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186/206

※マシュー・クラウド(モノローグ)⑤

曖昧な性描写有ります

1


『ジェシカ、いつ魔物が襲ってくるか分からない。だが・・このシールドの中は安全だ。だから何も心配するな。そして・・何があっても絶対にここから動くなよ?』

岩陰に隠す様にジェシカを残す。


『ワールズ・エンド』は不思議な空間だ・・・。この地で倒された魔物はまるで空気のように消えてしまうのだから。

でもそのお陰でジェシカに醜い魔物の骸を見せずに済むのはありがたい事だった。


 戦いが終わって彼女の元へ戻るたびに、俺に言う。

役立たずで申し訳ないと何度も何度も・・・・。だからその都度俺は言う。

側にいてくれるだけでいいのだと。ジェシカが・・・俺と同じ空間にいてくれるだけで何故か力が湧いてくる。今なら・・・どれだけ戦っても・・どんな敵があらわれても・・負けない気がする程に。

全ての敵を一掃すると、一時的な休息時間が得られる。

ジェシカは俺に身体を休める様にいい、見張りをしてくると言って、かつて門があった場所へ移動しようとし・・・彼女を呼び止めた。


『ジェシカ。』


「はい、何でしょう?」


少しだけ・・・彼女と話がしたいと思った。ジェシカになら・・・弱音を吐いている姿を見られても構わないと思った。

だから俺はジェシカを隣に座らせて、仮面を被らされた時の自分の心境を語った。

孤独で・・・視野も聴力も半分に閉ざされ・・・毎日が死にたくなる程に辛かった日常を・・。だけど、ジェシカが側に入れくれるようになると、醜い仮面を被らされているのに、視野は広がり、音はクリアに聞こえ・・・そしてジェシカとだけは会話をする事が出来る・・それがどんなに幸せな事か・・・。


俺はジェシカを抱き寄せた。


「あ、あの・・・。」


『駄目・・か?もし嫌じゃ無ければ・・少しだけこのままでいさせてくれ・・・。こうしていると・・・自分が忌まわしい仮面を付けられている事が忘れられるんだ。不思議な事に・・・。』


するとジェシカは分かりましたと言って、自ら俺の胸に頭を埋めて来た。そしていつものように俺の胸に顔を摺り寄せ、幸せそうな笑みを浮かべてくれる。

ジェシカ・・・。お前が・・愛しくてたまらない・・。

ますます自分の胸に抱き寄せると彼女が言った。

本当に何も覚えていないのかと・・・・。どうしよう・・今なら本当の事を話しても大丈夫だろうか・・・?


『ああ・・・。自分でも、もどかしいぐらい何も覚えていない。だが・・・だが、お前の事は・・知ってる気がするんだ。』


するとジェシカの方がピクリと動いた。・・・もしかしてジェシカも俺と同じ・・心当たりがあるのか?本当は・・俺の事を知っているんじゃないのか?


「貴方は聖剣士なのだから、この学院の学生だったと言う事ですよ。なら何処かで会っていてもおかしくはないんじゃないですか?」


ジェシカはそう答えると、俺の身体を軽く押して離れた。

・・・何故だろう?突然ジェシカら距離を取られてしまった。そして・・・何故か彼女は一瞬泣き笑いの様な笑顔を浮かべると、見張りをするので休んで下さいと言って来た。

それは・・・まるでもうこれ以上会話をしたくないと言う素振りにも見て取れた。

なら仕方が無い。俺はジェシカの言葉に甘えて仮眠を取る事にした。

余程疲れていたのだろうか・・・?それともジェシカが側にいるから・・・?

俺は目を閉じると・・・すぐに眠りに就いた―。



 6時間後―


「お疲れだったな、2人とも。」


魔族の男が1人で『ワールズ・エンド』へやってきた。まさか・・・1人で番をしようというのだろうか?

