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The Element  作者: Silver
15/16

大暴れな6人

煉以外もバースト修得です

「お前ら何でここにいんだあぁぁぁぁ!!」

まず煉はリオ達の姿を見て大絶叫した。

立て続けに、

「怪我はどうした!?何で普通にいんだ!?つーか今魔龍のブレス消したよな!?どうしたんだお前ら!!」

質問ラッシュ。

「あー!もううるさいわね。いいじゃんいたって。怪我も完治してるわよ」

リオが心底うるさそうに答える。

「それとあたし達、バースト修得したから問題無しよ!!」

ピースをビシッと突きだし得意気に答えるリオ。

それを聞いた煉は、顎が元に戻らないくらいに開いた。

「お前らが…バーストを?修得した?このたった、えーと……3時間くらいでか?」

「そうだよ~ん♪3時間で修得したよ」

「とは言えシンディ殿のおかげでござる」

ライズが得意気に言うのと同時に十蔵が事の発端を話す。

「ばあさんの……ってお前ら〈あそこ〉に行ったのか!?」

突然煉が大声を出すからリオが驚いて尻餅をつく。

「あそこ…って、煉知ってるの?」

リオが尻をさすりながら立ち上がり煉に聞く。

「知ってるも何も、俺はあそこで鍛えられたからな。ばあさんの作り出した空間。周りと時間の流れを変えて短時間で長期間の修行が出来る。お前らは3時間だから、3週間くらいか」

