07_聖女-才能
高速馬車に乗り、旅慣れしていないリオのために休憩もやや多めに入れて約二日。お昼前に当該の町に着いた聖女一行は、町代表の屋敷へと挨拶と情報を精査するために赴いた。
「ようこそおいで頂きました騎士団、また教会関係者の皆様。此度は討伐のためこのような町にわざわざおいで頂き、真にありがとうございま聖女様ぁ!!?」
そして町代表、初老の男性は対面した一行を軽く見て、挨拶をして、途中で何やら見覚えのある女性を見て、誰だったかと記憶を探り、思い出した瞬間驚愕のあまり叫んだ。
討伐のために騎士団だけでなく、浄化魔法に優れた教会関係者が来る事は町長も知っていた。だが聖女、教会の最高権力の一人と言っても過言ではない存在が来るなど想像もしていなかった。
町長もこの町が王都に近いため、数十年ぶりの聖女誕生の際に王都に赴きアンドロメダを遠くではあるが見た事はあったので気付く事ができた。その際に共に王都へ行った従者であれば、始めに従者が対応した後に伝える事で予め聖女の来訪を対面前に知り、心の準備をする事ができただろうが、不幸にも対応したのがこの一年で働き始めた聖女の顔も伝聞でしか知らない従者であった。従者も「なんか綺麗で凄そうなヒトだけど、王都の教会関係者って凄いんだな」としか思わず、騎士団と教会関係者のシスター達が来たとしか報告しなかったのである。その従者も聖女と聞き驚きで目を見開いていた。
「し、失礼いたしました聖女様。貴女様が来られると分かっておりましたら、町をあげて歓迎の準備をいたしましたのに……!」
「気を楽にされてください。驚かせたのはこちらの責任ですし、派手な歓迎は皆様の手を煩わせる事になり私としても引け目を感じてしまいます。それに私としては日常を過ごされます皆様を見る事で、日常を壊さないようにと、より今回の討伐にも力が入るというものですから」
「は、はい。ご寛大なお心遣い、真に感謝いたします!」
聖女が来るという重要報告を怠り、驚愕させた連絡不行き届きを許せ。要約するとそんな内容をアンドロメダは言葉と聖女スマイルで押し通しただけでなく、町長と町長従者達を魅了した。この程度は聖女の位に就くと比べれば朝飯前である。
リオはその様子を見て、聖女とはもしかしたら凄く偉いのではないか。そしてアンドロメダはとても凄い人で、気軽に話している自分はかなりの不敬なのではないか、と不安になった。距離を適切に判断した方が良いのではと思い、そしてそれを感じ取ったアンドロメダは対策が必要だと妙な思考の駆け引きがあった。
「町長、聖女様とのお話は一旦おいてください。討伐モンスターの件に関してお話を伺いたく思います。報告以外で新たな情報はありましたでしょうか」
真剣みの帯びた、何処か余裕の無い声で町長に尋ねたのは、騎士であり今回の討伐対象の鎧を身に纏っていて、風魔法とリング状の剣筋を刻むのが得意な男性騎士であった。今回の討伐において出発時点から常に何処か重い表情で、馬車内でも最低限しか話していない。
「ええと、我々もリビングアーマーの話を聞き警戒はしているのですが、話を聞くまでリビング系の異常を感じ取ってはいませんでした。ですが確かにここ半月は警備隊からモンスターの気が立っているという話はありましたので、もしかしたらそれが関係しているかもという感じです」
「分かりました。副団長、聖女様。私は周囲の捜索を――」
「落ち着いてください。すぐ行動するのは良い事ですが、闇雲は良くありません」
「ですがこれ以上の情報は得られなさそうですが」
「関係の無いと思っているような些細な違和感を聞けば、私達だからこそ見えて来る物もあります。見えて来た物から目標を決め、行動しましょう。剣をただ振るうよりも型を作って何を身につけたいかを決めて振った方が上達しやすいように、何をするかを決めて行動するのが目標達成への近道ですよ」
「……そう、ですね。失礼いたしました聖女様」
「いえ、やる気は充分に伝わりました。やる気は今は溜めて、今回の討伐に使って貰いますからね。では町長さん、お話をお聞かせ願えますか?」
笑顔で鎧騎士を落ち着かせつつ、話を進めるための主導権を握ったアンドロメダ。
