不細工の心得
俺の名前は一之瀬隼人。
検事として働いていた俺は、担当していた犯人が新たに殺人を犯そうとした際、人をかばって刺され死亡したが、それに同情した神様がもう一度日本に転生させてくれた。
前世で検事として国民のために働いていた俺は、もう一度この世界で人助けをしたいと思い、人を助けるためのスキルを取得した。問題点とその解決法が瞬時に浮かぶチートスキルだ。
今日もスキルが発動し、女性が財布を落としていたので、拾ってあげた。
もっとも俺には致命的な欠点があった。超不細工に転生していたのだ。
「ふう、危なかったな」
足早に現場を離れた俺は一息つく。
助けた後は早く立ち去る必要がある。俺の顔を見て暴漢と間違う女性が後を絶たないからだ。
さっきの女性も、俺の顔を見た瞬間、一気に警戒する顔をした。あれは危なかった。
まあ、いきなり叫び声をあげないだけ、他の女性よりもましだが。
子供のころはいじめられ、女の子からは、「隼人菌」のこすりつけあいをされた。
家族だけは俺を愛してくれたが、もうこちらの世界で、家族以外の女性と関わり合いになることは諦めた。ただ人のためになることをして生きて行こうと思う。それも一つの生きがいだからだ。