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[九]

撮影初日。。。。


『なぁ。本当に俺がやるのかよ?』

海は沙織に化粧をされている

私は大きく頷いてにっこり。


男優はやっぱり見つからなかったけれど・・・

女優は思いのほか集まって・・・・

三作のオムニバスそれぞれ違う女優に

演じてもらうことになった


約束とはいえ・・・

やっぱり海は

まだ

納得いかないらしくて・・・・


『宝塚みたいに女が男役やるってのはどうだ??』

初日になってもそんなことを言っている


沙織もニコニコしながら


『はいはい☆じゃあ!今度はそうするね!じゃあ!これ袖とおしてね☆』


うまい!・・・というより完全に海の話を聞いていない。。。。


ぶつぶつ言いながらも沙織の言うことを聞いていく海・・・


やっぱり沙織はすごい!


なんというか・・・・


『おーい!こっち準備できたよ☆』

準備が完了したらしく、沙織が私に声をかけてきた


これから本当にちゃんと映画がとれるんだろうか。。。。

わたしにできるんだろうか。。。。


『最初は試し撮りくらいの気持ちでいいんじゃないのか?』

私の気持ちを察したかのように

海がそう言った

『うん・・・』

『この映画はさ・・・』

『・・・ん?』

『この映画は・・・菜生とあいつの為のものだから、

菜生が満足いくまで何度でも撮り直せよ』


海はニカッと笑うと・・・・・

『何度でも演じてやるから、気にせず好きなようにやれよな!』

私は頷くと

『いい演技頼みます!』

私も海に笑顔をかえした。

了解とばかりに手を軽く上げて海は答えると・・・・


所定の位置に海と女の子が立つ・・・・


『気楽にな〜!』

海が私に向かって声をかける

『こっちのセリフだよ!!』

私が笑って答える


いよいよ・・・

始まる・・・


私と陸が見ていた夢の世界が

形になる・・・・


『じゃあ!お願いします!!テイク1スタート!』

私の声が響く


カメラを覗く・・・

海と女の子が演技を始める・・・


先ほどまでの海の表情が明らかに違う・・・

あんな顔・・

見たことない・・・・


いつもニカッと笑ってばかりいる

海・・・・・

別人みたい・・・・


でも・・・・・

映画のイメージに合ってる!

これなら・・・・


『カット!』

私がそう声をかけると・・・

普段の海の顔

『・・・・ふう!!!緊張するな〜』

そういうとへなへなと椅子にしなだれる


先ほどの画像をチェックし・・・

女の子に動きを指示する

海にも言うと・・・・

『細けぇ〜そんなとこまで気にするのかよ?

もっと適当でいいんじゃないのか?』

海が笑いながらそういうので

『好きなようにやれって言ったのは誰??』

私はそう明るい声で言った


『今度はこっちから撮るから!』


何台もカメラがあるわけではないので

何回も同じシーンを違う視点から

何度も撮る・・・・


きっと演じている人たちは大変だろうな・・・・


撮りながらそう思う・・・


少しずつ・・・

夢に近づいていく感覚・・・・


陸も見てるよね?

私と同じもの

今・・・

見てるよね・・・?



見えてるよね。。。。。。。



初日の撮影が何とか終わって・・・

海に言われた

『ちゃんと監督できてたじゃん!』


『海も思ったより様になってたよ☆』


『思ったより!って。。。おまえなぁ!』


海が笑ってる

まあまあ。。私がそういうと


『相手の子がいってたぞ!菜生のことすごい!って

・・よくあんなに細かく指示ができる!って』


『・・・・・・・・』


『ま!そのもの見てるんだから当たり前だけどよ。。。』

そう言った後。。。。。







『でも!今形にしてるのは間違えなくお前の力だからな!あいつじゃなくて、いいものが撮れるのはお前の力だからな!』









海はそういうと。。。。

沙織に呼ばれて

足早に離れていった。。。。


わかってる。。。

だけど。。。


私はなんとなく

陸と二人で作ってるって


陸と二人で撮ってるって思いたくて仕方がなかった。。。。。



それから・・・・・


今年の夏は

なんて

目まぐるしいんだろう・・


たくさんの映像

たくさんのイメージ・・・・


溢れかえる。。。。

陸への。。。。

想い。。



映画が何とか完成したのは・・・・・

それから一月後のことだった。。。。。






[十]へ続く・・・・

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