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03


芳樹は夕闇迫る教会の前でドアの取っ手を眺めながら中に入るか入らないか迷っていた。

(…っ、あーもう。何やってんだ、俺はこんな何処で…。もうすぐ6時だし…。)

「あー、行くしかない。」頭を掻きながら覚悟を決め、取っ手に手をかけたそのとき背後から「あの、何をしているのですか?入るなら早く入ってくれませんか?後ろが支えているんですけど…。」


芳樹は後ろを振り返ると、ウェーブがかかった栗色の髪にかっちりスーツを着て、高いヒールを履いた女性が立っていた。ばっちりメイクまで施された彼女を見ていると少し伸びすぎたボサボサの髪とよれよれの毎日着ている作業着が少し恥ずかしくなった。


「え、あ、いやぁ…。今すぐ入り、ま、す…え?」と言いかけた瞬間、勢いよくドアが内側へ開いた。開いたドアの勢いで芳樹は教会の中へ転がり入った。


中から「え、わっ。やあっ」と言う悲鳴と共にドシーンと何かが衝突する音が聞こえた。


「え、ちょっと大丈夫ですか?」いきなり目の前から消えた芳樹を心配して慌てて栗色の髪の女性が中に入って見ると内側のドアの取っ手を握っているふくよかな体型で中年を少し越えたような容姿をしたシスターと中の壁にぶつかり目を回している芳樹が倒れていた。


「お久しぶりです。浜田先生、いや今は…。」

「久しぶりね、昔みたいにあだ名のサラダで良いわよ。えっと貴方の名前は?」

「あはは、12年も経ったら分からないですよね?慧真(えま)です、瀬戸慧真。久しぶりに会ったのに堅苦しいのは無しですよね、サラダ。で、彼は大丈夫ですか?」再開を果たした2人は、懐かしがるのを後にして痛みに耐えて横たわっている芳樹を起こすことにした。


「あの、大丈夫ですか?」

「っつう、あ、大丈夫です。」

「ごめんなさい。私が勢いよくドアを開けたもんだから…。」

「あ、いいえ、気にしないでください。俺が不注意だったので…。」芳樹は痛みに耐え立ち上がった。

「で、貴方は何をしに今日、ここに来たのですか?」

「あ、えと、これが届いたので…。」芳樹は今朝、宏樹に届けられた葉書を2人に見せた。


「貴方があの上高芳樹君?大きくなったわねー、12年も経つとこんなに変わるのね。」芳樹の顔や体にペタペタ触りながらサラダは懐かしがる。


「あの、その…、俺あまり覚えてなくて…。」

「あら、ま、そうなの?まあ、12年も経っているからねぇ。まあ、取り敢えず礼拝堂へ行きましょう。もう、みんな揃っているから」サラダはそう言い、芳樹と慧真を連れて礼拝堂へ行った。

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