その様子を見て、リオはやはり色々と凄い人なのではないか。そう思うのであった。
町長との話をし、アンドロメダ達は方針を決めた。
討伐の期間は町長の屋敷に泊まる事になり、移動もあって早速休憩を促されたがリオも含む全員がまだ動けたのでまずは周囲を調査する事にした。
「あの人達が今回討伐に来たヒト達?」
「みたいね。……なんか一人変わった格好で、一人は凄そうな女性――って、あの御方聖女様じゃ!?」
「え? ……はは、まっさかぁ。……聖女様だ!?」
そして比較的王都に近く、人口もそれなりに居る町ではアンドロメダを知っている者もいた。
初めは格好的に結構偉い人で、そんな人を派遣しなければならないほど強いモンスターが近くに居るのかという不安や、偉い人に粗相しないように気をつけねばという緊張が漂っていた町も、聖女が来たと広がると違った騒ぎになっていた。祭かのように多くの町民が集まり始め、調査もままならない状況になる。
「……聖女様だけでも屋敷で待機して貰っておいた方が良かったかもしれませんね」
白の従者は、一目見ようと集まってきた町民が始めは遠巻きに見ていたのに一人が話しかけてきた事を切っ掛けに、囲むように集まってきた様子を見て小さく呟いた。
「いずれなる可能性があった事です。町長さんの屋敷を囲まれても困りますし、外の開けた場所で、町に直接被害が及んでない余裕のある内に起きて良かったと思いましょう」
「それはそうですが……まぁ聖女様を近くで見たいという欲求は、近くに居る私でさえ常に湧き上がりますから、気持ちは分かります」
その理屈だと毎日こうして囲まれる事にならないか。白の従者の相変わらずの信仰に内心苦笑いを浮かべた。
囲まれたため騎士達は町民を距離をとらせるために抑える形になり、調査もままならないという騒ぎにはなったが、アンドロメダが笑顔で挨拶をし、今は調査に集中したいと告げると、町民達は慌てて道を作り、笑顔で感謝を言いながらその場を去り事なきを得た。アンドロメダも過去に似た経験が何度もあったので慣れたものであった。
「アンドロメダさんって本当に凄いんですね」
そして去ってから数十秒、町民から充分に距離をとったあたりで、見た事のない衣装だから聖女に関係する重要な女性なのではと質問を受けていたリオが呟くように言う。
言葉にはやはり気軽に話してはいけないという、困惑に似た感情が含まれていた。呼び方も様付けの方が良いのでは、と躊躇ったほどである。
「凄いですよ。なにせ聖女、ですからね?」
しかしその躊躇いも困惑も、何処となく言葉では否定し謙遜する、と思っていたリオの予想とは違う言葉により掻き消された。
「多くの友と書いてライバルと読むような間柄の相手と高めあい、数十年に一度しか認められない地位に着いたのですからね」
実際は経験値や技術を盗む相手、もしくは利益競合相手と書いてライバルである。
「聖女というのは女神様の代わりとなり、多くの皆さんを救う使命を持つ者。凄いのです。そこを否定すればあらゆる相手に失礼ですから、聖女は間違いなく凄いのです。ですから私は聖女に相応しくなれるように、日々研鑽を欠かしません」
もしこの言葉の最後に注釈を入れるとすれば、お金のためにという言葉が入る。
「ですので私としては距離をとられると寂しいです。折角お友達なんですからね」
アンドロメダは小さく笑みを作り、敢えて距離をとられている事を言った上で友達と告げた。予想外の言葉にリオは足を止めてきょとんとする。
「友達……なの?」
「はい。皆さんは“凄い聖女”の私を見ますからね。聖女ではなくアンドロメダ個人として接しているのですから、もっと気軽に来て下さい。難しいならもう一度胸を貸しても良いですよ?」
「あ、あれは忘れて! ください!」
「さて、遅れましたが調査に向かいましょう。私のせいで遅れて申し訳ありませんでした皆さん」
「何で話題を変えるの!?」
モンスターを討伐に来た一行には思えないほど気軽な雰囲気が漂い、微笑ましい空気になる。騎士達もアンドロメダがリオのために明るい雰囲気を作り出そうとしている事は分かったので、接するだけでも難しい事などをこの場で忠告する事はしなかった。
(羨ましい……!)
