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第二話

主人公が主人公なのに登場しません。

麻羅隼人が居た星の次元の世界とは違う次元の世界

1つの星があった。

その星は、1つの太陽と、2つの赤と青の月がある太陽系の中の1つの星だった。

この星は、1つの大きな大陸と、大きな海と大小の無数の島々があり、たくさんの動物、植物などの生命に溢れていた。

この星の大陸は、時代が経つにつれて、大陸には土地が良い所が多い為、名を、精霊が宿る大陸、ノーム大陸と呼ばれるようになっていた。

そして、今このノーム大陸には、人間などの様々な種族が、大小の国々を作り、ある国では資源を求め、又ある国は、より豊かにする為に領土を求めて争い合う、戦乱の時代になっていた。





緑の国、ロンギヌス王国は、この戦乱の時代の中では珍しく平和を維持している国である。

しかし実際は、同盟国の援軍などにも行くために、国内だけが平和で治安も良く、更に経済的にも豊かだが、それは、ロンギヌス王国国内に限ったもので戦乱の時代に巻き込まれた国であることは変わ。

ロンギヌス王国は、ノーム大陸の東に位置しており、海に面している隣国のフィンドランドと、同盟関係にあった。


フィンドランドは、海に面しているため、塩の大産地である。

塩は、生活必需品である為に商業で莫大だ利益を得ている。

その為、その利益を求めて、攻め込まれる事が多くある。

よってそのたびにロンギヌス王国は、援軍を派遣していた。


ロンギヌス王国は、その名の通り王族による統治を行う王制国家である。

だが、平和であるのは、王の独裁政治によるものではない。

現王クラーシュ・ロンギヌスは、齢43の王である。しかしいまだながら現役で頑張っている。

何故現王が、40歳を超えた中、いまだにに王として在るのかといわれると理由があった。

まず、大きな理由に、クラーシュ・ロンギヌス王は、2人の王妃を娶ったが、生まれてくるのは、王女ばかりで、王子がまったく生まれて来なかった為である。その為、第一王女である、今年で18歳になるアテナ・ロンギヌス王女に同盟国の王子や自国の大貴族の長男を婿に貰い、その子供に王位を譲ろうとした。

アテナ・ロンギヌス王女は、容姿端麗、頭脳明晰の王女だと、周辺諸国や貴族などに噂されていた。

しかし、アテナ・ロンギヌス王女は、幼い頃から、剣術を近衛騎士団現団長のアルテミス・ロードスと一緒に習っていたのが災いしてか、

「私、アテナ・ロンギヌスは、私より強い者しか私の伴侶には認めないことを決めています。」

そう16歳の成人の儀の時に、国民の前で言った為に事態は変わってしまった。

アテナ・ロンギヌス王女の婿にしようと父クラーシュ王は、かねてより申し出ていた、同盟国フィンドランドの大統領であるゲイリー・ザイールの1人息子であるガイル・ザイールをロンギヌス王国で開かれるパーティーに招待した。

フィンドランド大統領のゲイリー・ザイールは、塩や漁業はもとより、最近は、鉱業や農業などにも手をだし取り扱っているザイール商会の会長だった。

ザイール商会は、フィンドランドの約30%の塩田を所持している為、又他の塩田も買い取るか、傘下に加えていっている為にその売上高は膨大していた。

よってフィンドランドの実質的な支配者と言われていた。

しかし、妻を早くに亡くした為、ゲイリーには、ガイルしか息子は居なかった。



当時17歳だったガイル・ザイールは、容姿は細身の筋肉の少ない体に、やり手の商人らしい真意を面に出さない顔に整った茶髪をかぶせた感じの容姿だった。ゲイリーはガイルに自分の全てを託そうと、英才教育を行った為、父と同じように、頭脳明晰であった。

しかし唯一の欠点は、体が弱い事だった。

その為、14歳からガイルは、フィンドランドの近衛隊の隊長から訓練を受けていた。

しかし、ガイルには武術の才能は殆どなく、17歳になっても訓練された衛兵と互角くらいの実力だった。

ゲイリーが1人息子のガイルを婿として送ろうとしたのには、特殊な訳があった。

本来、ゲイリーのような1人息子しか持たない者は、会長職を継がせる為、嫁を娶るのが普通だった。

しかし、ガイルの強い希望によって婿に送ることに決まった。ガイルは、アテナ・ロンギヌス王女が、15歳のとき国王と外交特使として来た際に、一目惚れしてしまったのである。

後にガイルは父にこう語った。

「アテナ・ロンギヌス王女は、まさしく生きた芸術だ。あの神々しさが目に焼き付いて離れない。

もう私は、夜も眠れない。」と


ゲイリーはガイルの気持ちが良くわかった、ゲイリーはただ一人の亡き妻を未だに愛し続けているからである。

その為、ゲイリーはガイルの申し出を了承した。

しかしこの時、ガイルとゲイリーは、アテナ王女の成人の儀での宣言の事は、知らなかった。




ロンギヌス王国で行われるパーティーは、表向きには、フィンドランドとの友好を深める為としているが、実際は、アテナ・ロンギヌス王女とガイル・ザイールの婚約発表パーティーであった。

