表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/54

【15話】姉妹と冒険者ギルドへ

 

 俺と出かけたいなら早く飯を食え。喧嘩している場合じゃないぞ――殺し合い寸前の場を収めるため、俺はそんな手段を使った。

 本当は連れてきたくはなかったが、ミラクルを起こすためにはそうするしかなかった。

 

 まぁ、俺の目的を伝えれば帰るだろ。

 

 これからモンスターを狩りに行く、と伝えて、じゃあ私も! という答えは返ってこないはず。

 せっかくの休日に、わざわざ危険な場所へは行きたくないに決まっている。

 

「着いたぞ。ここが俺の目的地だ」

「なによここ」

「……初めて見る場所ですね」

「ここは冒険者ギルドだ」


 依頼を受けてモンスターを狩る、冒険者という職業。

 休日はその冒険者をしていることを、俺は二人に伝えた。

 

 これで帰ってくれるはず――そう思ったのだが、

 

「中々面白そうじゃない。私も連れて行きなさい」

「ミケくんの戦っている姿、近くで見てみたいです」


 予想は外れてしまう。

 二人ともついてくる気満々だった。

 

「お前らは知らないだろうけどな、モンスターってのはかなり危険な生き物なんだぞ」

「モンスターくらい知ってるわよ。でも問題ないわ。私、めちゃくちゃ強いもの。ま、こっちはどうか知らないけどね」


 誇らしげに胸を張るリリンの視線はイレイスへ。

 またまた喧嘩を吹っ掛けている。


「学園の編入時に受けた評価試験。あのときの成績は私の方が上だったはずですが?」

「あ、あのときはたまたま調子が悪かったのよ……!」

「見苦しい言い訳ですね」


 ここでも喧嘩する気か。……というかこいつら、マジで帰りそうにないな。

 

 大人しく帰ってくれるのを期待していたのだが無理そうだ。

 

 こうなったら仕方ない。簡単な依頼をこなすところを二人に見せよう。そうすれば満足するだろ。

 

 眉を寄せながら、俺は冒険者ギルドの中へ入った。

 二人も後についてくる。

 

 ギルド内は武装した人間でいっぱいになっていて、活気に溢れている。

 

 これが冒険者ギルドの日常。

 今日もいつもと変わらず盛況のようだ。

 

「この人たち、みんな冒険者なの?」

「そうだ。大勢いるだろう」

「ミケくん。あれは何ですか?」

「あれはクエストボードだ。あそこに貼られている依頼をカウンターにいる受付嬢に渡すことで、依頼を受けられる」

「ていうかみんなこっち見てるけど、なんでよ?」


 ギルド内に広がるのは「おい、ミケルが来たぞ」「あれが例のSSランク……」とかそんな声。

 SSランク冒険者の俺はどうやったって注目されてしまう。これもいつものことだ。

 

「……さぁ、なんでだろうな。お前たち二人がかわいいからじゃないか?」


 はっはっは、と苦笑い。


 冒険者の最高峰であるSSランクということを話したら、面倒なことになる気がする。

 簡単な依頼じゃなくてもっと難しいのにしろ、とか言われそうだ。

 

 だから二人には、俺がSSランク冒険者ということははなるべく隠しておきたかった。

 

「かわいいって……! ふ、ふん! あんただってその、まぁまぁカッコイイし……」

「ミケくん……! 嬉しいです」


 よく分からないが二人は照れている。

 

 よし、今のうちにクエストボードから簡単な依頼を取ってこよう。

 

 赤くなっている二人を置き去りにクエストボードへ向かっていこうとする、その直前。

 

「ミケおはよう!」


 笑顔でこっちへ向かってきたのは、どこからどうみても女の子な男――シオンだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