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好き×大好き×好き  作者: 九条 現
プロローグ
7/7

なんともいえない恐怖

眼を覚ますと

外はもう暗くなっていた


先ほどのことを思い出すと身震いがする


あれは本当に小春だったのだろうか?


疑問が深まっていくばかりだ


今考えるのはやめよう

そうでなくても寝つきがよくなかったというのに


平静をよそわなくては......


こんな気持ちになったのはあれ以来からだ

しかし先日までのとはなにか少し違う恐怖だった

例えようのない恐怖が

俺を覆い尽くしている

俺はそれを破らなければならない

そうでもしないと......


しかし寝汗が酷い

風呂にでも入ろう

何故、俺がこんな恐怖を味わなければならないんだ

独り言をぶつぶつ呟きながら風呂にはいった


風呂から出ると

先ほどまでのなんともいえない感情や気持ちが少しは和らいだ

風呂という存在は特別なものだ


しかし、彼女は本当に何者なのだろうか

もしかしたら彼女の皮を被った何かかもしれない


だが、そのことについて考えてると頭が痛くなってくる

この状況はどうするべきなのだろうか

高崎に相談したいけど......

夢で出てきたあの豪邸は、どことなく高崎の家に似ている

家の外観は同じような感じなのだが......内装は......違う、そう何かが違うのだ

明日、執事の仕事を頼まれている

その時にでも調べてみることにしよう

高崎の家は広い

そう簡単にヒントなど見つかるわけではないと思うが......

かけてみるのも......悪くはないな



俺は高崎の家にいた

今日は頼まれた仕事の日だ


親父さんから

「しっかり頼むよ!」

と言われてしまった

「わかりました」

とはいったものの、内心は申し訳ないきもちでいっぱいだった

俺は仕事をしながらあのことのヒントがないか調べることにした


高崎の家には部屋が百数部屋以上存在する

その変わりなのか、部屋自体はそこまで広くない

俺が掃除を任されたのは東館にある部屋の掃除だった

高崎の家は四角形に建っている

東館、南館、西館、北館と分かれている

すべての館は二階構成になっている

なんにせよ、ヒントを見つけるのが容易でないということは十分わかる

「楽にみつかんねぇかな......漫画みたいに隠し扉があるとか、合言葉言うと動く本棚とか」

とは言ってみるものの、合言葉なんてわからないしでてこない、隠し扉もそう簡単に見つかるわけがないのだから

とりあえず、一階から掃除を始めることにした


ふと、夏なのにこんなに涼しいのはなぜだろうと思った

さっきからそう感じていたのだが部屋の掃除を始めた途端、さらにその寒さがが感じられた

だが、この部屋に特別なにかあるわけではなさそうだ


廊下にいるときから感じていたからな......


もう一度廊下に出るとそんなことはなく、夏らしい暑さが廊下に広がっていた

「気のせいか?」

と思うようにしたが、何かがひっかかり掃除がはかどらない


......とにかく先に掃除を終わらせるのが優先だ

仕事中にやはりそんなことはできない


俺は大急ぎで掃除を終わらせ親父さんのところに行った

随分早く終わらせたためか、親父さんは驚いていた

俺は

「すこし休んでいってもよろしいですか?」

と聞いた

「もちろん構わないさ

ゆっくりしていきなさい」

といわれたので、掃除をしていた東館のほうに戻ることにした


さっき感じたあれはなんだったのだろうか


外も涼しくなってきたためか、昼と比べて感じづらくなっていた

「くそっ、さっきのは一体なんだったんだよ!」

少し苛立ちを覚えた俺は諦めて帰ることにした


しかし、あの昼の感じはなんだったのだろう


......まさか小春が?


いや、ありえない

この屋敷の警備はそんなに甘くないはずだ

あれはきっと気のせいだ

そう、気のせいだ......

脳裏に先ほどの情景が浮かんでくる


そこには確かにいた

そう小春の姿が......

物陰に隠れ、こちらをじっと睨みつけていたのだ


あの眼は恐ろしい

小春のものとは思えない


俺の考えすぎなのだろう

こんなことが続いているから

きっとナーバスになっているんだ

うん、きっとそうだ



しかしなぜだろうか

またいつものあれが俺の背中を襲う

後ろを振り返っても誰もいない

いるわけがない


「だっ、誰かいるのか?」


返事はもちろんない


なんともいえない恐怖がまた俺を包み込む


こんなにも毎日

毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日!!!!!

恐ろしい感覚に囚われなければいけないんだ!!

「消えろ!今すぐ消えてくれ!俺が何をした!何かしたなら謝る!何もしていないなら、なぜこんなことをする!教えてくれ!」

廊下で俺は、怒鳴り声と似つく声で叫んでいた

肩を震わせ、息を切らせて、脚を震わせて

俺は無我夢中で叫んだ


「...け」

......え?

「......くけ」

うそ......だろ?そんなこと......あるわけ......

「くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


その声とともに窓に手形がついていく


その声は俺の脳に直接響いてくる

痛い

頭が......痛い

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!

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