ジェシカは笑顔で男を迎え、仲良さげに話をしている。その様子をじっと見つめる。

あの魔族の男は・・・ジェシカに恋をしている事は一目で分かった。

彼女を見る目は愛しさで溢れていたからだ。そしてジェシカの方も男の事を満更でもないと思っている事が手に取るようにわかった。


 やはり・・・2人は恋人同士なのか・・・?ジェシカの相手はドミニクでは無かったのか・・?

すると次の瞬間、魔族の男がいきなりジェシカを抱きしめてきたのだ。


『!』


あ・あの男・・・俺が見ている目の前でジェシカを・・・っ!

しかし、次の瞬間・・俺は我が目を疑った。

ジェシカは抱きしめられた直後、戸惑いの表情を浮かべたが・・・すぐに頬を薄っすら染めて・・幸せそうな笑顔で男の胸に擦り寄ったからだ。今まであんな態度は見た事が無かった。

ま、まさか・・・ジェシカ。お前本当にその男を・・・?

やめろ・・・ジェシカに触れるな・・・っ!


気が付けば俺は2人に近付き、男の腕から奪い取っていた。


『やめろ・・・これ以上彼女に触れるな。』


すると男は俺をみると、不敵な笑みを浮かべた。


「ふ~ん・・・。そうか。お前ってやっぱり・・・・。」


え・・?何を言おうとしているんだ?


「悪かったな。お前達・・・見張りで疲れているのに時間を取らせてしまって。後は俺に任せてゆっくり休んでくれ。」


そしていきなり俺の頭の中に話しかけて来た。


<お前・・・半分魔族だろう?>


それだけ言うと背を向けて男は門へ向かって歩き去って行った。


え・・・?この俺が・・・半分魔族だって・・・?あの男には俺の正体が・・分かっているのか・・・?




『ワールズ・エンド』から神殿にある自室に戻った俺は仮眠を取ったら再びアメリアが捕らえられているかもしれない城を探しに行く提案をした。

するとジェシカも同じことを考えていたようで了承した。

だが・・・仮眠を取るにもベッドは一つしか無い。こんな危険な場所でジェシカを1人にする訳にも行かないし、学院に戻す訳にも行かない。セント・レイズシティも魔物が現れる可能性もある。・・・やはり一番安全なのは俺の側に置いておくことなのだが・・・。

俺は一か八かジェシカに尋ねてみる事にした。・・・同じベッドで眠らないか?と・・。


するとジェシカは驚いたことに承諾した。いや・・・きっとそれだけ彼女も疲れているのだろう。

それなら・・・・。

汚れた服を着替えると、ジェシカと2人・・ベッドの上で背中合わせに横たわる。


『・・・・眠れそうか?』


するとすぐにジェシカが背中越しに答えた。


「はい。・・・おやすみなさい・・。」


ジェシカの声は既に眠そうだった。そして・・・ものの一分も経たない内に寝息が聞こえてきた。

彼女の隣は・・・とても温かく・・安らぎを感じる・・・。

そして、俺もいつしか眠りに就いていた・・・。



ふと・・・すすり泣きの声で俺は目が覚めた。

見るとジェシカが眠りながら・・・涙を流している。ジェシカ・・・・。どうしたんだ?何がそんなに悲しいんだ?その小さな体で・・・何か抱え切れない程の大きな悩みでもあるのか?お前の悲しみを俺が消してやることが出来れば・・・。

やがて・・ジェシカの起きる気配を感じて俺は背中を向けた。

きっと・・・泣いてる顔を見られているのは嫌だろうと感じたからだ。


「あ・・・。」


ジェシカが小さく呟く声が聞こえた。そして彼女は身を起こすと・・・俺をじっと見つめて、あろう事か俺の肩に触れてきたのだ。

ジェシカ・・・ッ!!


『目・・・覚めたのか。』

俺は彼女に声をかけた。


「はい、たった今・・目が覚めました。」


ジェシカの手はまだ肩に触れたままだ。


「あ・・・ご、ごめんなさい・・・。」


ジェシカが手を引こうとし、逆にその手を引き寄せた。ジェシカは俺の胸に倒れ込み・・・そのまま彼女を強く抱きしめる。ジェシカ・・・。何故泣く?何がそんなにお前を不安にさせているのだ?俺では・・お前の力になれないのか・?