ただ一人、熱狂的な信者がそのやり取りを見て、悔しそうに、羨ましそうにするのであった。
「――さん、貴方はどう見ますか?」
「……私の剣戟より技術は劣ります。しかし力は間違いなく上である、といった事でしょうか」
調査を始めた日の午後。気の立っているモンスター情報と、些細な情報であった猫の集合場所の変移などを基に、アタリをつけて調査を行うと3ヶ所目である道から外れた草原に、報告にはなかったリング状の剣戟が、複数ある岩の一番大きな岩に深く刻まれていたのを発見した。
鎧騎士に尋ねると、過去の自分の攻撃の癖があり、自分のものだと言われたら認めるとの事である。そして痕を見るに力と規模は本人を上回るほどに荒々しく、禍々しいと評価した。
「残存魔力を見るに昨日……下手をすれば今日の夜明け前ですか。私はこの痕を見ますから、騎士の皆さんは周囲の痕跡を捜索してください」
『了解しました』
アンドロメダに言われ、三人の騎士は周囲の捜索に行く。白の従者はその場で周囲の警戒をし、二人の護衛をしている。
リオは岩の痕と、馬車内や女性騎士寮で見た雰囲気とはまったく違う様子に困惑と驚きをにじませ、恐る恐る尋ねた。
「ええと、大丈夫……なの?」
リオは漠然とした不安に対し、明確な対象を言わずに問いかけた。
自分達で対応できるのか、対応策はあるのか、応援が必要か、町の人達への被害は、想定を上回るのか。
どれに対してか、全てに対しての不安なのかはリオもよく分かっていない。ただ何処か大丈夫だと言って欲しいと願い、まだ生きたモンスターを見ていないリオは魔法以上の異世界を感じさせる状況にやや脅えて、隠し切れずにいた。
「気軽に大丈夫とは言えません。モンスターは危険だからモンスターと言われます。騎士、軍、教会浄化討伐隊、冒険者はその危険を一般の方々から守り、安全と安心を提供する事で利益を得るのですから」
アンドロメダはリオを見ずに剣戟痕を調べながら答える。
この世界におけるモンスターの定義は「言語が明文化されていない、交渉能力の無い他者に害を及ぼす存在」である。特に後半が重要だ。
5歳程度の子供でも勝てるようなモンスターも存在はする。だが勝てるというだけで負ける事も当然あり、負けた場合は怪我を負うか最悪死に至る。モンスターと呼ばれる存在はそれだけで危険を意味している。
料理人が料理を代替わりし腕を磨いて美味しい料理を提供する事で対価を得るように、騎士などは戦う力を磨き、モンスターという危険を排除する事で戦う力を持たない者に安全を提供する事で対価を得る。この危険が戦う力を持たない者でも簡単に大丈夫と言える程度の存在なら、討伐や依頼などは存在せず仕事は無くなる。モンスター被害が無いという安全はありふれた価値の無いものになる。
そして仕事としている以上は、怖がる弱き者に安心感を与えるためでもない限り、危険に対して大丈夫とは気軽には言えない。どんなに鍛えようとも危険の前では死ぬ時は死ぬ。戦闘経験のないリオに対してもその安心感を与える存在に含まれるとは言えるが、戦う者として此処にいるのだと認識させるためにも、アンドロメダは敢えて不安を煽った。
「もし怖いと言うのなら、リオさんは屋敷で控えていても大丈夫ですよ。元々こちらの都合で連れてきているのですからね」
調べるのをやめ、今度はリオを見ながら問いかけも含めた言葉を投げる。
やめる事を選ぶのならそれはそれで良い。覚悟の無い者を戦わせるわけにはいかない。そして此処で折れるのなら自分のお金のための計画も成立は破綻するともアンドロメダは思っている。無理に彼女を聖女にしてもどうせ上手くいかないからだ。
