第0話
カーテンの締切られた暗い、唯一パソコンの光だけがさす部屋の中で、机に向かってうつ伏せに寝ていた少女は目を覚ました。
「…ううん、、あ、寝落ちしてた。」
そう言い、少女は机の上の時計を見る。
デジタル時計には、12:00と書かれ、その下には火曜日の文字。
締め切ったカーテンの外からは、学校のチャイムが聞こえてくる。
「はぁ。今日も学校には行けなかったな。…まぁ、面倒臭いし、いっか。」
どうせ学校に行ったってなんも無いし。
「…お腹すいたな〜。冷蔵庫になにか入ってたっけ?」
1階の冷蔵庫を覗いたが、何も入っていない。
「…はぁ〜。仕方ないコンビニに行こう。」
外へ出て数分歩いたところのコンビニで買い物を済ました帰り。
「なんだろう、あの子?危なっかしいな。」
横断歩道の横にある公園で、4、5歳位の男の子がボールで遊んでいる。
その光景を楽しそうでいいなぁ……と羨ましく眺めていると、ボールが転がってきて男の子がそれを追いかけてきた。
「って!?危ない!!」
ちょうどその時、打ち合わせでもしていたようにトラックが走ってくる。
「っあーもう!」
私は駆け出して、男の子を勢いよく突き飛ばした。
その瞬間、全身に衝撃がきて、私は地面に転がった。
痛みに耐えながら目を動かすと、突き飛ばした男の子が怯えた表情でこちらを見ていた。自分の方へ目を向けると、ぼやけ始めた視界に赤いものが映った。
(やばいな……これ死ぬのかな…多分死ぬんだろうな…。私の未練……そうだな、私、動物好きなのにペット飼えなかったんだよね…未練って言えるのかはわかんないけど、もっと動物と触れ合いたかったな……。もし…来世があるなら、次はもっと…楽しく…生きたい…な…。)
そこで私の意識は途絶えた。