表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪女JKと陰陽師の転校生 〜〜雪女の少女と陰陽師の長身イケメンの甘酸っぱい恋模様〜〜  作者: 黒崎吏虎
第七章 雪陰大戦編第一部 晴夜の出生の秘密と19年前の因縁
94/128

94th SNOW どちらに付くか

Ωの酒鬼原さんの部下達が初登場します。

出番は多くないですが、クセの強い人たちに仕上げたいですねwww

で、Σの裏事情も明かしたいなと。

月久さんも言ってますけどねwww

 「Σ」東京支部と「Ω」東京支部の、晴夜を除く全員が一同に介していた。


場所は料亭「山吹」。


氷華の母・吹雪が働いている店である。


ここなら密約も可能だということで、氷華が希望したものである。


「Σ」のメンバーと、「Ω」のメンバーが向かい合わせに介した。


「悪いな、酒鬼原。呼び寄せちまって。」


「緊急事態なのだろう? 出来ることはさせてもらう。」


北川と酒鬼原が会の中心となって話を進めることになる。


「……事の顛末は……冬菜、と言ったな? この娘から聴いた通りだぞ。陰陽師と雪女の衝突が……俺たち妖魔が見える人物にとっては事件だ。19年前に起こった一大事件の再来だぞ?」


「……ああ、分かってる。」


妙な緊張感が漂ってくる。


と、ここで文香が耳打ちをする。


「とにかくまず……ウチの事情を話した方がいいのでは? 氷華ちゃんと冬菜ちゃんと……テンちゃんは知らないわけですし……」


「……そこは大丈夫だ。しっかり話す。」




 氷華や冬菜にとっては、Ωのメンバーと介することは初めてではあったが、氷華が霜乃の妹であると明かすと、すぐに仲良くなってしまった。


Ωの他のメンバーを紹介する。


酒鬼原の隣に座るのが、副隊長の「赤城大和(あかぎやまと)」。


船幽霊(ふなゆうれい)」の刻印者で、呪術者であり、警察官の鑑識課に属している、酒鬼原が最も信頼している男である。


その右にいる女性は「森岡泉理(もりおかせんり)」。


陰陽師の血族ではあるのだが、本人はそれを知らないため、術を使えないので、妖怪研究の専門家である。


まあ、ムードメーカー的存在であるのは確かだが、氷華は彼女が変人すぎて、ついていけずにいた。


その横にいる無表情の小柄な女性が、「舞影莉亜(まいかげりあ)」。


外見からはかなり幼く見えるが、霊能力者で、年はこう見えて24歳。


彼女もまた、妖怪研究に一役買っているようである。


そしてその隣の男が「五十嵐皇真(いがらしこうま)」。


一見普通の男に見えるが、実は「ぬらりひょん」の半妖で、妖魔を惹きつけるものを体質的に持っているため、妖怪捕縛に一役買っているのである。


末席にいるのが、現在の北川の相棒である「亀井静波(かめいしずな)」。


彼女は「猫又」の刻印者であると同時に、「馬仙院教」の潜入捜査を担当した人物でもあり、Ωではツッコミ担当なのだが、北川と酒鬼原が認めるほど優秀で、現在27歳の巡査長である。


ただ、彼女の悩みは彼氏が出来ないということだというので、絶賛彼氏募集中とのことである。



それは置いといて。



会議が始められる。


「まあ、話が盛り上がるのは構わねえが……本題はまあ……Ωも冬菜から聞いたと思うが……陰陽師のトップが晴夜を殺そうとしている……それが二種族間の戦争に繋がる、という内容だった。」


北川のこの言葉に、空気が一瞬でピリッ、となる。


「でまあ、俺らの立ち位置はどうか、というと……まあ、氷華と冬菜と……天狐は知らねえようだから言うけどよ……『陰陽師からの金銭的な支援を受けている』ということだ。」


「え……!! じゃあ……」


「そう、そこなんだ。確かに雪女の冬菜からは要請は受けていた、だが……立場が立場なもんでな。どうしたものか、と思って……亀井に持ちかけて、この場を用意してもらったんだ。」


「……どちらに付くか、迷っている事ですね?」


「それは酒鬼原も同じだった。氷華の姉貴を雇っていたのはあるにせよ……無下にはできない、ということでな……だから本心を聞いてみたかった。」


しばらく沈黙の間が流れる。


と、ここで、「あー、ちょっといいっすか」、とばかりに相澤が手を挙げた。


「あのよぉ……氷華ちゃん、これだけは聞いてみたかった。実はさ、陰陽師と雪女の間に子供が産まれた、って……17年くらい前か、親父の会話を聴いて……今でもずっと覚えてんだけどよ……あの二種族間は仲が悪いって事で有名だった、けれど晴夜と氷華ちゃんはそんな素振りは一切ないし、寧ろめちゃくちゃ仲がいいしで……だからずっと違和感を憶えてたんだ……晴夜は()()()()()()()()()()んじゃねえのか?」


