対面の女
本は好きだ。カフェで読む本はもっと好きだ。
前世で読んだハリーポッターの第3巻に、カフェで甘いスイーツを食べながら勉強をしているシーンがあった。ハリーが家から逃げてファッジに保護される場面だ。それを読んで以来、カフェで勉強することがかっこいいと思って、よく行くようになった。検事になってからさすがに勉強はしていなかったが、カフェでよくこうして本をよく読んでいたな。
今日はベローチェに来ている。本のお供はロイヤルミルクティーだ。
ゆったりと流れる時間が日々の疲れを癒してくれる。
本を読みつつ妄想にふけり思考に没頭する。
家電アドバイザーの仕事辞めようかな……でも収入がな……
そんなことをぼんやり考えて1時間くらい経つと、ふらりと女がやってきて対面の席に座る。
……だれ?
不細工になって鍛えられた勘がささやいている。目を合わせては駄目だ。
マスク越しに目を合わせないようにして顔を見るが、知らない人だ。
「すみません、相談があるんですけど」
「はい」
突然口を開いた彼女に、俺は警戒レベルを最大限に引き上げた。
宗教の勧誘か? 壺の押し売りか? 俺は騙されないぞ。
「その前に一杯コーヒーおごってくれませんか?」
!?
な、なんだって!?