パーティーには、フィンドランドからは、大統領のゲイリー・ザイールと息子のガイル・ザイールや副大統領や外交長官などの有力大臣などが20名ほど参加した。

又ロンギヌス王国からは、現王のクラーシュ王と王妃や大貴族や外務卿や内務卿、軍務卿などの有力階級が60名ほどが参加した。

そして、総勢80名程によふる華やかなパーティーが始まった。

パーティーには、フィンドランドからは、大統領のゲイリー・ザイールと息子のガイル・ザイールや副大統領や外交長官などの有力大臣などが20名ほど参加した。

又ロンギヌス王国からは、現王のクラーシュ王と王妃や大貴族や外務卿や内務卿、軍務卿などの有力階級が60名ほどが参加した。

そして、総勢80名程によふる華やかなパーティーが始まった。パーティーの初めは、ロンギヌス王国現王クラーシュの挨拶やフィンドランド大統領ゲイリーの挨拶などで始まり、ささやかな食事や談笑のもと始まってから30分が経った。

1人の人物の登場で場に静寂が満ちた。

「カッ、カッ、カッ、カッ、カッ」

規則正しい足音の元、彼女は現れた。

アテナ・ロンギヌス王女が入場したのである。

アテナは真っ黒なドレスにその細身を包み込んで、腰を越し膝まで届きそうなサラサラとした金髪をたなびかせ、やや切れ長の青に近い碧眼に芸術家もビックリな美しい顔にうっすらと笑みを浮かべて入場した。

アテナが入った瞬間に静寂が満ちていたが、アテナが、ガイル・ザイールの元に向かって歩くうちに元の談笑と食事に戻っていた。

しかし話の内容は、アテナ・ロンギヌス王女とガイル・ザイールとで盛り上がっていた。

もちろん、大臣や貴族などは、挨拶に行きたそうな顔をしていたが、パーティーの目的が婚約の発表であることを知っていたので、ガイル・ザイールの元に行く、アテナ・ロンギヌスに誰も話し掛けなかった。


ガイルはアテナが、自分の元に来て嬉しそうに挨拶した。

「ご機嫌いかがですか。アテナ王女。」

ガイルは内心ひやひやしていたが、噛むことなく言い切った。

「ごきげんよう。ガイル様」

アテナ王女は、表情を変える事なく事務的に答えた。

「あいも変わらずお美しいお姿。神々しいとしか言いようがありません。」

「ありがとうございます。ガイル様」

「いいえ、事実ですから。

さて私に何か御用でしたか?」

ガイルはいつもの調子で話していたが、自分のところにアテナが最初に来たのでかなり緊張していた。

「はい、僭越ながらお願いがあります。」

淡々と言葉を発した。

「はい、なにようでも仰ってください。」

王女にしかも、アテナ・ロンギヌス王女に

『僭越ながらお願いがあります。』と言われて嫌と答える者は居るはずがない。

「私と決闘していただきませんか?」

アテナは全く変わらない口調でそう言った。

「・・・・・・・・はい?

今なんと?」


「僭越ながら私と決闘していただきたい。と申し上げました。」

アテナは、答えた。

「しかしながら」

ガイルの言葉は途中で切れた。

「何も、殺し合いをしようという訳ではありません。

ただ、この場を盛り上げるためにするのです。

その為、戦闘不能か、負けを認めた者が敗者とします。しかしながら、仕組まれた決闘ほどつまらない物はあまり無いでしょう。よって手加減無用の真剣勝負でお願いしたい。」

「はい、わかりました。

つまり余興ということですね?」

ガイルは、いかなりのアテナ王女の余興への誘いと、その後の話で混乱していたが、時間と共に冷静さを取り戻した。

しかし、ガイルは、アテナ王女のこの余興の意図がわからなかった。

「では、正面のステージで、行いますのでどうかお願いします。

後、私には準備が有りますので、国王にこの旨を伝えてくださると嬉しいです。」

そういい残すと、アテナは、来たときと同じように、規則正しく歩いて行った。

ガイルは、まず父のゲイリーに決闘の旨を伝えた。

父は、楽しそうに、

「行ってこい」といって了承した。

次に、クラーシュ王にこの旨を話すと、

「わかりました。」と言って、怪訝な顔をしながら了承してその場を去っていった。

しかし、ガイルはアテナと何かをするということが嬉しくて仕方が無く、クラーシュ王の顔の変化に気づかなかった。

ガイルは、端から見ても嬉しそうに、中央ステージに立っているクラーシュ王の元へと歩いた。

ガイルが、中央ステージに来るとクラーシュ王は暗い顔で、ルールの説明をした。

ルールは、アテナが話した通りに、負けを認めさせるか、戦闘不能にさせるまで続ける事と、武器には練習用の刃が丸まった物を使用すること、そして審判は、クラーシュ王自らする。という説明だった。

