IF回 もしヒロインと買い物に行ったら
※本編とは別の世界線です。
1 南愛が彼女の場合
「これもいいなあ、でもこれも捨てがたいなあ」
愛さん、それさっきも言ってたよね。
「どう思う?」
「どっちも似合っていると思うよ」
この台詞も10回以上言っている。
俺は笑顔だが足はプルプルしている。立ちっぱなしで疲れたよ。
「ごめんね、荷物持たせっちゃって」
俺はこの5時間でため込んだ荷物を持たされている。愛も謝ってくれるので俺も怒れない。いや、これが彼女の作戦なのか?
我慢、男は黙って我慢だ。
「どっちも買っちゃおうかなあ、でもなあ、今月厳しいしなあ」
……女性の買物は長い。
2 橋本薫が彼女の場合
「ふー疲れましたね」
買物に行ってもかおるは適度に休憩を挟んでくれ、荷物も自分で持っている。
「実は先輩にプレゼントがあります」
そう言って彼女はリボンのついた箱を取り出す。
ん? 何だ?
「えーありがとう。開けていい?」
「どうぞ」
開けるとそこにあったのは、先ほどどうしても欲しくて見ていた時計だった。財布と相談して買わなかったが。
「こ、これ!」
「さっき欲しそうに見てましたよね。いつも優しくしてくれるお礼です」
「い、いつの間に?」
「先輩がお手洗いに行っている間です」
なんて嬉しいサプライズなんだ。
「でも高かっただろう」
ふふふ、とほほ笑む彼女。
「先輩のために使うお金なら惜しくありません。ちょうどお給料も入りましたし」
ああ、こんなに尽くしてくれる彼女がいて俺は幸せだ。
3 柏原さくらの僕の場合
「さあ、ショッピングに行きましょうか」
「どこに行くんですの?」
「え?」
そりゃ買物に……
「店に行く必要はないわ。向こうから来るんだから待っていればいいのよ」
その言葉と同時に扉がノックされ、いくつもの服を持った召使いと商人が入ってきた。
ああ、そういうタイプのお店なんだ。楽でいいね。
柏原様は一通り試着した後
「さ、選んでください」
と言ったのでスキルを発動させ、いくつかの服を購入する。
「さすが伴侶様、お目が高い。」
商人が揉み手で笑みを顔に張り付ける。伴侶じゃねえ、ペットだよ。
「ちなみにお値段はいかほどですか?」
商人に聞く。
「安い服で50万円といったところでしょうか」
ご、ご、ごじゅう!?
「私の服装は格式をも備える必要があるの。パーティで使うし、目上の方と会うとなるとどうしても高いものしか買えないから、少し不便ですわ」
1円でも安く買おうとする俺とは真逆の発想だ。金銭感覚が麻痺していく。
「ちなみに家族の歳出額はエチオピアの国家予算を超えます。隼人さん、エチオピア欲しい?」
逃げて! 逃げてエチオピア!




