行う』
『HQ了解。これより特科が射撃を開始する。ディック隊は弾着観測に移行せよ』
『ディック1了解』
命令を受けた第202戦爆隊は弾着観測にうつり、特科も射撃準備を完了させた。
ちなみに余談だが、本来であれば弾着観測は観測員、もしくは専門の航空部隊が行うのだが、今回は緊急であり、今回の派遣部隊で観測任務を担うべきOH-28が未だ展開出来ていなかったため、展開が完了するまでは第202戦爆隊が代役を務めることになったのだ。
まぁ、観測員だけでも砲撃は十分可能なのだが。
『諸元入力……砲撃よーい……てぇー!』
ドドォン!
号令を受けた榴弾砲群………86式155ミリ榴弾砲や79式185ミリ榴弾砲、76式105ミリ迫撃砲などがいっせいに火を噴く。
各砲弾は弧を描きながら12kmの距離を数秒間飛翔し、その爆発的なエネルギーを解放した。
『だんちゃーく……今!!!』
『…全弾初弾命中!同一諸元にて効力射に移行されたし』
『了解!…第2射、てぇー!!』
ドドォン!
再び各砲から砲弾が放たれ、目標に向かい飛翔する。
そして、弾着。
あっという間に敵の数は減少していった。
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「うわぁぁぁ!!」
「クソッ、全員走れぇ!!敵の爆裂魔法に巻きこまれるぞ!」
「足がぁっ……いてぇよぉ…!」
「しっかりしろ!リーゲ!リーゲ!!」
ウィストレル国防軍特科部隊が継続砲撃に移った頃、ハルヴィア帝国侵攻軍部隊は砲撃によって大きな打撃を受けていた。
「くっ…一体何が起こっているというんだ……!」
侵攻軍司令官であるビッツヘーゲン将軍は、状況の把握に努めようとするが、気づいたら一瞬のうちに一万数千人以上の兵士が消し飛ばされていたため、帝国屈指の名将と言われた彼の頭脳を持ってしても、すぐには原因が掴めなかった。
既に部隊の殆どか混乱に叩き落とされており、動けなくなった部隊、散り散りに逃げた部隊、前へ前へとひたすら進もうとする部隊など、様々な行動をとっており、まとまりは全くなかった。
そこに更に砲撃が襲いかかり、兵士達は急速にその数を減らしつつあった。
しかし、ビッツヘーゲンもいつまでもぐずっていた訳では無かった。
数秒後には、離れた位置から爆炎(榴弾砲の発砲炎)が発せられているのを発見し、敵がそこにいると断定。すぐに全軍をなんとかまとめ、そちらへ向かわせた。
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『目標、依然南東方向に向け進行中…………目標、進路を変更。こちらに気付いた模様です。突撃してきます』
『HQ了解。全部隊は戦闘用意。目標距離6000にて戦車部隊は砲撃を開始。距離2000で歩兵部隊以下随伴の軽装甲車両部隊は攻撃を開始せよ。 第二戦術機械化汎用歩兵大隊は直ちに出撃、敵を撹乱、可能であれば撃滅せよ』
『 第六、七機甲中隊了解』
『第二から第五までの各歩兵中隊、並びに第52機械化歩兵師団了解』
『第二戦術機械化汎用歩兵大隊了解。直ちに出撃する』
各部隊から返答があり、陣地後方から一拍置いて『キィィィィィィィン………』という甲高い推進音が聴こえて、直後、数十機のMCF──CF-65 E/F《ジェスタ・ヴェルドルフ》──が飛び立って行った。
飛び立った機体はすぐに豆粒程度にまで小さくなっていった。
戦闘が始まった瞬間だった。
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「こちらレヴェル01。目標との距離2000。これより攻撃を開始する…全機、射撃システム起動」
第二戦術機械化汎用歩兵大隊隊長、高松 真帆音は、通信を介して部下全員に指示を出す。
『チーム1了解』
『チーム2了解』
『チーム3コピー』
『チーム4了解』
指示を聞いた各部隊の隊長からの返答を聞くと、再び指示を出す。
「武装はリヴェンジャーに指定。シーカーオープン…ターゲットロック…ライフル!」
コールと共に、全てのMCFから空対地マイクロミサイル『リヴェンジャー』が発射される。
白煙を引きながら飛翔したリヴェンジャーは、ものの数秒で敵に到達し、その威力を解放した。
ハルヴィア帝国軍の隊列の各所で爆発が起き、これによりハルヴィア帝国軍は分断される。
しかし、依然帝国軍の勢いは止まらない。
惰性ではあるが、確実にウィストレル皇国軍の陣地に向かっていた。
その為、更に高松はさらに攻撃を加えることを決める。
「レヴェル01より各機!敵部隊右手より侵入し、M23による掃射を行う!掃射後、即座に反転し敵部隊に吶喊、対歩兵近接戦闘に移行する。各機、掃射用ー意!」
敵部隊の右手に回り込んだMCF部隊は、掃射体制に入る。
それを発見した帝国軍から数本、矢が射掛けられるがほぼ命中せず、仮に命中しても装甲にはじかれ、ダメージをくらうことなく、MCF部隊は掃射体制に入った。
「用ー意……掃射始めっ!」
号令とともに、MCF部隊が構えたM23ライフルから無数の25mm弾が発射される。
ダダダダダンッ!!