氷華は無論、雪子と月久から聞いて全てを知っているのだが、流石に明かすわけにはいかない……と思っていたが……隣にいた冬菜に言ったほうがいい、と促される。


「実は晴夜は今……雪女一族当主・霜之関雪子の邸宅にいるんです……相澤さんの御指摘の通りで……今回の件を知った御当主様が私を使って匿ったんです。それで……なんでかと言いますと……御当主様の子供こそが晴夜なんです。」


「!?」


氷華のカミングアウトに驚かない方が無理はない。


冬菜は霜乃から事前に連絡を受けていたので、知っていたとはいえ、顔が歪んでいる。


「私も先日知ったばかりで……御当主様と晴夜のお父さんからお話を聞いて全てを知りました。晴夜がもし……私と出会っていなかったら、って思うと複雑です。」


「なーるほどね、氷華。そういう事情だったのね? アタシは晴夜のフリをしてくれって言われたから、ワケわかんないままやってたけど……そういう事だったんだ。」


「うん、だから……天狐には迷惑かけちゃったな、って……」


複雑そうな表情を浮かべる氷華、しかし、メンバーは意に介する顔はしていなかった。


「………事情は……分かった。」


莉亜が焼酎をグイッと一飲みし、そうボソッと言った。


「雪女の血を引く男と関わった事があるんだけどさ……それを調べると……必ず雪女に惹かれるという習性があるみたい。そしてその子供は通常の雪女より妖力が高い。つまりパワーバランス的な意味で言ってしまえば……当主の息子たる晴夜くんと氷華ちゃん……結ばれると()()()()()()()()()()()()()()()()、そう言いたいんだろうね……」


五十嵐もこれに同調した。


「莉亜の言う通りかもな。陰陽師ってのは……権威主義的なところがあるからそれが逆転されるってなると晴夜は始末しときたいだろうな……たとえ同胞であろうと容赦しねえのが現当主だ。」


赤城も氷華を支持する様に乗る。


「そうですね……2人の言う通り、今の陰陽師当主・『土岐昼茂』は苛烈なところがありますから……私は雪女に付きますよ。私は彼を快く思っていませんからね、たとえパトロンが彼とはいえ、ね。」


「それはアタシもどーかん。あのオッサン、マジでクズだし。」


泉理も似た理由で氷華を支持していた。


静波も氷華に乗る。


「皆さんの仰られる通り……今の陰陽師の体制を快く思われている方は少ないと思います。ですから北川さんと隊長が良ければ、ですが……私も雪女に付きますよ。」


この静波の言葉に、文香と相澤も頷く。


天狐は口角を上げてこれを見守っていた。


「あとは我々、だが……どうするよ、裏切り行為がもしバレたら、となると……」


「まあ、俺たちが始末されるのは目に見えてはいるが……繋がりだけで『戦争』っていうのは決まるワケじゃねえからな。」


「だがまあ……どうせなら……未来にベットをしてみるか? 北川。雪女と陰陽師が和解した世界線を、な。」


北川もふっ、と笑みを浮かべ、酒鬼原にこう言った。


「……氷華と晴夜が交際を開始したって知った時から……この2人の未来を応援してえって思ってたしな。すまねえな、お陰で気持ちよく決断できるぜ。俺たち『Σ』は……陰陽師を裏切り、雪女側に付く!!」


「……『Ω』もだ。仮に雪女を見殺しにすれば……霜乃に合わせる顔がないからな。」


「「ありがとうございます!!」」


北川と酒鬼原の決断に、氷華と冬菜は深々と頭を下げ、感謝を述べたのであった。





 そしてその後の夜。


北川は雪子に連絡を取っていた。


『……そうか……ワシらに貴様たちは付く、と。』


「……俺の部下が世話になっているんでな、アンタに。陰陽師の今を快く思っちゃあいねえからな、協力させてもらう。」


『此方からも感謝申し上げるぞ、北川殿。それで……約束しよう。今、貴様らは……陰陽師から支援を受けているじゃろう?』


「ああ。」


『……それを破棄するというのと一緒じゃ。だから今後はワシが支援する。投資で日銭は稼いでいるのでな。なに……心配は要らんよ。今回に関してはワシらが負ける気はせぬ。だから……晴夜のことは今はワシに任せておいてくれ。ワシの……たった1人の息子なのじゃからな。』


「……場所の予測や陣の設営などもあるだろう? 何処になると思っているんだ? 霜之関雪子。」


『そこは『氷柱山家現当主』の眞霜(ましも)殿に任せてある。京都とこの横浜を結ぶ位置、と来たら……おそらくは静岡。奴らはそこに布陣する可能性が高い。』


「なるほどな……頭に置いておく。それでは、また日を改めて。」


北川は雪子と通話を切り、アジトへと戻ることにした。


北川は直観していた。


この戦いは負ける事が許されない、と。

次回は第一部のラスト。


敵サイドをお送りします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