自身のためにも、リオのためにも、今の彼女の覚悟が揺るぐかを問い、確認せねば未来は見えてこない。
「う、ううん、私にも浄化力? とかがあるかもなんだよね。もし少しでも力になれるのならなりたい。迷惑はかけるかも――いや、かけるだろうけど、町の人達、なによりあの騎士さんのためにも頑張りたい」
あの騎士というのは、剣戟痕を見てより険しい表情になった鎧騎士だ。リオはあのように、悪いのはゴーストであり、自分が悪い訳ではないのに自分が原因であると思い苦しんでいる彼を放ってはおけない。そしてアンドロメダやお世話になった騎士達、町の人達の力になれる可能性があるのなら、可能性を捨てずに頑張りたいと願える性根を持っていた。
現実を見ようとしていない、知っていないからこそ簡単に言えてしまう、と評価すればそれまでである。しかし誰かのために頑張れる可能性を捨てない性格をアンドロメダは高く評価した。よし聖女に相応しい、と、お金への道は開けていると喜んだ。
「それでええと……私に手伝えそうな事ってある?」
「そうですね……」
アンドロメダはどうすべきか迷う。
リオの世界はある程度聞いている。魔法は無く、モンスターも存在しない、代わりにこの世界よりも人間同士の争いが多い世界。その世界でリオは戦闘のない――戦闘が必ずしも必要というわけでは無い平和な国と時代で育った。
教育を受けたという学校も、アンドロメダ達の通った教育機関でもある学園とは教育内容があらゆる物が大きく違っている。少なくとも実地で薬草を採取し回復薬を作る、モンスターを討伐し解体後材料収集、などという事はしていない。
「私と一緒に痕を見てくれますか? この痕から分かる事を教えますので、気付いた事を質問してください。内容は何でも構いませんので。小さな事でも、この世界では当たり前の事で聞くのは恥ずかしいのではないか、と思った事でも聞いてください」
故にアンドロメダは手伝って貰うより、教える事にした。
その方がリオに最初に実地での知識を与えた、と印象付けられる上に、教える過程で自身もなにか気付く事もある可能性が高いからだ。
「はい、分かりましたアンドロメダ先生!」
「ふふ、先生ですか」
リオの反応にアンドロメダは笑い、白の従者は「それもアリだな」と言うように気付きを得て目を見開いた。
「ではまずこちらの剣戟痕に触れてみてください。何か感じませんか?」
「……ほんのりざわつく? 指先を覆うような……?」
「そちらが魔力です。魔法を行使した痕には残る事が多いのです」
「魔力、魔法……」
魔力。
生物には必ず宿り、操る事で様々な効果をもたらすエネルギーの総称を指す。
魔力がなんなのか、という研究はされてはいる。しかし基本は当たり前にある存在としてこの世界では認識され、生活面だけでなく、攻撃や防御、リオが見た街灯やPVのような人形劇などに使われている。そんな曖昧だが日常的な、あらゆる用途に用いられる存在、それが魔力だ。
「不思議エネルギーと思っておけば良いかな?」
「大体合っています」
魔法。
魔力を使用した行動や現象の総称を指す。
正確に分類すると、生活魔法や浄化魔法など用途に対して100は軽く超える程度には分かれて存在している。そこからさらに規模によっても名前が変わるため、規模を含めると分類の種類の桁が1つは増える。
例えばアンドロメダがリオに最初に見せた火魔法は、正確には戦闘系火術と呼ばれる火の最低ランクの“術”の威力に当てはまり、王都に繰り出す際に隠蔽を行った認識阻害魔法は、生活系認識阻害魔術で“魔術”と呼ばれる威力や難易度の最高位を示す意味での“魔法”よりランクが一つ落ちる代物だ。
だがランクも曖昧かつ、時代によって変わる物も多い。
