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[八]

夏休みまで後一週間・・・


私は図書館で勉強・・・

ではなくて・・風景写真集を見ている


夏休みには撮影旅行

一人旅・・・

そう決めていたから・・・


夢に近そうな景色の場所を

なんとなく探していた


ページを静かにめくりながら

ひとつひとつ

思い返しながら

見つめていく・・・・・


陸と見つめ続けた景色・・・


ひとつひとつ

鮮明に焼きついている景色・・・・


静かな図書館で・・・・


『よッ!』

妙に大きい声・・・・海だった。


『ちょっといいか?』

海は私が返事をする前に隣に座りこむ


『いいけど・・もう少し声小さくして!』

『ほいッ』

海は悪びれた様子なくニカッと笑う

『で、何?』

私がそっけなく返すと・・・

『俺もカメラ買ったぞ!』

『へ〜何買ったの?』

海が手に持っていたバックから取り出したのは・・・・




『それって!ビデオカメラじゃない!!』

私がそういって笑うと・・・・

『ごめん!』

海が思いきり頭を下げた

『どうしたの?なんかあったの?』

海は・・・・

『この間あんなにかっこいい事言ったのに、俺やっぱりだめだ!』


話が読めない。。。。何?


『俺どうしても捨てきれない夢がある!わりぃ!』


そのことか・・・・


『別に気にしてないからいいわよ☆』

そう答えた私に・・・


『そんなわけで!これもう必要なくなったから菜生にやる!』

ビデオカメラを手渡した

『こんな高いものいらないよ〜』

『俺にはもう必要ないからやるよ!だから!許してくれ!』


私はしっかりとビデオカメラを握らされてしまった・・・・

参ったな・・・


『それと!もうひとつ!菜生にやるものがあるんだ!』


ん????


海はニカッと笑うと・・・・


『俺の今年の夏休み菜生に全部やる!』


はぁ???????


『今日部活作った!・・・といってもまだ同好会だけどな!』


へぇ???????


『映画同好会!菜生!夏休み使って、映画とろうぜ!あいつの夢!叶えんだよ!』


?????????


『映画撮るのは菜生!お前だからな!』


・・・・ちょっと待って・・?


私はやっと言葉が出た

『ちょっと待って!映画なんて私撮れないよ!』

思わず図書館ということを忘れてしまって大きめな声が出てしまって

周囲の視線に慌てて声を細めた


『私、映画なんてどう撮っていいかわからないよ!』

『大丈夫だよ!菜生は、あいつが見せてくれたお手本しっかりみてるんだろ?そのとおり撮ればいいんだよ!』

『でも・・・』

戸惑っていると・・

『あ!来た来た!こっち!』

海が手を振る・・・・沙織が来た!


『私も部員だからよろしくね☆』

沙織がにっこりと微笑んでいる。。。。。


なんだか・・・話が・・・勝手に進んでいる・・・


たぶん・・この二人になにを言っても・・・


無理ッ!


『わかったわよ!映画私が撮るわよ!』

そう観念すると・・・

二人は満足そうな笑みを浮かべていた。。。。。




私たちは場所をファミレスに移すと・・・・


『よし!じゃあ!俳優をどうするかだな!』

本格的に海と沙織で話がどんどん進んでいた。。。


『女優はなんとか学内からみつけられたとしても・・問題は男優だな・・・』

海がそういうと

『海がやりなよ!』

沙織がそう答えた


海が明らかに引いている・・・

『俺はそういうのは無理だ!』


『私には監督押し付けといて。。。無理????ってどういうこと???』

わたしはニヤリとしながらわざとそう言った

沙織もうなずいている


『だけど・・・ガラじゃないし・・・俺じゃ雰囲気合わないぞ!』


確かに・・・・

ラブストーリーってがらじゃ・・・・・

私がそう思っていると・・・


『海にぴったりだよ!』


恋する乙女がここに一人。。。。いた!


『じゃあ!沙織と海で決まりね!』


私はすかさずそう言うと・・・・


二人顔を見合わせて・・・・・


『それはパス〜!!!!』


なんだか気が合ったようで・・・


とりあえず!キャストは学内で公募し、決まらないようなら

二人にやってもらうことになって・・・・・

映画の脚本は今から書き始めるんじゃ遅いから・・・・

私ののサイトに載せてあるものを何作かオムニバス形式で

撮ることになって・・・・


海と沙織がどのシーンを撮るかなんて話をずっとしてたけど・・


私は・・・・


映画のことを考え出したら・・・・

次第に陸のことで胸がいっぱいになってた


映画・・・・

本当だったら・・・・陸が・・・

シーンの一つ一つを話しながら

撮っていたかもしれないんだよね


陸。。。。映画撮りたかったよね。。。


ぼんやりと窓の外に広がる夕暮れの空が目に染みて・・・


目を閉じる・・・


陸・・・・


これから私の見るものすべてが

陸のための景色だからね・・・・


だから・・・・


存分にきれいな景色を形にして・・・







約束の・・・





映画にしてみせるって言ってた約束の景色を・・・






私に見せてね・・・・







私は二人に気づかれないようにそっと涙を拭うと

静かに目を開けた・・・・・


夕暮れの空がさっきと変わらずに

窓の外に広がっていた。。。。。。。





[九]へ続く・・・・

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