僕の自由の主張、神には認められなかったというのか
「まぁまぁ、話を戻してですね。ゆーたん先輩! 今日は土曜日です、デートをしましょう!」
「よし、お前の言いたいことは分かった。だが断る」
むしろ断る。断って当然だ。
何故なら! 今日は土曜日、何時まで寝てても大丈夫な幸せな一日!
「大体、先週も先々週も同じような事言ってカラオケやら、ボーリングやら連れまわしてくれただろう、そろそろ土曜日を利用して休みたいんだが?」
そう、優は先週も先々週も同じ理由で僕の大切な休日を奪ってくれている。
それに優は遊ぶと決めたら全力投球。
朝10時に遊び始めたら、帰りはいつも日付が変わっているのだ。
おかげで日曜の日中は単なる睡眠を取るだけという結果になってしまう。
そして起きたら、以降寝付けなくなり朝まで起きている嵌めに・・・・・・。
そんな状態だ、成績も伸び悩むわけだ。うむ、納得。
「違いますよ、ゆーたん先輩。先週と先々週だけじゃなくて、その前も、その前の前も、その前の前の前も。その前―――――」
「もういいわかった、よし黙ってくれ」
こんな調子だ。そりゃ悪夢も見るってわけですよ奥さん。
・・・・・・ん、あれ。
悪夢ってどんな悪夢だったっけ。
えぇと、確か・・・・・・。
「ねぇ、ゆーたん先輩ゆーたん先輩。今日は何処に行きましょうか?」
「どうして、行くことになっているんだ。というより僕に拒否権は無いのか? 僕は自由を主張する!」
「んー、じゃあ許可します」
なに!?本当か!?
てっきり僕の言ってる事を全て無視し、自分の都合のいいように進めるのかと思っていたのに。
知らず知らずのうちに成長しているということか。
ふっ、全く人っていうのは驚かされる。
「ぼくはその自由を堪能する先輩を近くで一日中観察することにしますから。これも立派なデートです」
神様、僕に一人の幸せな時間はないのでしょうか。
「うん、そうだよね。人っていうのはそんなものだよね」
僕が愚かだったのだ。
人は自然には変わらない。
変わるきっかけと、変わろうとする本人の意思があって初めて、人は変わる権利を手にするのだ。
「もういい諦めた、諦めました。僕の睡眠も自由も、少し気になってた夢の事も全て諦めます。・・・・・・あぁ。神よ、どうして僕はこんな罰を受けてるのでしょうか。こんなに真っ直ぐ生きてきたのに。それは少しお茶目もしてきました、ですがその罪にしてこの罰は重すぎるのではと・・・・・・親友の山田君には謝罪と侘びの品も渡したというのに。あぁ、神よ、それだけでは許してくれないのですか」
山田君、彼はいい人だった。
あれは小学校4年生の夏休み。
まだ、蝉の鳴き声と、地面を照らし陽炎を生み出す太陽が、相乗効果で暑さを主張していた夏の日。
僕は彼の家に招かれていた。