柏原財閥
私は柏原さくら、柏原財閥の娘。
住んでる屋敷は部屋が20以上あり、どの部屋にもエアコンが2つ以上ある。別荘も十数件あるので、合計するとエアコンを100台以上所有している。
最近熱くなってきたのでエアコンをつけると、寝起き時に少し手足がしびれるようになった。これは一言文句でも言わないといけない。
そう思い一度電話をかけたときは、冴えない女が出た。
「エアコンをつけると冷えるわ。何とかしなさい」
「お客様、エアコンはお部屋を冷やすためのものです。温度を上げてください」
馬鹿かこいつは。あきれて、受話器を置いた。
いらいらして部屋を歩き回る。すぐに、この会社のエアコンをもう使わないという選択肢を思いつく。エアコンを全て買い替えてもいいが、それだと数百万円かかる。私の1か月のお小遣いにものぼる。
ここは我慢だ。もう一度電話をかけよう。
二度目に電話をかけたときに、出会ったのだ、運命の男に。
「もしもし、こちらエアコンのご相談を承っております、担当者、一之瀬隼人と申します」
「エアコンをつけると冷えるわ。何とかしなさい」
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。日中は問題なく、寝るときにつけっぱなしにしておくと、朝起きた時に体が冷えて、手足がしびれる、ということですね」
「そうよ」
やっぱり分かるじゃない。全く、あの女のオペレーターはクビにすべきね。
その後も会話はスムーズにいき、翌日の寝起きはとても快適だった。
女との電話でたまっていたストレスもなくなった。電話だけでこんなスッキリした気持ちになるのは初めてだった。