「うんうん、本当に死ぬかと思ったよ。何せ自分と戦わなきゃいけなかったからね。僕の顔が傷付いたら女性が悲しむからやりにくかったよ」

いきなりナルシスト全開なのは当然ウェド。

自慢の銀髪をなびかせてさらに話を続ける。

「ところでリオちゃん、この3週間でお胸の成長はゲフアッ!!」

ウェドお馴染みのセクハラはリオの怨念が込められた回し蹴りで強制終了となった。

「あんたはセクハラで一回捕まれば?」

「ウェド君……スケベ」

リオと美紀の容赦無いツッコミをくらったウェドは活動を停止した。

「ウェド殿お!!駄目でござる!!出てきたばかりで死んでは駄目でござる!!」十蔵が血相を抱えてウェドの頬を往復ビンタする。

「きっとウェド殿だけでなく煉殿もリオ殿の胸の成長は気になってるにチャグッ!!」

十蔵の話も煉の拳骨で強制終了した。

「さらっと俺をそこに巻き込むな!!」

頭から煙を出して気絶してる十蔵に全力でツッコミをかました。

「まあ皆。話はその辺で終わらないとあいつ、かなり怒ってるよ?」

ライズが口を開いて全員に注意を促す。

確かに、今まで無視されていたのが気にいらなかったらしく相当ご立腹だ。

「おお、忘れてた。さっさと片付けねえと」

煉は刀を構えて再び魔龍と睨み合う。

「よーし!あたし達も行くわよ!!」

「了解!!」

「承知!!」

「お任せあれ!!」

「…うん」

リオの号令で全員右手をまっすぐに突きだし、

『バースト!!』

その名を鋭く言い放つ。

その瞬間、辺りは5つのエレメントの解放で支配された。

荒れ狂う暴風。

轟く雷鳴。

渦巻く激流。

吹き荒れる吹雪。

巻き上がる砂嵐。

煉は咄嗟に顔を庇いエレメントの衝撃に耐える。

しばらくして視界がひらけ、リオ達の姿を見るとそこには、

翡翠色の刃の大鎌を持つリオ。

黄色く輝く斧槍を持つライズ。

蒼色の巨槍を構えている十蔵。

白銀に光る双剣を両手に持つウェド。

土色の大槌を持つ美紀。

5人のバーストを見て煉は素直に驚いていた。

「本当に修得してたんだな?」

「当然よ。凄いでしょ」

「今回ばかりはそう思うよ」

「あら?やけに素直じゃん。あっ、煉。バーストの名前は付けた?」

リオが言った言葉を理解するのにしばし時間が掛かった。

「名前?そんなんあるのか?」

「あー。やっぱね。まあいっか、理事長からあんたのバーストの名前預かってるから」

「いやいや待て待て。そもそもバーストに名前付けるもんなのか?」

「らしいわよ。ノリみたいなもんじゃない」

さらっとリオが言う。

「へえ…ところでお前らのバーストは何て名前なんだ?」

とりあえずリオ達の名前を聞く事にした。

「えーと、あたしのが【全てを滅する嵐の大鎌・嵐滅】」

「俺のが【天に吼える雷の斧・雷吼】」

「拙者は【大海を絶つ蒼き槍・海絶】」

「僕は【全てを凍らす氷の牙・凍牙」

「私は…【大地を裂く巨なる槌・地裂】」

「中々良いネーミングセンスしてんなばあさん」

「で、お待ちかね煉のバーストは、」

リオが紙をポケットから紙を取り出して読み出す。

「え~っと、【焼き尽くす真の炎の刀・炎真】だそうよ」「炎真、か。悪くねえな」

煉は改めて刀、もとい炎真を見る。

「よーし!いっちょ暴れるか!!」

「ええ!」

「しゃあ!!」

「承知でござる!!」

「いっちゃおう!!」

「…頑張る」

それぞれが武器を構えて魔龍と対峙する。

魔龍は唸り声を響かせ、鋭く煉達を睨み付ける。

そして魔龍は四枚の翼を羽ばたかせ空へ飛ぶ。

そこから真ん中の首を180度以上開き、5つの紫色の物体を吐き出した。

物体はやがて形を変え、5体の魔龍へとなる。

これで6人対6体の戦いとなった。

「口から分身吐くなんて、気持ち悪」

リオが露骨に顔をしかめて毒づく。

「しかし丁度良いでござる。バーストの力を実戦で使える機会は中々無いでござるからな」

「同感。じゃあ殺っちゃおう!!」

「ライズ、言葉が物騒だよ」

ウェドが冷静につっこむ。

「そろそろ……いかない?あっち…怒ってるよ」

確かに、6体の魔龍は顔を真っ赤にしていた。

「おしいくぜ!!」

煉のアイズでそれぞれが自分の相手の前へ行く。

煉はまず炎真で魔龍の両足を切断する。

バランスを崩して倒れてくる魔龍の頭へ炎真を振り下ろす。その斬撃で魔龍を一刀両断した。

しかし、切り離された瞬間に切断面から触手が伸び、体が再生する。

「やっぱし、物理的に壊すのは無理か」煉は舌打ちしながら炎真を逆手で左手に持ち変え

右腕からバスケットボールほどの炎球を5個放つ。

炎球は魔龍の頭に1つ、胴体に2つ、両翼に1つずつ直撃する。

効果はあったようで、再生せずに焼け爛れていた。

有効と分かった煉は距離をとり、中距離から炎球を立て続けに撃ち出す。

集中放火の攻撃は確実に魔龍に効いていた。

所々火傷が痛々しく見える。息を切らし、動ける状態では無かったが、魔龍は翼を羽ばたかせて空へと離脱する。

あっという間に上空へ行き、追い付けない。

とは思わない。

煉はバーストで出現させた炎で出来た竜の翼を羽ばたかせて魔龍を追う。

煉の飛行速度は魔龍を凌駕し、ほんの数秒で先回りする。

「敵前逃亡は死を意味するぜ?」

煉は炎真の切っ先を真っ直ぐ空へと向ける。

すると膨大な炎が炎真に纏い、天を貫く巨大な炎の刃となる。

「技名は、そーだな。

真断紅蓮(しんだんぐれん)!!!」

即興で付けた技名と共に炎の刃を振り下ろす。

煌々と燃える刃は魔龍を切り裂き、焼き尽くし、見事倒した。「うしっ!!さあて、あいつらはと…」

片付け終えた煉は空からリオ達の様子を見ていた。

下では、まー凄い戦いになってた。

と言うより、かなり一方的なリンチ状態へとなっている。

リオは大鎌・嵐滅を振り回し、魔龍の部位をくまなく切り裂いていた。

切れ味はかなりのもので、かるく切断していた。

ライズは斧槍・雷吼を持って、迅雷のごとき速さで魔龍を攪乱していた。

目で捉える事はほぼ不可能。例え出来たとしても、残像が薄く見える程度だ。

そして、高速移動から放たれる雷吼の一閃。

その一撃で魔龍の首を切り裂く。切られて数秒後に首が落ちていった。