だから、ジェシカに尋ねた。


『俺は・・・もっと強くなりたい・・・。あの時のアラン王子・・お前に口付けしたら一瞬で体調が回復していたよな?・・お前の聖剣士になれば・・触れ合えば俺もあんな風になれるのか?・・・どうすれば・・俺はお前の聖剣士になれるんだ・・?』


すると・・突然ジェシカの左腕と俺の右腕が光を放ち始めた。

え?何だ?一体・・・何が起こったんだ?


少しの間、その光を見ていたジェシカが突然俺の上に覆いかぶさるような体勢で俺を見つめてくる。彼女の栗毛色の髪が俺の仮面の上にパサリと垂れた。


「聖女と聖剣士の・・・誓いの契りを交わせば・・・私達は正式な関係に・・なれます・・・。」


『・・・!』

俺はその言葉に耳を疑った。

そ、それでは・・・アラン王子も、あの白髪の男も・・ジェシカと・・・?

その事実は俺の心を激しく揺さぶった。


『いいか・・・・・?』


「・・・。」


ジェシカは黙って俺を見つめている。

『俺を・・・お前の正式な聖剣士に・・させてくれ・・・。』

気が付けば俺は切なげな声でジェシカに囁いていた。

ジェシカは・・・こんな仮面を被った得体の知れない男だけど・・・俺の事を受け入れてくれるだろうか・・・?


「私の・・・聖剣士になって・・下さい・・。」


俺は耳を疑った。そして再度ジェシカの顔をじっと見つめる。

だけど・・・彼女の真剣な瞳が事実であると雄弁に語っていた。



 この時ほど・・・今自分が被らされている仮面を呪わしく感じた事は無かった。

この仮面のせいで彼女にキスをする事も、肌に口付けする事も出来ないのだ。

だけど・・・。


『優しく・・・するから・・。』


そっと彼女の服に手をかけ・・繊細なガラス細工に触れるような手つきで彼女に触れた。

ジェシカの身体は・・・とても綺麗だった。俺のような醜い仮面を被った男が美しい彼女に触れていいのだろうか・・?そう思わせてしまう程に。

お互いに・・・言葉を交わす事は無かったが・・・華奢なジェシカを抱き締めながら何度も心の中で囁いた。

ジェシカ・・・愛している。他の男達にも負けない位に・・・。

そして彼女の身体に触れながら・・・俺は気付いてしまった。

覚えている・・・彼女の肌を・・・この温もりを・・・その甘い声を・・・。

ジェシカを抱くのは初めてでは無かった。

前にも何処かで俺はジェシカと愛を交わした事が・・・あったのだ。

でも・・・それはいつの記憶だ?この仮面を被る前の出来事だったのか・・?


だが・・今はもう過去の事を思い出すのはやめよう・・・。


ジェシカ・・・お前を誰にも渡したくない・・・。愛してる・・・。

お前は・・・俺の事をどう思ってくれている・・?


俺の身体に縋りついて来る彼女の姿に愛を感じるのは・・自惚れだろうか・・?



そして俺達は飽きることなく何度も互いを求め合った―。





2


 ジェシカと2人、馬に乗って湖畔の側にあると言われている城を目指していた。

深い森の中は霧が深く立ち込め、数メートル先も見えない程だった。

ジェシカも恐怖を感じているのか・・・その肩が小刻みに震えている。

そして肝心の馬ですら、恐怖におののき、一歩も踏み出せなくなっていた。


『馬まで・・・この気配を感じるのか・・・。仕方が無い。ここから先は歩いて進むしか無いか・・。ジェシカ。歩けそうか?』


ジェシカは歩けると答えてくれたが・・・彼女が不憫でならなかった。俺と違って彼女はか弱い女性だ。しかもいつどこで魔物が襲って来るかも分からない、これ程殺気が漲った場所を歩かせるのは・・・心が痛かった。


