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好き×大好き×好き  作者: 九条 現
プロローグ
2/7

お誘い

夢......夢を見ているらしい

何だか朦朧としていて、

わからない。

頭も少し重い。

「どこだ?ここは?」

なんだか見慣れない景色だ。

何処かの屋敷......だろうか?

窓から外を見ると広大な庭が広がっている。

すると、ドアがふいに開いた。

そこには、俯いた姿勢の女性が立っていた。

スタイルとかはいいし、髪も長い。

女性に近づこうとすると、

いきなり首元を掴まれた。

外見からは出されない様な怪力で

掴まれている。

......痛い。とても、痛い。

女性が何かぶつぶつと呟いている。

途端、僕の喉元に刃物が突き立てられ、

そのまま、首元を切られた。


............はっ!?

随分と生々しい夢を見てしまった。

朝から目覚めがよくないじゃないか。

あんなものを見せられたら、

尋常じゃなくなってしまう。

「よく、耐えられたものだな」

自分でもそう思った。

時計を見ると、起きるにはちょうどいい時間だった。

朝食の用意をして、テレビをつける。

テレビをつけたが、見る余裕もなく、朝食を急いで済ました。

制服に着替え、靴を履き、外に出る。

夏休みが終わり、9月に入ったが

まだ暑さは続く。

この暑い中、始業式だと思うと

気が滅入ってしまう。

家からは約10分足らずで着く。

お嬢様や坊ちゃんなどが通う様な

高校に通っているが、僕は金持ちでもないし、家族が偉い人とかではない。

学力が無駄に高いのだ。

これは、なんというか小さい頃からそうらしい。

一度聞いた事は、ほとんど忘れない。

それが、僕、新羅(しらぎ) (あきら)である。

校門に着くと、風紀委員の人たちが制服の乱れや、挨拶をしている。

「おはようございます」

挨拶を交わすと、教室へ向かって行った。

上履きに履き替え、教室に入る。

廊下ですれ違った奴らと挨拶をし、

自分のクラスに入って行く。

席に着くと、一人の男子に話しかけられた。

「よっ、久しぶり。どうだった?夏休みは?」

こいつは、高崎(たかさき) 結城(ゆうき)

中学からの仲の良い奴だ。

なかなか、面白い奴で、話も合うのだが、超有名な会社社長の息子なのだ。

初めて聞いたときは、とても驚いた。

なのに、そんな素振りは微塵も感じない。

一時は、「こいつは、オーラとかそういうのを自由に操れるのではないか」と思った。

金持ちとか、社長令嬢だと、なんだか他と違う雰囲気を漂わせる様なものだが、こいつはそうじゃなかった。

「まぁ、ぼちぼち。自由に過ごせたかな。そーいう、お前こそどうなんだ?」

「俺かい?父さんと海外に仕事しにいってきたよ。といっても、ほとんど手伝ってはいないんだけどね。書類のまとめとかくらいしかしてないし。」

「海外なんて羨ましい野郎だぜ。俺も連れてって欲しかったぜ。」

「言ってくれたら、父さんに頼んで、連れてってもらえるかもしれないよ。」

「それはありがたいな。じゃぁ、今度頼もうかな。」

「おぅ、いつでも言ってくれよ。ほら、そろそろ、始業式始まるぜ。行こう。」

「あぁ。」

俺は思う。本当に高崎は良い奴だな、と。

始業式が始まり、校長の長い話を聞く。

生徒は案外真面目に聞いている。

この校長の話はとても為になるのだ。

......

始業式が終わり、教室に戻ると、帰りのHRをした。

早く学校が終わると、することがない。

部活をやってるわけではないし、バイトをしてるわけでもない。

放課後、帰ろうと思い廊下を歩いていると、後ろから

「あっ......あの!」

と声をかけられた。

「ん?」

振り向くと、そこには一人の女子が立っていた。

「なんでしょう?」

と聞き返すと、

「あっ、えっと、あの、その......2組の方ですか?」

と聞かれた。

「あぁ、うん。そうだけど。で、なに?何か用事でもあるのかい?」

「はい、その......新羅さんっていらっしゃいますか?」

「えと、僕ですけど。どんな、ご用件で?」

「はい、なんといいますか......この後、少しお付き合いしていただきたいのですが、よろしいですか?」

「んっ、まぁ、いいですけど。」

「では、12時ごろに校門に来ていただけますか?」

「うん。わかった。じゃぁ、12時に」

「はい、それではまた。」

女子と話すのはまぁ、普通だし遊ぶことにも特に気にもかけないのだが、この時はなんというか、少し不思議な感じがした。



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