96th SNOW 「機械仕掛けの邪眼(アーティファクトアイ)」
今回は氷華サイド、及び第二部の開幕です。
霜乃さん初戦闘シーンですが、限定的とはいえ神童と呼ばれた実力を見せます。
その頃、氷華はというと。
晴夜の部屋にいた。
「氷華……険しい顔して、どうしたの?」
晴夜は相変わらず能天気な感じではあったが、詳細を全く知らないので無理はない。
「大丈夫……大丈夫だから……とにかく今は大人しくしてて。」
「……何が起こってるのかはわからない、けれど……やっぱり様子を見に行った方が……」
「ダメ。お姉ちゃんから連絡来るかもだから……今は待ってよう?」
「……分かった。」
と、その時。
ドーーーーーン!! と振動が。
「!? ちょ、これは!?」
「……始まった……戦いが……!!」
どうやら暗殺部隊が突入したようだ。
氷華と晴夜は固唾を呑んで待機するしかなかったのである。
同じ頃、霜乃サイドは、というと。
「敵襲!! 備えて!!」
侍女連合軍は霜乃の指示に従い、それぞれで構えた。
術を彼女たちは放っていくが、足止めまでには至らない。
冷奈も援護に回るが、それでも応戦してくる精鋭部隊には及ばない。
「仕方ない……これは温存しときかったけど……行くしかない! 『機械仕掛けの邪眼』………起動!!」
霜乃は眼帯を外し、眼を露にさせた。
時は2週間前に遡る。
《これは?》
霜乃が目のような形をした器具を冷奈から受け取る。
《これは「機械仕掛けの邪眼」……まだ試作品で、調整段階ですが……3分間、眼がない雪女でも邪眼が使えるように細工してあります。これを視神経と接続すれば……使えるようになりますので。》
《有難いです……!! たった3分、それだけで十分です!》
霜乃はカップラーメンが出来るくらいの短い時間の間で攻めるしかなかった。
いちいちオンオフにはこの眼は出来ていない。
戦闘力を得たとはいえ、義眼なのだ、決して見えるというわけではない。
だからこそ、初っ端から最大火力で勝負を賭ける。
「敵は!?」
「南の方から5人……東側から6人です!!」
「了解……『氷の生命』……『吹雪大乱破』!!!!」
霜乃が両手を握り締めると、一瞬にして大爆発が起こり、精鋭部隊を怯ませた。
霜乃は猛ダッシュで南の方から切り込んでいく。
霜乃は短い刀を生成し、『氷の舞踏曲』を放ち、精鋭部隊の首根っこを高速で切り裂いていった。
「流石霜乃さん……!! 私も負けてはいられませんね……」
炎の術を放つ精鋭部隊に対し、冷奈も負けじとリボルバー銃をバン、バン!! と放って応戦した。
霜乃の奮闘に勢い付き、他の侍女たちも続々と起動し、精鋭部隊を追い詰めていくのであった。
そして喧騒を部屋で聞くしかなかった氷華と晴夜は、というと、晴夜が様子を見ようと外に出ようとしたが、氷華が必死になって止めていた。
「氷華……!! 様子だけでも見させてくれよ!! ここが危ないんだろ!? だから……!!」
「とにかく今はダメなの!! 出たら……!! 晴夜は真っ先に殺されちゃうから……!!」
「なんでなんだよ……!! 僕が行っちゃいけない理由でもあるのかい!?」
「今回のことはアンタが全部関連してるの!! 詳しいことは言えないけど……!! 終わったら全部話すから!! だから今は収まるまで待ってて!! 晴夜に死なれたら負けなの、今回は!!」
涙ながらに必死に訴える氷華に対し、晴夜はぐうの音も出なかった。
「もしここがバレても大丈夫だから……!! その時の脱出ルートも確保できてる。敵がどれくらい居るかはわからない、だけど絶対に私が逃がすから!! その時まで待ってて!! 私もここに居るから!!」
「それはわかった……だけど霜乃さんは大丈夫なのかい……? いくら義眼でどうにかしてるといってもたかが知れているんじゃないのかい?」
晴夜はごもっともな事を言った。
だが、氷華は姉を信じていた。
「大丈夫……いくらブランクがあったとはいえ……かつて『神童』と呼ばれてた雪女だから……!! 絶対に切り抜けてくれると信じてる!!」
氷華の言葉通り、霜乃は妹と妹の恋人のために、限界を超える力で陰陽師の精鋭部隊を相手に無双していくのであった。
だが着実に、時間切れが近づいていったのもまた事実である。
次回も引き続きです。
登場人物紹介で、今作最大の悪役・土岐昼茂を紹介します。
お楽しみに!




