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猫神は見守る

サクラ猫は思案する

作者: 翡翠
掲載日:2026/02/13


 私は猫だ。


 野良猫で性別は男だが、なぜか付けられる名前は柔らかい名前が多い。

 サクラとかお嬢とかだ。


 何故だろか?


 体は確かに小さい、他の猫達に比べて体は頭1つ分くらい小さいが体の大きさで判断されては困る。

 私が裏路地を徘徊し始めて、既に二年が経とうとしているのだから私は立派なオス猫だ。

 その筈なのに、今日も人間から餌をもらう際に色々な呼ばれ方をされた。

 その中でも、やはりサクラと呼ばれることが多かった。


 何故だろうか。

 疑問を抱えながら、住処に戻る。

 

 定位置のベンチに座り込み、辺りを見渡す。

 そこは、小さな人間達の遊び場。

 私がさっきまでいた、大きな建物がひしめき合うあそことは全然違う。

 ここにある建物は、すべてが小さい。

 ここで遊ぶ人間も、光を発する細い建物も小さい。

 

 だから、その木はこの小さな遊び場には不釣り合いだ。

 

 名前も分からない木、桃色の花をつける不思議な木。

 そして、その木から落ちる桃色の花がその小さな公園を埋め尽くしている。

 少し迷惑だが月明かりに舞うその花は綺麗だし、いい匂いがするから好きだ。

 匂いを味わうために目を閉じる、花の匂いの乗った風に乗って毛並みが揺れる。

 

 風が吹いている、夜空に舞った花弁が降り注ぐ。

 

 頭から降り注ぐ匂いに酔っていると、一枚の花びらが私の鼻に乗った。


 寄り目でその花びらを見つめたら、その花びらは先の割れたか形をしている。

 

 

 それはまるで、私の耳の形みたいだ。



 そう思い至った時、月光が私の頭の上から降り注ぎ私の影を映し出す。

 

 私の右耳は、その花びらと同じ形をしている。

 これは少し前、人間達にやられたものだ。

 体を色々弄られたりして不愉快だったが、別に痛くもなかったから気に留めていなかった。

 

 成程、人間達はこの耳を見て私をサクラと名付けたのか。


 納得し、大きな木を見上げた。

 人間達の感性は分からないが、この美しい花びらと同じ名前なら悪くはない。

 

 そう思える程に今宵はいい夜だ。


 サクラ舞う、いい夜だ。


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