宇宙へ、過去へ
世界各地には興味深い謎が溢れている。
その中には、宇宙人が絡んでいるとの噂があるものも少なくない。
人々は、それを何千年間もそれを地球外生命体の仕業だと思っていた。
しかし、それは違った。全て、未来の地球人がやったことだったのだ。
西暦6125年、ある技術が普及した。
時空移動である。
人々はそれを使い、過去や未来の自分と話したり瞬時に空間を移動したりした。
非常に便利な技術なのだが、問題点があった。人類史を大きく変えるほどの大問題が。
時空を渡ろうとする度に、異次元空間の第AFF537次元を通る必要があった。Warp-AN-000以上のワープ粒子があれば異次元空間など通らなくて済むのだが、地球人はそれを発見・実用化する前に他の星によって滅ぼされてしまう。
話を戻そう。
例の異次元空間を通る度に、顔が恐ろしく変化していくのだ。
巨大な瞳、私たち地球人とは大きく違う肌の色、そしてハゲに、まるで今日の私たちが想像する宇宙人のように。
技術の普及から数年が経ち、時空移動を使う人と使わない人とが出てきた。両者の間には激しい見た目の差が生まれ、後者は前者をひどく気味悪がり、疎んだ。やがて、両社間で激しい戦争が起こった。第二十次世界大戦、又の名は第一次人類大戦である。
その戦いは非常に激しいものだった。その時代はツァリー・ボンバーを遥かに凌ぐ威力を持つ兵器を大砲のように乱射できる時代だったこともあるだろう。
当時の全生物の約99.008%が死滅し、人類も98.142%が他界。
激戦の末、使う派は敗北、地球から追放された。そして、追放されたものたちは宇宙へ、過去の地球へと散っていった…
過去で彼らはたくさんのことをした。
地球史の研究をした。生物兵器「恐竜」を解き放った。ナスカの地上絵のモデルとなった。ピラミッド建築の指導をおこなった。たくさんの神話となり、宗教となった。電波をジャックした。二十一世紀で未来人を名乗る(実際にそうだが)SNSアカウントを作成し、予言をした。古代で勝手に核戦争を始めた。完全犯罪を犯した。二、三千年後の地球人であるのにも関わらず四十一世紀ごろの地球で「数千万の文明を持つ地球外生命体」を名乗り、当時の地球人に恐怖を与えた。核開発の指導をした。化学兵器で大規模な災害を起こした。数々の陰謀論の元ネタとなった。
他にも、彼らはたくさんのことをした。
そして、彼らは滅亡した。
何故か?ウイルスによってだ。未来人のウイルス耐性は0だったからだ。
一方、遥か未来、西暦83世紀の地球…
人類は新しい大量破壊兵器を開発した。
それを今すぐ壊すか一つ持っておくかで激しい論争、やがて第二十八次世界大戦=第二次人類大戦へと発展。
激戦の末、前者は勝利、兵器は壊され、設計図やデータも抹消された。
敗北した後者は地球を追われ、宇宙へ、過去の地球へと散っていった…




