オペレーターの仕事とお嬢様
俺は不定期でオペレーターの仕事もしている。メーカーのオペレーターの仕事で、エアコン等の家電の整備、修理の受付、エンジニアの派遣を行う。
電話対応の最も良いところは、言わずもがな、顔が見えないのでお客様が不快になることはない点だ。クレーマー対応だってスキルで完璧に対応できる。
「エアコンのリモコンが動かないんだけど」
「リモコンの電池は新品ですか? 一度ご確認ください」
「あら、動いたわ、ありがとう」
「エアコンの交換をお願いしたいのだけれど」
「エンジニアのスタッフを派遣いたしますね。来週の火曜日のお昼2時ころなどいかがでしょう」
「ちょうど空いているわ。それじゃあ、その日にその時間でお願い」
スキルで解決策が表示されるので、ちょちょいのちょいだ。
ある日、高慢な口調の女性から電話が来た。
「もしもし、こちらエアコンのご相談を承っております、担当者、一之瀬隼人と申します」
「エアコンをつけると冷えるわ。何とかしなさい」
エアコンは冷やすためのものだ。冷え性ということだろうか。スキルを発動させる。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。日中は問題なく、寝るときにつけっぱなしにしておくと、朝起きた時に体が冷えて、手足がしびれる、ということですね」
「そうよ」
普通は分かんねえよ。
「それではタイマーをつけて寝てから数時間経つと温度が上がり、風量を調整するように設定しましょうか。お手元にリモコンはございますか」
「あるわ」
その後、起きた時にちょうどいい温度、風になるように設定した。
「これで起きた時のしびれも大丈夫だと思います。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」
「分かればいいのよ」
そう言って電話は切れた。
三人目のヒロインです。




