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※第9章 6 2人だけの愛の時間 

曖昧な性描写有ります

1


「マ、マシュー・・・。今、何て言ったの・・・?」


マシューは未だに私を抱きしめたまま離さない。そして私の肩に頭を乗せると言った。


「何度でも言うよ・・・。ジェシカが傍にいてくれるなら、俺は何もかも捨てられる。学院の生活も・・・今住んでいる世界も・・・それに両親だってきっと分かってくれる。俺はね・・・『ワールズ・エンド』へジェシカを連れて行く前に・・・最後の別れになるかもしれないと思って・・・父さんと母さんの処へ会いに行ってきたんだ。そして両親に伝えている。俺には・・・愛する女性がいるんだって事を・・。」


「マ・・・・マシュー・・・。」


マシューの言葉は私を動揺させるには十分だった。だけど・・・私の中にはテオがいる。彼は私の体内で暴走してしまったアカシックレコードを止めるために、自らの命を犠牲にして、私の中へ入り込んだ。エルヴィラは、テオの事は助ける事が出来ないと言っていたけど、私はそうは思わない。だって・・・私がアカシックレコードを書き換えた時に・・・・私の中にいたテオに会えたのだから・・・!

だけど、今またマシューにそんなことを告げられては、自分の心が揺らいでしまう。だって・・・彼は私がこの世界へ来て・・・初めて愛した人なのだから。今・・ここにテオがいてくれれば・・・こんなに苦しい思いをしなくても済むのに・・!


「ジェシカ・・・?何故、泣いてるの・・・・?」


気付けば、マシューが私の頬に両手を添えて、心配そうに見つめている。


「わ・・・分からない・・・。だけど・・・・たった一度の貴方の裏切りで・・私の心が・・どうしようもない位深く傷ついて・・・何度も何度も泣きながら、戻ってきて欲しいと願ったのは・・マシュー。貴方が初めてだったのよ・・。そしてそんな私を支えてくれたのが・・・テオだったの・・・。」


「ジェシカ・・・。俺・・・今すごく君を困らせているんだよね・・・?」


私はただ、黙って頷いた。


「ごめん・・・。ジェシカ・・・。困らせて・・。」


マシューは私から離れると言った。


「ジェシカ、空が・・赤くなってきたよ。この近くに何処か休める場所はあるのかな?魔女の話ではどのみち後5日は俺達はこの世界から出られないんだよね?それなら仮住まいが必要だと思うんだ。」


確かにマシューの言う事は最もだ。本来ならあの城で5日間過ごせばよいのだろうが・・とても身体を休める事が出来る環境の城では無い。

それなら・・・。


「この城からずっと道が伸びているでしょう?この道を15分程行くと、確か小さな町があったと思うの。だからそこへ行ってみたらどうかな?」


「うん、よし!それじゃ行ってみよう!」


マシューは笑顔で言うと、自然に私の手を繋いだ。


「マシュー・・・?」


するとマシューが頬を赤らめて視線を逸らせると言った。


「ごめんね、ジェシカ。せめて・・せめて新月がやってくるまでの・・5日間だけでも・・・俺の恋人になっていて貰えないかな・・・?」


マシューの切なげに潤んだ瞳が・・・何処か痛むような口調が・・私の心を揺さぶる。だから私は彼に言う。


「うん・・。マシュー。5日間・・・恋人として・・よろしくお願いします・・・。」


最期の方は消え入りそうな声で、私は俯きながら返事をすると、マシューの握りしめる手に力が籠った―。




 記憶の通り、歩いて約15分程の距離にその町はあった。

古い町並みはどこかセント・レイズシティを思わせるような佇まいを見せている。


「へえ~。この町って・・・どこかセント・レイズシティに似ていない?」


マシューもそれを感じたのか、辺りをキョロキョロ見渡しながら言った。


「あ、そう言えば・・・似ているのは当然なのかも。考えてみれば、セント・レイズシティのモデルになった町がここだったんだもの。」


「え?そうだったの?」


マシューが驚いた様に振り返る。


「うん。そうよ。だけど・・・自分であの小説を作って置いて・・・色々な事忘れちゃっていたな・・・。初めてエルヴィラに会った時に言われたのよ。長くこの世界にい過ぎて、同化して分からなくなってしまったのかって・・・。でも本当にそうなのかも・・・。」


