ショッピングはRPGの醍醐味です。
「じゃあ何を持ってるんですか?」
「教科書と筆記用具とゲームソフトしかないです」
「じゃあいいですよ。それらをショップに売りに行くとかでいいです。運で振って下さい。成功したらお金を貰えることにしましょう」
「じゃあ振ります。お願いします!」
「43、普通に成功ですね。じゃあ300Gで売れたことにしましょう」
「やった」
『なんだねこれは。まったく見たことのないものだが』
また先輩の声色が変わる。今度はオジサンの声だ。凄い、なんでこんなに瞬時にいろんな声が出せるんだろう。ちょっと感動すら覚える。
『筆記用具? 文字が書けるのか。教科書とかいうのは何が書いてあるかわからんが。このゲームソフトとかいうのはキラキラしているし、変な絵も書いてあるから金持ちに売れそうだな。300Gで買い取ろう』
「ありがとうございます。それがどのくらいの価値かわからないけど」
「じゃあそれで武器や防具が買いたいです」
「武具屋ですね。300Gだと
ナイフ A:5 100G
ダガー A:7 150G
ソード A:12 200G
丈夫な服 D:8 120G
ブレストレザー D:12 180G
レザーアーマー D:18 230G
ってところですかね」
「うわぁ微妙。てか絶妙な金額設定ですね。出来ればダガーとブレストレザーが欲しいですけど、ちょっと足りない。そういや俺、魔力高いですよね。魔法ってどうやって使えるようになるんですか?」
「魔法屋ですね。魔法屋で魔道書を買えば覚えられます」
「ラインナップをみたいです」
「えーと
ファイアボール M:10 300G
ヒール M:1d6 300G
しか今は買えません」
「マジっすか。マジでどうしよ。えーとわかりました。ダガーと丈夫な服を買います」
「魔法はいいんですか?」
「なんだか防具が無いってのが心もとないんで。270G使ったんであと30Gですよね?
これであと薬草とか買えないですか?」
「薬草は1つ30Gで使用するとHPを6回復する消費アイテムです」
「じゃあそれ買っておきます」
『毎度あり』
先輩がまたオジサンの声になる。ちょっと楽しそうだ。
これで少しは冒険者らしくなった気がする。
このあとどのようなクエストが用意されているのかわからないが、不安と楽しみが混ざり合う不思議な感覚になった。