ヒロイン? 登場
「町にたどり着いたアナタは町の住人から奇異の目で見られます」
「まぁですよね。学生服ですからね」
「そんなところへ一人の少女がアナタの下へとやってきます『すみません、旅のお方ですか』と彼女は言います」
突然、藤崎先輩の声色が変わる。本当の少女のようだった。それに一瞬ドキッとする。
「あっでも、この世界で会話って出来るんですか?」
「あーそれもそうですねぇ。異世界人ですからね。面倒な設定にしましたね」
「うっ、すみません」
「どうしようかな。じゃあ学力か洞察力で振って、成功したら会話が出来ることにしましょう」
「失敗したら?」
「自力でなんとかしてください」
「うー、はいじゃあ学力で振ります。えい!」
「52、ギリ成功ですね。良かったですね、失敗していたらこの世界の人と会話も出来ずに野垂れ死んでいましたね」
「マジ良かったです」
「じゃあアナタは実は隠された凄い言語能力を突如発揮して、アナタにとって異世界人である少女の言葉が聞き取れます『すみません、旅のお方ですか?』」
「えーと、一応そうです」
『一応?』
「実はこことは違う世界? でトラックにはねられて気がついたらここにいたんです」
『トラック? とはなんですか?』
「そこからかぁ。何かデッカイ乗り物です」
『馬車みたいなものですか』
「まぁそんなところです」
『馬車にはねられて気がついたら見知らぬ土地にいたと。それはかなり大変でしたね。怪我とかはないんですか?』
「えっ? あるんですか?」
『なんで私に聞くんですか』
「すみません」
『面白い人ですね。でもそんな状態だとお願いできないかぁ』
「何かあったんですか?」
『私の名前はエリーズ。この町の近くの村に住んでいるんです。でも最近、村の近くに盗賊が住み着いてしまったみたいで。それで盗賊を倒してくれる人を町まで探しに来たんです』
「うわぁそういうことかぁ。でも普通のオタクの高校生に盗賊行けるかぁ?」
『見知らぬ土地で困っているんですよね? もし助けてくれるなら村の人に話をして、しばらく住む場所と食事を用意しますよ』
「と少女は言っています」
「わかりました。受けますと俺は言います」
『ありがとうございます。ところでお名前を聞いても?』
「山田快人です」
『ヤマダカイトさん、、、変わった名前ですね』
「カイトでいいですよ、エリーズさん」
『私もエリィでいいですよ。よろしくお願いします』
「よろしくお願いします」
「ではアナタはエリィに連れられて彼女の村へと向かいます」
「ちょっと待って。俺、装備とか何もないと思うでんですけど。何かないんですか?」
「だって山田君はこの世界のお金持ってないでしょ?」
「えぇ」
ここへ来て、異世界転生人とかいう設定にしたことを激しく後悔した。