早く・・・早く城を見つけないと・・・。しかし霧が濃すぎて前が見えず、思うように進めない。

『くそっ・・・!これだけ霧が深ければ前が何も見えない・・・っ!』

するとジェシカが意外な事を提案してきた。剣で霧を薙ぎ払ってみてはどうかと・・。

よし、やってみるか・・・。


結果は・・・大成功だった。

ジェシカ、お前はやっぱり足手まといなんかじゃない。・・最高のパートナーだ・・・・

そして霧が晴れると同時に、目の前にまるで天にまで届くのでは無いかと思われるほどの高い城が出現し・・・俺達は一瞬言葉を失った。


『!!』

その直後、俺は全身が総毛だつ程の禍々しい気配を感じ、咄嗟にジェシカを後ろに

庇うと、剣を構えた。


ズシンッ!ズシンッ・・・・


巨大な何かがこちらへ近付いてくる。

ジェシカは俺の背中に縋りつき、震えていた。


『ジェシカ・・・ッ!絶対に俺から離れるなよ・・・っ!』


そして俺は標的が現れるのを待った・・・。やがて城の背後から体長10mは軽く超えそうな巨人が目の前に立ち塞がった。

血走った目・・・閉じた大きな口からは巨大な2本の牙が見える。頭にも鋭く尖った角が生え・・何より見る物を恐怖に落としいれるのは膝下部分が2匹の巨大な蛇の姿をしているということだった。

『ギ・・・ギガース・・・。』


何故だ?何故このような魔族が・・・こんな所にいるのだ?この魔族は今迄俺が戦って来た魔物達とは比較にならない強さだ。だが・・・俺は背後に隠れているジェシカをチラリと見た。

彼女を・・・守るっ!例え・・・刺し違えてでも・・俺の命を懸けてでも・・あいつを倒さなければ・・・俺達は2人ともお終いだ・・・っ!


『ジェシカ・・・いいか。絶対に・・・俺の側から離れるなよ・・・?あのギガースの足は・・・猛毒を吐いてくる蛇だ・・・っ!』


ジェシカに言い終わるか終わらないうちに、2匹の蛇がいきなり口から紫色の液体を吐き出してきた。


『!!』


咄嗟にマントでその液体を防ぐと、液体が付いた部分が見るも無残に焼け焦げていく。なんだ・・・?毒ではないのか・・・・?

するとジェシカが叫んだ。


「酸ですっ!あの蛇がはいているものは・・・毒では無く酸ですっ!あれに触れると大変な事に・・・っ!」


何だって?!酸だとっ?!

『くそっ!厄介な・・・っ!まずはあの蛇を何とかしなければ・・・ッ』


ギガースから目を離さずに、魔力を掌に集中させる。たちまち俺の掌で燃え上がる炎の弾が現れる。

それを狙いを定めて蛇の頭目掛けて投げつける。炎は見事に蛇の頭にヒットし、恐ろしい咆哮が響き渡る。でもまだ駄目だ!あと1匹っ!

間髪入れずに残りの蛇にも炎の弾を投げつけ、こちらも頭にぶつける。その途端激しく燃え上がる炎。

再び森の中に魔族の絶叫が響き渡り・・・。


ズシーン・・・・ッ!!


地響きを建ててギガースは地面に倒れ込む。


「た・・・倒したんですか・・・・?」


『いや・・・。まだだ・・・。』

ギガースの身体からはまだまだ余力の残された強いオーラが見える。そう・・・相手は一筋縄ではいかない強敵なのだ。


やがて巨人はムクリと起き上がった。膝から下を失い、巨人の背丈は少しは縮んだが、それでもやはり見上げる程に巨大な姿をしていた。俺を睨むその目つきは・・・恐ろしい程憎悪にまみれていた。

巨人は両膝を失った痛みか、怒りか・・・それとも威嚇の為かは不明だが、大声で吠える。空気はびりびりと振動し、森の木々の葉っぱが散らされた。


 その時突然ジェシカが叫んだ。


「か、鍵を・・・っ!」


『鍵?』


「巨人の首から鍵がぶら下がっています・・っ!あの鍵は・・・アメリアが捕らえられている扉を開ける鍵ですっ!」


見ると確かに巨人の首元で鍵がぶら下がり、おおきく左右に揺れ動いている。

ジェシカ。あれを・・・奪えばいいんだな?

