蹂躙
二人で馬鹿をやっていると、サイベリアン(シベリアネコ)が入ってくる。
トテトテと俺たちのほうまで歩いて来て
「ニャー」
と鳴いたかと思うと俺の前にデン、と座って
「ニャニャニャ!」
と仰せられた。
「はいはい分かりましたよ」
俺はお湯をかけるとボディーソープを手に付けて再度泡立てる。
しかし! 今日で猫と人の立場は逆転するのだ! 猫畜生め、人間の恐ろしさをみせてやる。
俺はスキルを発動させ、耳の後ろ、首の後ろ、腰あたりを重点的に、丁寧にマッサージしながら洗ってやる。
「ニャ!? ニャゴロ!!!???」
あまりの快楽に猫が怯えている。私どうなってしまうの、という感じだ。
「まだまだこれからやで」
自然と関西弁になる。
「ニャニャニャ! ニャニャニャーニャ!」
彼女は辞退を懇願している。やめて、これ以上されたら私、と言っているらしい。
俺のS心がムクムクと頭をもたげる。快楽に耐え切れない女に更なる快楽を与える瞬間はたまらない。
「ほれほれ、ここがええんやろ、ここが」
「ギニャー!!!」
「ゴロゴロゴロゴロ」
蹂躙された体は完全に力が抜け、四肢はだらんと垂れて床にくっついている。目はとろんとして、体も心も奪われてしまったのが目に見て取れる。私もうお嫁にいけない、状態だ。
俺と猫はあるべき地位に戻った。人間の尊厳は守られたのだ。
「これからは俺が上司だ。敬えよ」
「ニャー」
猫は肯定するかのように一鳴きした。
それぞれ体を洗い終えたので、二人と一匹で泡風呂に入る。
「ふーいいお湯ですわね」
「そうですね」
「ニャー」
やはり風呂はいい。気持ちいいなあ。
お、滝風呂にセバスさんがいる。すごい筋肉だ。あれが俺脱いだらすごいんですよ、というやつか。
……あれ? セバスさんが二人いるような?
二つの滝に当たっている彼が二人見える。
「ああ、あれは反復横飛びをしながら滝に当たっているの。セバスは反復横飛びの世界記録保持者よ」
ん? その話前世で聞いたことあるぞ。なんか一人ダブルスの……
「滝に当たるのも二倍ですから効率がいいんですの」
反復横飛びで瞬発力を鍛えつつ、二つの滝に当たり血行を良くする。確かに良いトレーニングだ。
「肉体のセバスに、頭脳の隼人、二人で初めて一つの完成されたものに……は! いけない! これ以上はいけないわ!」
「ニャ?」
柏原様が何か騒いでいたが滝と泡の音で聞こえなかった。どうせ大したことではない。
今日も柏原家は平和だ。