「ジェシカには・・・元の世界に恋人がいたんだよね?でも・・・・別の女性に取られてしまったって言ったど・・その後は恋人はいたの?」


「いなかったわ。」


「そうか・・・。でも恋人はいなくても・・大切な人達は沢山いるんだよね?その人たちを思い出す事は無かったの?」


「言われてみれば・・・あまり無かったかも・・・今思えば、あの世界で生きる事に必死だったからかもしれないね・・あ!止まって、マシュー。」


私は見覚えのある建物を発見した。


「え?何、この建物が・・・どうかしたの?」


「あのね、ここ・・・確か私の記憶が正しければ、小さなホテルになってるのよ。中へ入ってみましょう?」



そしてドア開けて、中へ入ってみる。その光景を見て思った。ああ、やっぱりこのホテルに私は友人達と一緒に泊ったのだ・・・。


「室内は綺麗なのに・・・本当に町の外と同様に人の姿が無いんだね。」


マシューがキョロキョロと辺りを見渡しながら言う。


「うん。やっぱりエルヴィラが言う通り、次元が違う世界なんだね・・。でも良かったね。誰もいないから、咎められることなくこのホテルを使るんだもの。だって・・・考えてみたら今の私達ってお金を持っていないでしょう?」


「あ・・・そう言えばそうだった。それじゃ、ある意味ラッキーだったね。」


笑顔でマシューが答える。


「あのね、この建物の上の階が部屋になってるの。行ってみましょう。」


私達は階段をあがり、客室へと向かった。

その中の一室を開けてみる。


「うん。いい部屋だ・・綺麗な部屋だし、居心地が良さそうだよ。」


マシューが満足げに言う。


「それじゃマシューはこの部屋を使えばいいと思うよ?私は隣の部屋を使わせて貰うから。」


「うん、分かったよ。ところで・・・・。」


マシューが真剣な顔で言う。


「食事はどうしようか・・・?」


その後、私とマシューは町の中をくまなく歩き、1軒のスーパーを発見した。

ありがたい事に、ここで売られていた食材はどれも新鮮で、今居る次元と本来の世界は時の流れが同じ様であった。


取りあえず、2人で調理をしなくても済みそうなパンや缶詰、飲み物・・ついでにお酒を拝借?して、ホテルへと戻った。




ホテルの食堂にスーパーから持ってきた食事と、お酒をテーブルに並べるとマシューが言った。


「それじゃ・・乾杯しようか?」


「うん・・・。でも・・何に乾杯するの?」


「そうだな・・・。それじゃ・・・俺のお願いを聞いてくれたジェシカに・・乾杯。」


そして2人でグラスを鳴らして、ささやかな食事が始まった。

私とマシューはたわいもない話をして微笑みあった。・・・本当は、もっと深い・・・込み入った話をしなければいけないのは十分分かっていたけれども・・・敢えてその話には触れず、静かに会話をし・・お互い、久々に飲むお酒を楽しんだ。



その後、お互いの部屋のシャワーが使える事を確認すると私は言った。


「それじゃ、お休みなさい、マシュー。」


「うん、お休み。ジェシカ、また明日。」


互いに挨拶を交わし、私は部屋に入るとすぐにシャワーを浴びた。


ホテルに備え付けてあったバスローブを羽織り、窓の外を眺める。

今見えている月は下弦の月・・・・5日後には新月になる。


「公爵・・・。人間界に・・戻ってきてくれるよね・・・?」


その後・・・次元が違うとは言え、久しぶりに現実世界へ戻って来た私は中々眠る事が出来ないので、1人月を眺めながらワインを飲んでいると、突然隣で寝ているマシューの部屋から叫び声が聞こえてきた。