猛烈な射撃音と共に発射された弾丸は、帝国軍の兵士を吹き飛ばし、またはミンチにしていく。
地面への激突を避けるために、一定の高度に達したところで体を上げ、上昇に転じる。
そして高度が300フィートに達した所で反転。
『全機吶喊!全兵装自由使用を許可する!』
号令とともに銃撃を行いながら急降下して、帝国軍に突撃する。
そして着地、直後に腰のマウント装甲から、鈍く輝く剣を取り出す。。
MCF…『ジェスタ・ヴェルドルフ』…の近接兵装である『SW-21 ライバット』──超硬度合金を使用した実体剣。上手くやれば戦車も両断できる──を展開した『ジェスタ・ヴェルドルフ』は襲い掛かってきた帝国兵を一気に斬り伏せる。
鮮血が舞い、機体の装甲の一部が緋色に染まるが、それを全く気にせず機体は帝国兵を斬り続ける。
「うわぁ!?」
「な、なんだこいつ!」
「こ、こっちに来た!!逃げろ!!」
などと帝国兵が叫びながら後退を始める。
それでも尚、追いすがりただただ斬り続ける。
だが暫くして、帝国軍側から旗を振る降伏の意思が示される。
これを確認したウィストレル皇国軍は全軍に攻撃中止命令を発令。
これにより、合計三時間にも及んだデラッサ平原会戦は終了したのだった。
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ウィストレル皇国、総統官邸。
ウィストレル皇国の総統が住まうここには、日々様々な情報が届く。
デラッサ平原会戦の情報も、当然ここに届いていた。
「派遣軍からの報告によりますと、『ウィストレル皇国派遣部隊は、デラッサ平原にてハルヴィア帝国軍侵攻軍15万と接触。戦闘に突入し敵部隊を撃破。我が方に損害なし。捕虜多数を確保した。』との事です」
「…そうか。なら、良かったよ」
友莉からの報告を聞いた総悟はそう返すと、再び執務に戻る。
しかし、再び顔を上げると副総統の顔を見ながら口を開く。
「ハルヴィア帝国侵攻作戦に関してはどうなってる?」
「はい。現在、帝都制圧の為の部隊を編成、展開しています。構成としましては、空挺部隊を主力とした降下制圧作戦向きの部隊を主軸としています」
そういうと、友莉は数枚の書類を総悟に差し出す。
総悟はそれを受け取り、目を通し始める。
「…ふむ…なるほどな。しかし、これだと少々、火力不足にはならないか?」
「長距離砲撃型のMCF、または近接航空支援のための空軍機やMCFも展開しますので、そちらで火力はカバーします。もっとも、帝国側にそれほど火力の高い兵器の存在は確認されておりませんし、大砲らしきものがいくつか確認されていますが、帝都で撃てば民家などに被害が出る可能性もありますから撃たれることもないでしょうから、近接航空支援を行う機会があるかどうかですが……」
「なるほど。確かにそりゃそうだ…」
そういうと総悟は、書類を机に置き、椅子の背もたれにもたれ始める。
「あぁ、そう言えば。国防海軍と海洋安全管理局の整理案はどうなった?」
「多少の混乱はありましたが、一応国会で可決。整理案に基づいて整理を開始しています」
「そうか…」
この二人の言う整理案とは、前々より問題となっていた『ウィストレル皇国海軍』と『海洋安全管理局』の保有する艦艇の名称問題に関して、かぶる事の無いように、通常の名前(『ながなみ』、『かげろう』など)を海軍だけの名称にして、一部を除いた海洋安全管理局所属の各艦艇の名前を艦番号制(『DD-22 22号海防駆逐艦』『CL-61 61号海防巡洋艦』など)に統一する、というものである。
