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第八話

麻羅隼人は窓の縁に手をかけて空を見上げていた。


空は青黒く、2つの月と星達が夜空を照らしている。

アテナと見たときと同じ、幻想的な夜空だ。

しかし、視線を下げれば慌ただしく動き回るフィンドランド兵や、アンデルセン城に向かって来るサンベルグ王国軍の攻城搭が見える。


隼人が見ているのは、アテナが指差した窓とは逆の廊下側の窓だ。

しかし、廊下といってもこの廊下は薄暗く、松明などの明かりも部屋の中や、廊下の角などに少し灯されているのみだ。

勿論兵も居るが、少ない兵達が階段の隣に立っているだけだ。又隼人がアテナ達と来たためか、何も言ってきたりはしない。


「ハァー」


隼人は大きなため息を吐いた。

先程まで、隼人はアテナと戦う理由について考えていたが、もうそれも今はしていない。

いくら考えても結論が出ないからだ。

しかし、二つだけハッキリとわかっている事がある。


一つは、自分はアテナやアルテミスには死んでほしくはないということだ。


知らない人ならば、隼人は見捨てることが出来る。

何故ならば、自分に関係ないからだ。

しかし、隼人はアテナやアルテミスと出会い。

その行動や、言葉によって、知ってしまった。

そして、もっと知り合いたいと思っている自分が居る。


つまり、見捨てることができそうに無いということだ。


一つは、アテナやアルテミスは自分には無い、“護りたい何かの為に”戦っているということだ。

隼人は、正直アテナやアルテミスの事が羨ましく思っている。

そして、それと同時に応援したいと思った。


よって、アテナやアルテミスが護りたい者なのかはわからないが隼人は、二人を助けてみようと思ったのだ。

そしてその方法を思い付き、この窓に来たのだ。

しかし、隼人の心境は良くはない。

何故ならば、方法が方法だからだ。

しかし、やらねばならない。

隼人は、意を決して、窓から落ちた。





風が体を叩くようにすら感じる数瞬を経て隼人は、その柔らかなもののうえに乗っていた。

漆黒の翼を羽ばたかせ、銀の瞳を持つ生き物は、隼人を背中の翼の間に乗せて空中を飛んでいる。

この生き物は、隼人の世界のドラゴンと酷似していた。


「アレス!」


隼人は名を呼んだ。


漆黒の翼を持つドラゴンの様な生き物――アレスは首を上げてこちらを意識しているような体勢になった。


「あちらに向かってくれ!」


隼人は、手を攻城搭の後ろ側を指してアレスに頼んだ。


アレスは、一瞬目をこちらに合わせ、そして隼人が手を指した方に向かって方向転換した。


実は、隼人はアレスが隼人を追ってこの付近に居ることはアテナと空を見たときとから、気配によって気づいていた。

隼人は、これまでアレスに乗ったことは無かったが何となく乗れそうだったのを思い出し、又アレスならば旨く拾ってくれるだろうと信じて隼人は窓からダイブしたのだ。


アレスは速い、しかもかなり高いため落ちたら即死だ。

隼人は、翼や体に当てないように背中に縛って固定していたバルチザンがずれていないか確かめ、風を出来るだけ受けないように、又落ちないように身体を低くしてアレスにしがみついた。





「よし!」


ガドー・サンベルグは声を上げて喜んだ。

今、部下から門が落ちたとの報告があったのだ。

ガドーは部下の前だということも忘れて喜んだ。


「最早アンデルセン城陥落は目の前だ!

全軍に突撃を!」


ガドーは、補佐に怒鳴った。


「は、はい!」


補佐も声を荒げるがそんなことガドーは既に気にしてはいない。


ガドーは今、軍の後方の本陣で将軍の部屋の豪華に装飾された椅子に腰掛けていた。

アンデルセン城第一門を落とした史上初の将軍になったのだ。


『最早、王位は俺の物だ。』


ガドーは、自分の欲望を思い耽っていた。


バゴゴゴゴ


しかし、ガドーの欲望はテントが破壊され、飛んでいく音によって消し去った。


「な、何事だ!」


叫びに対する答えはない。


「誰か居ないのか!」


「お前が将軍か?」


ガドーは声に対して振り返った。


「ッッッッ!」


ガドーは声にならない叫びを上げた。

そこには、煌めく金髪の緑色の碧眼をこちらに向け、手にパルチザン持った1人の青年が居た。

その青年は、外見からいって明らかにサンベルグ軍の兵ではない。

しかし、青年が明らかに強い事は軍に関わりがある者ならば、いや一般人であろうとも気付いただろう。

何故ならば、青年の首や胸板は明らかに筋肉が付き、一片の脂肪も残されてはいないかの様だ。

更に殺気が凄い、最早ガドーは腰を地べたに下ろしている事さえ気づいていない。

しかし、ガドーが真に恐怖したのは、その青年の後ろに居る漆黒のドラゴンだった。

サンベルグでは、ドラゴンは災厄の象徴として嫌われている。

ガドーは、もう一度青年を見た。

しかし、青年は消えていた。


ズル


視界がずれた。

一瞬青年が見えたが、視界が回転し、そして止まった。

ガドー・サンベルグが最後に見たのは首がなくなった自分の体だった。


すいません。

なんかもう死にそうです。

最近調子がかなり悪い為、あまり書けませんでした。

次回は頑張ります。

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