「え?何っ?!今の悲鳴は・・・!!」


驚いて慌ててマシューがいる部屋のドアを開けると、そこには頭を抱えて荒い息を吐いてベッドから身体を起こしているマシューがいた。


「ど・・・どうしたの・・・?マシュー・・・。い、今・・・凄い悲鳴が聞こえたけど・・・?」


恐る恐る声を掛けると、マシューは虚ろな瞳で私を見た。


「あ・・・。ジェシカ・・・。ご、ごめん・・・・。寝ている所・・・驚かせてしまったよね?」


マシューの顔は青ざめている。


「う、うううん・・・。まだ寝ていなかったから・・・大丈夫だったけど・・。一体どうしたの・・・?」


マシューの側によると尋ねた。


「あ・・・ゆ、夢を・・・・。」


「夢・・・?」


「うん・・・。仮面が外れてからも・・・殆ど毎晩のように、夢で見るんだ。ソフィーに無理やり仮面を被らされた日の事を・・・。絶望していた日々の事を・・・。」


「マシュー・・・。」


何と声をかけてあげれいいのか分からなかったので、そっと彼の手に自分の手を重ねると、突然腕を引かれ、気付けば強く抱きしめられて口付けされていた。


マ・マシュー・・・・。


やがて、マシューはそっと唇を離すと言った。


「ジェシカ・・・何処にも行かないで・・・この部屋に居て欲しいんだ・・・。そうじゃないと・・俺はまたあの夢を・・・っ!」


マシューが再び強く抱きしめてきた。その身体は・・・酷く震えていた。


「うん・・・・分かった・・。何処にも行かない、ここにいるから・・・。」


そっとマシューの背中に腕をまわすと、マシューは躊躇うように言った。


「ジェシカ・・・君を・・抱いてもいい・・?」


その言葉に私はマシューの顔を見上げた。私をじっと見つめるその瞳は真剣で・・・何処か切羽詰まっているようにも見えた。

私達は・・今だけは恋人同士・・・。

拒絶する理由は何処にも無い。だから私は頷いた。


「うん・・・。抱いて?」


すると、マシューは優しい笑みを浮かべて私を見つめ・・・口付けすると静かに私の身体の上に覆いかぶさって来た。


ジェシカ・・・愛している・・と熱に浮かされたように耳元で囁いてくるマシュー。

マシューの私を抱く手に、触れてくるその唇に・・どうしようもないほどの彼の愛を感じる。


そんなマシューに縋りつき、甘い声を上げながら私は思う。

やっぱり、私は・・・・彼の香りが大好きだ・・・。



大好きなマシューの香りに包まれて・・・何もかも忘れて今はただ・・・2人きりの甘い時間に溺れていたい―。





2


 翌朝―

朝日が顔に当たり、私は目をゆっくり開けて・・心臓が止まりそうになった。

何故かと言うと、睫毛が振れあう程の至近距離にマシューの寝顔があったからだ。

彼は幸せそうに眠っている。・・・良かった・・・。どうやらあの後は悪夢を見ないで眠れたのだろう。

それにしても・・・私は今の状況に途端に恥ずかしくなってしまった。

昨夜はあんなに何度もマシューに抱かれたのに、今彼の腕の中で裸でいる事が酷く恥ずかしい。・・・背徳的な事をしている気分になってしまう。

そ、そうだ・・・。マシューが眠っている内にベッドを抜け出して・・。

眠っているマシューに背中を向けて身じろぎした時、突然背後から首筋をキスされて、マシューが言った。


「ジェシカ・・・何処へ行くの?」


「マ・・・マシュー!お・・・起きていたの?!」


マシューの方を振り向き、顔を赤くして私は言った。


「うん、起きていたよ。だけど・・・もっとジェシカとこうして抱き合っていたかったから・・・君が目を覚ますまでは眠ったフリをしていたんだ。」


