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第一話

初めまして。彩羽と申します。

拙い文章と内容ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

 ある朝、唐突にインターホンが鳴った。こんな時間に訪問者とは珍しい。部屋のモニターに目をやると、見知らぬ女性が映っていた。

 長い金髪と青い瞳が特徴的な、とても綺麗な女性だった。黒いワンピースを見に纏っていて、年齢は10代後半から20代前半くらいに見える。

 とにかく、全く面識の無い人物だ。訪ねる部屋でも間違ったのだろうと、とりあえずマイク越しに会話をしてみる。


 「はい」

 「本日よりお世話になります山南(やまなみ) (あまね)と申します。よろしくお願い致します」


 やはり人違いのようだ。それにしても、お世話になりますとはどういうことなのだろう。


 「たぶん部屋間違ってますね。僕じゃないです」

 「いえ、間違ってはいないはずです。朝日奈(あさひな) (つかさ)様でいらっしゃいますよね?」

 「え?」


 どうして僕の名前を知っているんだ?

 部屋にもマンションの集合ポストにも名前は出していないはずだ。


 「えっと…お世話になります、というのは?」

 「家事のお手伝いをするように、と朝日奈 満(あさひな

みつる)様より伺っております」


 いわゆるメイドさんということになるのか。先月の僕の誕生日に、とっておきのプレゼントを準備していると父が言っていたのがこの件だったとは。

 高校時代の友人とも散り散りになり、孤独感との戦いの日々。見つけたバイト先にも同じ大学の子は居らず、新しい友人を作ろうとサークルを探している。

 一人息子からそんな話を聞いたもので、親としても心配だったのだろうか。とにかく、大学生になり実家を離れ、一人暮らしを始めたばかりの僕には心強い助っ人ではあるのは確かだ。


 姿見で寝癖を軽く直したあと玄関に向かい、扉を開ける。


 「失礼いたします」


 美女は一礼すると、僕の部屋へと足を踏み入れた。女性を部屋に招き入れるのは初めてだったので、どこか恥ずかしくて落ち着かない。


 「改めまして、本日よりお世話になります、山南 遍です。私のことはどのように呼んでいただいても構いません。不手際等ございましたら、都度ご指摘の程よろしくお願い致します」

 「じ、じゃあ、遍さんと呼びますね。よろしくお願いします」

 「はい。ご命令があれば何なりとお申し付け下さい」


 メイドさんというのは漫画とコンセプトカフェでしか遭遇したことのない存在だった。それが自分の部屋にいることに、とてつもない非日常を感じてしまう。

 そんなことを考えていると、いつの間にか遍さんの手には手帳とペンがあった。


 「早速ですが、ご主人様の今月のご予定をお伺いしてもよろしいでしょうか。大学の授業とアルバイトのシフト、それからご友人との交遊予定全てです」

 「あ、えーっと…はい」


 スマホのスケジュール帳を遍さんに見せる。残念ながら遊びの予定は無い。彼女は全て手帳に書き写したあと少しの間眺めて、それから顔を上げた。


 「なるほど。今日は一限から出席なので8時30分頃に家を出るということですね。現在が7時40分なので、今から朝食をご準備させていただきます」


 話し終えた次の瞬間には、遍さんは髪を後ろ手に括り、エプロンを着用し始めていた。真っ白なエプロンが黒いワンピースに合わさると、一気にメイド感が増したように感じる。


 「エッグベネディクトに、ルッコラとトマトのサラダでございます。満様より、ご主人様はコーヒーが苦手と伺っておりますので、ホットミルクをご用意させていただきました」


 レストランにも引けを取らないクオリティの料理。


 「洗顔と歯磨きをしていただいている間に、選んでいただいた洋服のアイロン掛けが済んでおりますのでお着替え下さい。着替え終えたらヘアセットをさせていただきます。授業に必要な教科書とプリント、それから提出するレポートも既にまとめておきました」


 複数のタスクを瞬時に実行する要領の良さ。


 「では、いってらっしゃいませ。ご主人様」


 圧倒的な美貌。


 しかし勿体無いことに、遍さんの表情には笑みというものが全く存在しない。感情の起伏も少なく、アンドロイドのようにすら見える。

 不気味に感じる人もいると思うが、僕は不思議とあまり気にならなかった。


 なぜなら遍さんは、僕が想像していたメイドのイメージを遥かに越える<最強のメイド>だったから。

お読みいただき有難うございます。

感想や評価等いただけると今後の参考やモチベーションの維持にも繋がりますので、どうか宜しくお願い致します。

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