【最終章プロローグ】世界を憎む少女
最終章スタート!
――これは、世界を憎む少女の話。
「いいか、教えてやるよ。お前の価値はただひとつだ。俺に殴られること、それだけなんだよ! それ以外は何もねぇのさ! ハハハハハ!!」
「……汚らわしい子。あなたなんて産まなければ良かったわ。不快だから早く死んでちょうだい」
暴力と罵声――少女の身近にあるものといえばその二つだけで、他には何もない。
真っ黒に染まった絶望の日々だった。
黒に身を置いていた少女は、すべてを憎んでいた。
喜々として殴りつけてくる父親。
早く死んでしまえ、と罵声を浴びせてくる母親。
そして、自分を取り巻く絶望しかないこの世界。
そのすべてが憎くてたまらない。もういっそなにもかも、ぐちゃぐちゃに壊れてしまえばいいのに――そんなことを願ったとき、少女は運命的な出会いを果たす。
「この世界が憎いか?」
「…………うん」
「全部壊してしまいたい?」
「うん。私をいじめるものは、みんなみんな死んじゃえばいい……!」
「ならば、貴様の願いを叶えてあげよう。その代わり、私の願いも聞いてほしいのだ。約束してくれるならこの私――邪神アダムルが力を貸してあげよう。どうだ?」
「……あなたと約束する」
こうして、少女の運命は大きく変わった。
この選択が正しかったのかどうか、少女にはよく分からない。
でも真っ黒だった世界に、鮮やかな色がついた。
本当の世界というものに、少女はようやく触れられた気がした。
読んでいただきありがとうございます!
このプロローグから分かるように若干雰囲気が変わる(人によってはシリアスに感じるかも)部分もありますが、どうかお付き合いを!
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