そうしてマシューは背後から私の身体をしっかりと抱きしめると耳元で囁いた。


「ジェシカ・・・愛してるよ・・。」


マシューのその言葉に思わず耳まで真っ赤になる。


「ジェシカ・・・もしかして赤くなってるの・・・?」


「き・・・聞かないで・・・。」


私の顔は恐らく真っ赤になっているだろう。だからその顔を見られたくなくてマシューの方を振り向くと、彼の胸に顔を埋めた。

マシューの身体からは私の大好きな香りが漂っている。思わず無意識のうちに自分の顔をマシューの胸に擦り付け、スウ~っと匂いを嗅いで・・笑みを浮かべた。


「ジェ、ジェシカ・・・。君って・・・。」


マシューの狼狽した声が聞こえ、思わず顔を上に向けると、マシューに突然深く口付けられる。


マシュー・・・。


私は彼の首に腕を回し・・・そのまま身体を重ねた―。


 こんな事をしていていいの?私はテオを大切に思っていたはずでしょう?それに・・・ドミニク公爵。彼は私にとって特別な人のはずでしょう?なのに・・・私は今、マシューの愛に溺れている。2人に対する罪悪感で一杯なのに、私はマシューをこんなにも求めてしまっている・・・。やっぱり・・・私はマシューを愛しているんだ。だけど・・・多分、私はテオの事も、公爵の事も愛している。・・私は何て最低な女なのだろう。だから・・・私は誰も選んではいけない、選ぶことが出来ないのだ・・・。


 マシューに抱かれ、甘い思考に痺れながら私は願った。自分の心を切り離せればいいのにと・・・そうすれば、私はたった1人の男性を愛する事が出来るのに・・。


マシュー。


貴方を愛している。・・・だけど・・・私は―。



 それからの4日間・・・私とマシューは誰も存在しない、この世界で2人だけの恋人同士の時間を楽しんだ。

2人で手を繋いで無人の店に入って、お互いの洋服を選んだり、湖でボートに乗ったり、ハンバーガーショップでは2人で一緒にハンバーガーを作って食べてみたり・・・。

そして毎日午後4時には城の地下の魔法陣でエルヴィラと会話を交わす日々を送っていた。やはりあの日以来、公爵の姿は見ていないと言う事実は私の心に重くのしかかるが、マシューはそんな私の肩を抱き寄せて、慰めてくれるのだった―。


 毎晩・・・夜は2人で同じベッドに入り、空が白むまで飽きる事無く身体を重ね、明け方に疲れ切って眠る・・・そんな愛に満ち足りた幸せな4日間を過ごした。



そんな4日目の最後の日―


この日、私とマシューは町の中にある植物園に遊びに来ていた。


「こんなに綺麗な場所があるのが分かっていたら、もっと早くに来れば良かったね?」


手を繋ぎながらマシューは笑顔で私に語り掛ける。


「うん、そうだね・・。」


私はマシューの横顔をチラリと見た。彼は・・・いつもと何ら変わらない素振りを見せてはいるが・・・私には分かる。

笑顔の中にも時折見せる悲しそうな顔・・・。もうすぐ私とマシューの2人だけの時間が終わる。そして・・・その後は別れの時間が訪れる・・・。


だから、私もマシューもいつになく無口になり、2人で手を繋ぎながら、青空の下、花畑の中を歩いていた。

不意にマシューが足を止めて、私を見つめると言った。


「大好きだよ、ジェシカ。」


え・・?この光景は・・・。そうだ、この光景は・・・私が監獄塔に掴まって、嵐の中で・・仮面をつけたマシューに抱き締められて眠った時に見た夢と全く同じ・・・。


あの時、夢の中で私は何て答えてた・・・?


