プロローグ
「で、そんなわけだからぜひ超能力研究部に入って欲しいわけ!!」
俺は我が後輩達に強く勧めた。後輩がちょっとかわいそうだと思ったが、このままだと来年には廃部になってしまうのでこちらも退けない。
「いや、超能力研究部ってなにするんですか?」
「第一それ部活じゃなくて同好会ってやつじゃないっすか!!」
「うん、まあそうだけどさ、楽しいぜ?超研!!」
「いや、だから活動内容を教えてくださいって。」
後輩達が呆れた目で俺を見る。まあ、現在部員が三年二人のみで古い方のコンピュータ室に押し込められているような同好会はうさん臭いだろうと思う。
「例えばー、身近で起こった変なことを調べたりー。」
「なにそれ、めっちゃうさん臭いですね!!」
ざっくり言われた。
「どうせおまえら入る予定の部活なんかないだろー?それに林野は超能力大好きだろ?このサークルではどうしたら超能力が使えるようになるかも研究してるんだぜ!!」
そんなことをずっとグダグダ話していると、もう五時をすぎていた。また来ます、と後輩達はいった。文句を言いながらも多少はこのサークルに興味を示してくれたようで、俺は安心した。
「まあ、普通に楽で楽しそうですからね。」
「他にぱっとする部活なかったら入りますよ。」
笑いながらコンピュータ室からでていく後輩達。このタイミングで言っておくべきだろう。
「おう!!それに学校の近くの林にいる、本物の超能力者に会えるかもしれないからな!!」
驚いて二人とも振り向いた。俺はへらっと笑い、ドアを閉めた。
今の言葉を覚えていてほしい。そしていつかふと思いだし、超能力者を探してみてほしい。その時に俺はいないかもしれないし、彼らを待ち受けるのは悲劇かもしれない。悪いが、頼んだぞ。
そして俺は帰る準備をして、今日も林に向かった−−−。