そうか・・。あのギガースは・・・この城を守る番人というわけか。


『分かったっ!俺が・・・あの鍵を奪う!その後はお前が・・鍵を持ってあの城に行くんだっ!いいか、その際・・俺の事は一切構うなよっ!!』


ジェシカ・・・刺し違えてでも必ずギガースは倒すから・・・お前はアメリアを助け出すんだっ!


「い・・嫌ですっ!!」


しかしジェシカは背後で叫ぶ。だが・・・!今の俺の力では2人とも無事ですむとはおもえない。

そしてギガースは両手を前に突き出すと俺達目掛けて突進してくる。


『ジェシカッ!下がっていろっ!!』


剣を構えるとギガース目掛けて突っ込んで行く。兎に角・・・奴を少しでもジェシカから遠ざけなければっ!

ギガースはその巨体に似合わないスピードで鋭い爪の生えた太い腕を振り下ろしてくる。それを間一髪で避け、剣で相手の腕を貫く。

しかし、相当頑丈な皮膚なのか、致命傷には至らない。

そうか・・・それなら・・・。俺は剣に強化魔法をかけ、再度ギガースに突っ込んで行く。

チッ!それにしても・・・何てスピードなんだ。避けるのが精一杯で中々攻撃する事が出来ない。そして徐々に体力が切れ初め・・・攻撃を避けるスピードが落ちていく。


ザシュッ!!

突如背中を爪で切り裂かれる痛みに襲われる。し、しまった・・・・。

鎧を貫通して背中を切り裂かれてしまった。焼けるような痛みに襲われる。だが・・まだ倒れる訳にはいかない・・っ!

何とか相手に致命傷を与えなければ・・・っ!痛みで目が眩むが気力を振り絞って俺は剣を握りしめるとギガース向かって剣を振り下ろす。

だが・・・

だ、駄目だ・・・痛みと疲労で息が切れる・・・。そして以前にも似たような経験をした記憶が突如として蘇る。

今の記憶は・・・?


するとその時・・・。

突然俺の身体が光に包まれた。え?一体これは何だ?

咄嗟にジェシカを視線で探すと、彼女の身体も光に包まれている。

そして自分の身体に力が漲って来るのを感じた。


ジェシカ・・・ッ!これは・・・お前の聖女としての・・・力なんだな・・・っ?!

一瞬動きが止まる。

そこをギガースが腕を振り下ろした時・・・・俺は自分でも驚く程のスピードで攻撃を避け・・・剣を振り下ろす。

俺の剣にギガースの骨まで達した感覚が伝わる。思わず耳を塞ぎたくなる程の絶叫が森に中に響き渡る。


だが・・・容赦はしない。確実にギガースを倒さなければ・・・ジェシカを守れないっ!

怒り狂い、滅茶苦茶に腕を振り下ろすギガースの攻撃を避け・・俺は確実に奴の身体を剣で切り裂いていき・・・・ついに奴は地面に倒れ・・・絶命した。


心臓は張り裂けそうなほどキリキリ痛み、呼吸困難に陥るのでは無いかと思われる程に荒い呼吸が治まらない。それらを堪え・・俺はギガースの首からぶら下がっている鍵の紐を剣で切り裂く。


『ジェシカ・・・。巨人は倒した。鍵は・・・手に入れたぞ・・・。』


ふらつく足取りで何とかジェシカの元へ行き・・・彼女に手渡すと同時に膝をつき、彼女の眼前で地面に倒れ込む。

急激に意識が遠のいていく・・・。

ジェシカが激しく泣いている・・。


その時・・・。


「イヤアアアアッ!!死なないで・・・マシューッ!私・・・私・・貴方を・・愛しているのよっ!」



彼女が叫んだ―。

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