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20世紀第四シーン 権力闘争
「くそっ、先ごろ、山根の若衆が石橋を襲うた言う話が聞こえて来たが、ほなん石橋、金城は絵描いたんかい!」
「どうしま?金城やったりますか?」
若衆頭の、人見が言うと、
「ぼけえ!そなん訳行くか!完全に先手打たれとるんや。手出したら、それこそわしがアウトや。くそ・・石橋はやっぱり食えん奴や。ええか?元町新地と山根興業㈱には今後一切手を出すな。もめたら破門やど!」
安藤が歯噛みした。石橋は、宝山会にはこれ以上ない利権を与えている、だから、それ以上は望むなと、釘をしっかり刺して来たのだ。即ち、今問題を起こしたら、利権を取り上げるぞと言う暗黙の脅しでもある。こうなると、やはり石橋のどす黒いと評される腹は、誰にも読めなくなって来た。