表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

変夢奇譚 ~くだらない夢のよせ集め~

オンナ (変夢奇譚 ~くだらない夢のよせ集め~ 第16夜より)

作者: Ak_MoriMori

変な夢を見た。


  私の前には、美しいオンナが立っていた。

  はちきれんばかりの笑顔で、こちらを見つめている。

  私は恥ずかしくなり、視線をはずす。


  オンナは、なにも話さない。

  なにも話さずに、笑顔のまま、私の横に座る。

  そして・・・わたし達は・・・これから・・・。


  というところで、目が覚めた。

  いや、目覚めてしまった。

  夢だが、非常に惜しい・・・。


  あのオンナ、いったい何者なのか?

  少なくとも、現実世界の私の周辺には、あのようなオンナはいない。

  なぜ、私は、あのオンナの夢を見たのだろうか?


  いろいろと考えを巡らせる・・・。

  もしかしたら、その昔、出会ったオンナかもしれない。

  いや、もしかしたら、これから出会うオンナかもしれない。

  俗な言い方をすれば、運命のオンナ、赤い糸で結ばれたオンナ・・・。


  勝手な妄想がどんどん膨れる・・・。

  

  だが、残念なことに、あれからオンナの夢を見ることはなかった。

  私はその代わり、ますます、妄想に(ふけ)った。


  そんな時、私は、現実の世界で、あのオンナを見つけた。

  

  なんと、オンナは、はちきれんばかりの笑顔で、私に向かって大きく手を

 振っているではないか!

  私も手を振り返そうと、胸の高さまで上げたものの、そこでやめた。


  オンナの動きは、止まっていた・・・。

  笑顔は、張りついたまま。

  手は、上げた状態のまま・・・手を振っているかのように見えるだけ。

  動きが、完全に止まっている。


  なぜなら、オンナは、立て看板だったから・・・。

  オンナは、何かのキャラクターの立て看板だった。


  私はまわりを気にし、誰にも見られていなかったことを知り、安堵した。

  そして、口元を歪ませる。笑いが漏れる。


 「お前、サミシイ人間だぞ・・・。」


  オンナは、まだ、はちきれんばかりの笑顔を私に送っている。


  私の胸に熱いものが、なぜかこみ上げてくる。

  失恋とは違う・・・。

  だが、あの熱い想いが・・・。

  このような形で失われてしまったことが、無性(むしょう)に悲しかった。


  私は、一体何に恋焦がれていたのだろう?

  自分の妄想にだろうか?


  私は、涙をこらえた。

  だが、鼻水が流れ出るのを止めることはできなかった・・・。


そこで目が覚めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