「私も・・。私も誰よりも・・この世界で一番貴方が好き・・・。愛してる。」


思わず、夢と同じ台詞が自分の口から出てしまった。マシューを見ると、彼は驚いた様に大きく目を見開いて私の事をじっと見つめている。



「ジェ・・・ジェシカ・・・い、今・・何て言ったの・・・?」


マシューは私を見つめて尋ねる。


「・・・・。」

嘘・・・。どうして・・・どうして私は今、そんな台詞を言ってしまったの・・?そんな事・・言うつもり・・無かったのに・・・。


「な・・・・何でも無いの・・・今の台詞は・・・忘れて・・・。」


そうだ、私は・・・もう気付いてしまった。


「今・・・俺の事・・愛してるって言ってくれたよね?」


「あ・・・。ち、違うの、そうじゃないの・・・マシューの事は・・・確かに愛しているけれど・・・。」


「けど・・何?ジェシカ・・お願いだ・・・。君の本当の気持ちを教えて欲しいんだ・・。」


マシューは私を胸に埋め込まんばかりにきつく抱きしめると言った。


「なら・・・幻滅しないって約束してくれる・・?」


マシューの胸に顔を埋めると尋ねた。


「うん。約束するよ・・。」



 2人で花畑の上に座ると私は言った。

「私は・・・マシューの事を愛しているけど・・・公爵の事も・・・テオの事も・・・愛してるの・・。」


思わず涙声になってしまう。


「え・・・・?だってさっきは、この世界で一番好きと言ってくれたよね・・・?」


「うん・・・。そう、文字通りこの世界では、マシュー・・・貴方の事が一番好き、愛してる。・・だけど・・・。魔界の世界では・・・公爵の事を一番愛しているし、テオの場合は・・・人間界の中で・・・一番愛してるの・・。」


「ジェシカ・・・・。」


マシューの顔は青ざめているが、多分私の方が余程酷い顔色をしていたと思う。


「ごめんなさい、マシュー。どの世界でも貴方が一番と言えればいいのに・・だけど私には誰が一番愛しているかなんて選べない。だから・・・誰も選ぶことは出来ないの・・。ごめんなさい・・。」


私はハラハラと涙を流しながら、頭を下げてマシューに謝罪した。

やはり、私はこの世界にいてはいけない。全てが解決した暁には・・・元の世界へ帰るのだ・・・。


「いいよ、それでも・・・。」


え?

マシューの言葉に私は顔を上げた。


「ジェシカがたった1人を選べないって言っても・・・それでも俺は・・やっぱり君を愛してる。ジェシカ以外の女性なんて・・・考えられないよ・・。」


そして私を強く抱きしめると言った。


「ジェシカ・・・向こうの世界に戻ったら・・・ドミニク公爵を人間界へ戻して・・・テオ先輩を何とか方法を見つけて助け出すつもりなんだよね・・?」


「う、うん・・・。」


するとマシューはフッと笑って言った。


「仮に・・ドミニク公爵やテオ先輩が・・・人間界へ戻って来れたとして・・2人が俺と同じ考え方を持ってくれていれば・・・3人でジェシカの事を・・愛せるのにね・・・。」


私は今、すごくマシューを傷付けている。愛していると言っておきながら・・・誰か一人を選べないと言ってるのだから。


マシュー、ごめんなさい。


貴方だけを選べたら・・・どんなにか良かったのに。


マシューは私を強く抱きしめながら耳元で囁いた。



「だけど・・・ジェシカ・・・。今だけは・・・ここで過ごす間だけは・・俺の事だけを愛してくれているのなら・・・。」


気付けば、私はマシューに押し倒されていた。


「ジェシカを・・独占出来るって事だよね・・・?」


「うん・・・。今だけは・・・私の心は・・マシューだけのもの・・・。」


そして私達はどちらからともなく唇を重ね・・・花畑の中で愛を交わした―。

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