今回、これが行われた理由としては、『艦名がややこしくて、間違えることがあるかもしれない』というものがあった。
「ま、これで一通りの準備は整ったってことか………アルセイア王国軍の近代化は?」
「陸海空軍、どれもまだ訓練途上ではありますが、生半可な敵では勝てないかと」
「そうか。じゃ、始めますか………鈴ヶ谷副総統」
「はっ」
「総統権限を持って命令する。ハルヴィア帝国帝都、ラケートリアを制圧せよ」
「はっ!!」
この後、すぐに現地の派遣軍に命令が伝えられ、編成が完了した帝都制圧部隊は、C-3輸送機などの航空機にのって、ハルヴィア帝国帝都、ラケートリアへ向かうのだった。
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所変わってセルジュオン王国、王城。
王城にあるバルコニーに、一人の赤髪の少女がいた。
その少女は、この世界では繋がることのないはずのスマホで、誰か通話していた。
『大統領』
「…なにかしら?」
『大統領』。そう呼ばれた少女は、電話の向こうの人物に問いかける。
『ウィストレル皇国軍がハルヴィア帝国への侵攻を開始した模様です』
「………そう、わかったわ。報告ありがとう」
『はっ』
しばらくの沈黙。
再び口を開いたのは少女の方だった。
「…………早くそちらに戻りたいものね。全く」
『ええ。我々もお待ちしていますよ。大統領』
「…ありがと。それじゃあ、また」
『はい………プツッ…ピー…ピー…』
「………ふう。」
通話を終えた少女は、ひと仕事終えたと言わんばかりにため息を一つ吐いた。
「…早い所『リヴェリア』に戻りたいわね。この王城は不便ったらありゃしないんだから……」
独り、ごちるように呟いた少女は、夜の暗闇に染まる空を見上げる。
異世界だからだろうか?星が前世界より輝くように見えるのは。
「…違うか。この世界に、排気ガスが無いから……」
そう再び呟いた少女は、夜空を見上げるため上向かせていた顔を下げた。
「…………さて、そろそろ戻らなくちゃね」
誰にともなく呟いた彼女の姿は、いつの間にかバルコニーから消えていた。
…………はい。第14話、いかがでしたでしょうか?
最後に気になることも言ってましたが…
まぁ、皆さん誰かはわかってますよね?多分。
まぁ、それはそれで置いといて。
実は前回の第13話で出した暮原さん。
実は予定になかったキャラなので今めちゃくちゃ扱いに困っています(′・ω・`)
まぁ、一応路線は決めているのですが。
それにしても、高校ってこんな大変なんですね。
幸いな事に、クラスにアニメ好きの子とかが多かったのでオタク云々で色々言われることは無いですが(′・ω・`)
にしても、高校生活になるとリア充が増えますよね。
あれ何ででしょうね。リア充爆ぜろ((((殴
とまぁ、グダグタ近況報告的なことを書き連ねてきたわけですが。
なんでこんなことしてるかというと。
暇だからです(((
嘘ですごめんなさい。
後、閲覧数の方が19000PV超えました。
皆さん読んでくださって本当にありがとうございます。
まだまだ駄文ですが、これからも頑張っていきたいと思っていますので、是非!この作品をよろしくお願いします!
まぁ、次話もなるべく早く上げていきたいと思っていますので、よろしくお願いします!