十蔵は巨槍・海絶を器用に操り、的確に魔龍の急所へ突きを繰り出していた。

見れば、魔龍の頭、心臓部、腹にいくつも貫かれた痕が見える。

さらに足を海絶の柄で払いバランスを崩し、倒れてきたところへ踏み込みの威力を乗せた突きを放ち、魔龍の巨体をつきとばす。

ウェドの戦い方は少し変わっていた。

ウェドの周りがスケートリンクのように凍っており、その上を華麗に滑りながら、氷結の双剣・凍牙で舞うように魔龍を切り付けていた。

氷上ということもあり、魔龍も上手く動けない。

そんなんお構い無しに、ジャンプ、高速滑走、さらにはトリプルアクセルに剣技を付け合わせ、美しく魔龍を切り裂いていた。

美紀は、その身に余る巨なる槌・地裂を振り下ろし、魔龍の足下を砕く。

それによりバランスを崩した後、地面を階段状に隆起させて助走を付けてジャンプする。

そこから振り上げた地裂を魔龍の頭へ叩き付ける。

巨大な震動と共に魔龍の頭が砕かれた。

「でもまだ生きてんのよねー?」

リオが心底面倒くさそうに言う。

「再生は反則だよねぇ?空気よめよな」

「ライズ殿は空気を読む事が可能なのでござるか?」

「うん十蔵、その捉え方間違ってるよ」

十蔵のボケか本気か分からない言動をウェドが冷静につっこんだ。

「えーと…いい天気…って書いてるよ」

「おお!美紀殿!かたじけないでござる」

「美紀ちゃん止めたげて!!」

美紀もボケたので焦ったウェドであった。

「と・り・あ・え・ず!!ちゃっちゃと倒すわよ!!」ボケとツッコミにしびれを切らしたらリオが声を上げて終了させた。

「煉だってとっくに倒してんのよ?遅れはとりたくないの」

「それもそうだね」

「承知でござる」

「サクッといっちゃお」

「……一撃必殺」

全員が自身のエレメントを最大解放する。

まず動いたのがリオ。

疾風の如き速さで魔龍の回りを高速移動する。

円状に動くリオの残像はやがて、実像となる。

いつの間にか、魔龍の周りには6人のリオが立っていた。

「おお、リオの野郎分身の術覚えたのか」

上空で呑気に眺めていた煉はリオの技を見て驚きの声を上げた。

「さて」

「さっさと」

「決めさせて」

「もらうわよ」

「蜥蜴君」

「。」

「最後の奴セリフ残しといてやれよ!!」

そして次はつっこんだ。

「いくわよ、<嵐魔六幻>!!!」

煉のツッコミをスルーして必殺技をかます。

6人のリオは魔龍に向かって一斉に嵐滅を振り下ろし、文字通り、細切れにした。

細切れになった魔龍は二度と再生する事は無かった。

ライズは全身に雷を纏い、閃光のような速度で縦横無尽に駆け回っていた。

しかも陸だけでなく、爆発的な脚力を使いジャンプする。そこから何も無い空中を蹴り付けさらに跳ぶ。

魔龍の真上に跳躍したライズは雷吼を大上段で構え、重力に従って落下し、

「<鳴動雷電>!!!」

落雷の如き爆音と共に、雷吼を振り下ろした。

その威力は、魔龍を塵状にしただけでなく、大地に巨大な切り込みを刻んだ。十蔵は、魔龍から距離をおいた場所で海絶をまっすぐ構えていた。

瞳を閉じ、隙だらけと思うだろうが、違う。

かつて煉が初めて魔龍を倒した際に使用した居合い切り。

十蔵はそれを真似ていた。いわゆる、

居合い突き、である。

魔龍はそれを好機と考え、耳障りな咆哮を上げて突進してくる。

どんどん詰められる距離。ものの数秒で十蔵に接近する。

そして、魔龍が十蔵の間合いに入った瞬間、

「<海流絶槍>!!!」

全身の力を込めた突きを魔龍へと放つ。

渦巻く水を纏い、ドリルのように回転する海絶は、魔龍の体をミキサーにかけたかのように粉々にした。

ウェドは相変わらず自作スケートリンクで華麗に舞っていた。

そして上手く動けない魔龍は限界が来たのか、口から強酸のブレスを吐き、スケートリンクを溶かそうとするが、

「甘いよ」

ブレスはスケートリンクに付くと同時に凍結した。

「もう決めるよ」

ウェドはスピードを上げて滑走し魔龍の両足を凍らせる。

動きを封じた後、華麗に回転ジャンプを決め、

「<凍狼凶牙>!!!」

凍牙で魔龍の胸部をX状に切り裂く。

しかし、そこから出血はしなかった。

代わりに、傷口からどんどん魔龍の体が凍っていく。

砕こうと拳で氷を殴るが、逆に拳が凍り付き、やがて完全に凍結し、活動を停止した。

美紀は地裂の端を持って空に掲げていた。

すると、地裂の槌の部分に岩石や土砂がくっついていき、数倍の巨大な槌となった。

「一撃必殺…<地衝裂波>!」

隕石と同等の槌の一撃は正しく、一撃必殺。

潰された魔龍は跡形も無く消え失せていた。「あいつらやるなぁ」

煉は相変わらず上空でリオ達の戦いを見て感心していた。

とりあえず煉はリオ達のもとへと移動した。

「お疲れさんだな、お前ら」

「まあねぇ。中々だったでしょ?」

「いやいや中々じゃなくて上々でしょこれ」

「ライズ殿、謙遜と言う言葉を覚えた方が良いでござる」

「何それおいしいの?」

「ウェド殿までボケないでくれでござる」

「謙遜…簡単に言えば自分を相手より下にして話す事」

「助太刀かたじけないでござる美紀殿」

「結局何の話だよ?」

煉はとりあえずつっこんどいた。

「話は帰ってからでも出来るから戻ろうぜ。俺は腹が減った」

「あ!賛成!あたしもお腹すいた」

「俺は煉の料理が食いたい」

「拙者も食いたいでござるなぁ」

「じゃあ僕はフレンチトースト」

「あたしは…おにぎり」

「いや待てぇぇぇぇい!!そこは自分で作れよ!!料理出来るだろ!?」

「何言ってんのよ?」

「そうだよ」

煉のツッコミに抗議を上げたのはリオとライズ。

「料理が出来たら苦労しないわよ」

「料理どころか家事も出来ないけど何か」

「威張って言うなぁぁぁぁぁっ!!」

煉のシャウトと同時に放たれたチョップがリオとライズの脳天に炸裂する。

「たく、しゃあねえ。今日は鍋だ。食いたいなら箸と皿持ってこい」

ため息混じりでリオ達に告げる。

それに笑いながら頷いたのは言うまでもない。

煉達は今の場所を後にして校舎へと帰って行った。

ありがとうございました

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