クラーシュ王は暗い顔のまま、説明した後。

「どうかご無事で」

と言って中央ステージに向かって行った。

ガイルは、クラーシュ王の最後の言葉が気になった。

だが、今はアテナと一緒に何かをするということで頭がいっぱいで、

又、もう少しで自分が呼ばれそうだったので、深く考えることをしなかった。

中央ステージの中央では、パーティーの参加者にクラーシュ王が、ガイルと、アテナが余興に決闘をする事と、そのルールについてなどの話しをしていた。


そして、ようやくクラーシュ王と決めた合図をした。

ガイルは、合図がくると、先ほど従者から渡された剣を腰にして中央ステージの中央へと歩き始めた。

ガイルが、中央ステージの中央へ歩き始めると、向こう側からもアテナが歩き始めてきていた。

ガイルとアテナは、共に中央ステージの中央に向かっていたため、又、2人とも、視線を上げて、姿勢を正していたため、お互いの視線が合い、端からは、見つめ合っているようにさえ見える。

そして2人が、中央ステージの中央にいるクラーシュ王の元で向かい合った。

アテナは、黒色のドレス、ガイルは、ザイール商会の制服、そして両者は刃引きがしてある同じ訓練用の直剣を持っていた。

パーティーに来たときと服装が変わらないのは、両者の区別をする為である。

「よろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。アテナ王女。」アテナは淡々と、

ガイルは嬉しそうに、

言葉を交わした。

そして、両者の挨拶が終わり、2人が直剣を構えているのを見て、準備が済んだ事を確認したクラーシュ王が、2人に向き合った。

「始め!」

クラーシュ王が、放った短い言葉がアテナとガイルの決闘が開始した。


「バン!!」

クラーシュ王の開始の言葉の数秒後に響いたこの音によって、パーティーに参加していた、貴族や官僚達が、一切の言葉を発せられずにいた。

「バタン・・・・・・・・・・」

そして、その静寂を破ったのは何かの倒れる音だった。

「い、医療班だ!医療班を呼べ!」

クラーシュ王の言葉がパーティーの参加者を現実に引き戻した。


中央ステージの中央にはただ一人、ロンギヌス王国王女アテナ・ロンギヌスが、その青色の碧眼に強い光と覚悟を宿した瞳でガイルを見下ろしていた。



ガイルは、最初は、乗り気では無かったが、アテナとの決闘に勝って男らしさを見せつけようと思っていた。

もちろん、怪我をさせずに追い詰めて降伏させるつもりだった。

ガイルは、アテナに向き合って直剣を構えた。

いつも訓練に使っている剣も直剣立った為、負ける気はしなかった。

「始め!」

クラーシュ王の言葉を聞いた瞬間にガイルは動いた。

剣を打ちつけて、剣どうしを合わせて、押し倒そうとしたのである。

しかし、それは不可能だった。

「え?・・・」

足を一歩踏み出した瞬間にアテナが消えた。

そして、胴に激痛が走る。

ガイルは意味が分からなかった、アテナが消えた事、胴の激痛、全てを合わせたとき導き出されるのは、負けた。と言うことである。

「私は、貴女のような弱者に興味はない。」

ただ、淡々としたアテナの声が、後ろから聞こえた。

そして、視界が暗転した。



パーティーはガイル・ザイールが運ばれたため、中止となった。

ガイルは、肋骨の3本にひびが入っていて、内臓にダメージがある重傷だった。

アテナ・ロンギヌス王女が決闘とはいえフィンドランド大統領の息子、ガイル・ザイールに対するやり方ではなかった為、国際問題になるかと思われたが、

「まさか、アテナ王女があれほどとは、しかし私は、更に惚れ込んでしまった。」

そう、父であるゲイリー・ザイール大統領に語ったため、又、クラーシュ王のお詫びの言葉の為に国際問題にはならなかった。





そして現在に至る。

父であるクラーシュ王は、ガイルの他にも様々な者とアテナを結婚させようとしたが、いずれも失敗した。

そして、アテナの妹であるウェスタについて・ロンギヌス第2王女にも婚約の話がかかったが、

「お姉様が結婚か、婚約なさるまで、する気はありません。」

と断言された。



アテナ・ロンギヌス王女は、今では 女性初の軍務的最高地位の軍務卿にまでなっていた。

軍務卿は、軍務卿直轄の近衛騎士、貴族がほとんどを占める王国騎士団、王国軍、更には衛兵にいたるまでの指揮権を与えられている。

更に王族であるアテナが軍務卿の地位を得たため、発言力が強くなていった。

その為か、今では、アテナがクラーシュ王に進言した言葉は、ほとんどが通されていた。


しかし、未だにアテナ王女がどうやって軍務卿にまでなったのかは、誰も知らなかった。

遅くなりました。すいません。

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