そのため一々判断してこれは術だ、これは魔術だ、と言うのも面倒なので、ほとんどの者は術や魔術もひっくるめて魔法と称している。故に魔力を使用した行動や現象の総称を魔法と言う。分類を知識としては知っていても、気にする者は研究職か教育機関くらいだ。
「なんだか結構いい加減なんだね」
「否定はしません」
そして今回の剣戟痕は、“生命エネルギー魔力”としての魔法だ。
ゴーストは実体を持たない意思を持った魔力の集合体だ。動く魔物系、つまり魔力集合体が物に宿る行為そのものが魔法扱いで、人であれば魔力を使わない行為でも、一つ一つに魔力が使われる。
「魔力の探知に優れるようになると、この残存魔力から剣戟の時間、今はどんな魔法を使っているのか、別の痕を見つけた時に同じモンスターなのか、などが分かるようになります」
「他の魔力を知らないから、どう違うのかも分からないかな……」
「そういうものですよ。今は魔力を感じる、というだけで充分なんですから」
新たな常識を教えているのに、その先まで知れなどとアンドロメダも期待していない。基礎も無しに土台や建物を作れと言うようなものだからだ。
まずはその常識の初めとなる基礎に自分が関与していればそれで良い。そう思い解説を続ける。
「あ、待って。何か……何か分かりそう!」
続けようとして、その言葉に表情が止まった。
白の従者は周囲を警戒していたため、リオは目を瞑り感触を集中するようにしていたため、アンドロメダの様子の変化に気付かなかった。
「攻撃的で……恨みを……ううん、倒す目的があって彷徨っている……? そのために自分の実力を試して確認を……?」
「…………」
アンドロメダは現在、浄化魔法や回復魔法は聖女と称されるほど優れており、攻撃魔法も優秀ではある。しかし才能という面では全く無いわけではないが劣っているという部類に当てはまる。
今のようになるまで、浄化魔法などは使える魔法の中で得意というだけで、アンドロメダが数ヶ月勉強して使用した魔法が、ペルセウスの感覚で使った最初の魔法の一割にも満たないようなレベルだ。
才能が劣っている分は努力と根性で補った。外見を取り繕い誤魔化した。
今リオがやっている感知に関しても、悪しき存在に気付いてこそ聖女であると判断し、過去の資料や自身の経験を基に精度が良くしていき、教育機関でも良い評価を貰うまで勉強した。悪霊系相手なら新しい残留魔力から思念を読み取れるようにもなっていた。どれも努力の賜物だ。
それを今、基礎も知らない目の前の少女は、あっさりと踏み越えようとしていく。
「ううん……駄目、これ以上は分からないし、何か変な感じもする……」
「……無理をなさらず。気分を悪くしては元も子もありませんから、後は私、こういう時に周囲の調査はどうするのか、などを見ていてください。質問疑問は適宜お願いしますね」
「うん、ありがとうね」
アンドロメダは表面上にこやかに事を進めた。先生のように疑問に答え、周囲の調査から戻った騎士達の報告を聞き、痕から読み取った魔力から討伐対象が目的を持ち現在は試行段階にあるため近々襲撃の可能性が高い事を伝えた。
被害が出る前に相手の出方の予想をする事ができた。
警戒心を高めこれから起こる危険により気合を入れる。
リオにはやはり聖女としての才能が有り、その片鱗を見られた。
アンドロメダとしては順調とも言える討伐の初日と言えるだろう。
(……討伐前に、気合を入れ直さないとな)
ただ、順調ゆえに心に引っかかりを覚えたアンドロメダ。
気合を入れ直せばすぐに切り替えられる心の強さを持っているが、気合を入れ直さなければ切り替えるのは難しかった。
アンドロメダの様子の変化に気付いた者は、一人だけだった。