119/125
20世紀第四シーン 権力闘争
山根の眼が光った。貫禄のある侠客である。
「いやいや・・親分の為に命を捨てれる者が居る。それは、自分のとっての財産でしょう。親分さん、今日は単刀直入に言いましょう。うちんとこは、元町新地の世話人を親分さんとこにお願いしようと思っております」
「何・・金城はん、それは、安藤はんとこに任せるん違いまんのか?」
「ここだけの話にしましょ・・宝山会の安藤は全面に信用出来ません。隙あれば、こっちの事業に食い込み、自分の利権にしようと目論む男です。だから、今晩は石橋総業㈱の代理としてわしが来ました。この時代にあっても、親分さんとこの長年培って来た伝統が必要じゃないのでしょうか」
「・・ええ話や・・。そやけど、石橋はんは失礼でっけど、腹に黒いもんを持っとるとわしは思うてました」