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部署異動
三章が始まりました
出勤すると同時に、オペレーターの部長から声がかかる。
「おい、一之瀬、今日から違う部署に異動してもらう。家電アドバイザーという部署なんだが、基本的には今までの業務と変わらないと思ってもらって構わない」
「お客様から顔の見えない部署ですか?」
俺の不安はこの一点だけだ。部署異動に動揺などない。俺と一緒に働きたくない人が多すぎるせいで、たらい回しは慣れっこになった。
「ああ、安心しろ。ある意味で人と顔を合わせることはない。お前の担当するお客様は唯一人だ。ちなみにお前は一応部長に昇進だぞ、よかったな」
「は? どういう……?」
その後一通り部長からの説明が終わり
「なんじゃそりゃ!」
俺の絶叫が響き渡る。
二度と出勤することはないこの部屋に。




