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雪女JKと陰陽師の転校生 〜〜雪女の少女と陰陽師の長身イケメンの甘酸っぱい恋模様〜〜  作者: 黒崎吏虎
第七章 雪陰大戦編第一部 晴夜の出生の秘密と19年前の因縁
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89th SNOW 霜之関の血縁

今回は雪女の血を引く男の結びつきを紹介します。

 氷華は雪子のカミングアウトに耳を疑っていた。


まさか晴夜の母親が雪子である、ということに驚きを隠せなかった。


「……まあ、すぐ言われても信じられないようじゃの?」


「い、いえ……滅相もございません……」


氷華は動揺して、しどろもどろになっている。


雪子も薄く笑みを浮かべている。


「……なんだったら見るか? 婚姻届と……晴夜の出生届と。……まあ、コピーじゃがの。」


「……本当だ……ちゃんと記されてる……」


「……氷華よ。何故……離婚をしているか分かるか?」


「……いえ……わからないです……」


「……()()()()じゃよ。……雪女は男が産まれれば……別れなければならぬ。そして……その子から()()()()()()()()()()()()()()。その理由は……氷華、お主が晴夜と繋がった理由がそうなんじゃよ。」


氷華はハッとした。


晴夜に告白された時、「一目惚れだった」、そう言われたことを思い出した。


「じゃあ、まさか……!!」


「……夏にお主と晴夜は……『必ず結ばれる運命にある』、そう言ったはずじゃ。」


「ええ……確かに、そう仰られましたよね……」


「ああ。実はな、雪女の血を引く男は『初めて見た雪女に惹かれ、惚れる』。つまり……必ず結ばれると言ったのはそういう因子に関係があるからじゃ。……だから母親の記憶を消さねばならぬ。……宣誓術によってな。」


「……今回の件は……晴夜が全てのカギを握っている……そう言いたいのですか?」


「そうじゃ。向こうは晴夜を殺そうとしておる。……さっき言ったそれが原因でもあるからな……」


氷華は口を噤む。


自分と出会ってしまったからこうなったのか、自責の念がよぎってくる。


「氷華、そんなに落ち込むようなことではなかろう。……氷華、ここを乗り切れば……『歴代最強の雪女』が産まれてくる可能性が出てくるんじゃ。だから……此度の戦は負けるわけには行かぬ。そうでなければ晴夜だけでなく……他の雪女の命が失われることになる。……まず何故それが産まれてくる可能性が出てくるのか……教えてしんぜよう。」


「……お願いします……」


雪子は侍女に命じて、ある記録帳を持って来させる。


そしてそれを開いていく。


「……これが家系図じゃ。男でも必ず記載することになっておる。これを見て……何か気づくところはないか?」


氷華はよく見ると、「()」という文字があった。


それもそのはずであった。


氷華の()()()()であるからだ。


「え……!! と、父さんが……!?」


「そう、ワシの叔母である先代当主の血を……誠は引いておる。いわばワシの従兄弟。ワシの母は叔母上の妹……そういう関係じゃ。つまり……氷華と晴夜は『再従兄弟(はとこ)』、ワシと氷華は『従姉妹違(いとこちぎ)』となっておる。」


「じゃあ……その血が色濃くなれば……!!」


()()()()そういう手筈じゃ。だが実際そうならないのが遺伝子の世界……理論で最強が産まれるのであれば、とうの昔に誕生しておるわ。」


「そ、そうですよね……」


氷華がそう言ったと同時に、雪子の顔が暗くなる。


「ど……どうされたのですか……??」


「……氷華……何故晴夜がお主のクラスに来ていることを知っていたか分かるか……? ()()()()()()()()()()()()()()()を取った。……陰陽師の過激派の一派にバレぬよう……雪女の眠れる因子を仕込んでおいた。……本人も気づいておらぬ。……心配なのは分かるじゃろう? ワシとて……1人の子を産んだのだから……ワシの侍女にしか明かしておらぬがな。」


「そうだったんですか……」


「じゃから……此度の件には憤りを覚えた……『母親』として、な。それもそうじゃろう、たった1人の……ワシの息子なんじゃからの……!!」


雪子はグッと拳を握りしめた。


そして続けた。


「たとえ離れ離れでいようとも……!! 晴夜がワシのことを知らなくとも……!! 子を想わぬ母親が何処にいるというのじゃ……!!」


「御当主様……」


氷華は、雪子の晴夜を想う感情が痛いほど伝わってきていた。


晴夜のことを何よりも理解しているからこそ、雪子の感情を表にした咆哮を理解できていた。


「……すまぬな、氷華……見苦しいところを見せてしまって……」


「い、いえ……お気遣いなく……」


「……そうじゃな……お主には明かしておこうか……晴夜の父であり、元夫の……『陽陰月久』とワシが結ばれた理由を。……19年前じゃ。『雪陰大戦』が行われたのは先程聞いた通りじゃろう?」


「ええ……。」


「……彼奴とは『()()()()』だったんじゃ。……今でも思い出すと忌々しい……現陰陽師当主の……『土岐昼茂』のあの下衆い顔を思い浮かべると、な……」


雪子は歯軋りをする。


そのオーラからは「憎悪」が浮かんでいた。


氷華も固唾を飲む。


「……察しの通りかもしれんが……ワシら雪女はその前の大戦で敗北した。……叔母上と……ワシの()()()()を……土岐昼茂に殺されて、な……」


「え……」


「……その大戦ではどちらかのトップが死ねばそれで勝敗は決した、そういう戦いじゃったし、先に仕掛けたのは陰陽師の方じゃ。……ワシの妹『雪那(せつな)』は……攻め込んでいったが不意打ちで心臓を撃ち抜かれ……叔母上……先代当主『冬海(ふゆみ)』は他の雪女を逃すために自ら巨大な火の球に包まれて全身丸焦げの焼死……ワシが駆けつけた時は……雪那は虫の息、叔母上はもう息をしていなかった……」


「じゃあ……戦後の交渉で……」


「……ワシが携わったわけではないがの……身内を殺されれば誰とて理性を失う。交渉できるような精神状態ではなかった。だから……代理で冷奈の祖母……当時の氷柱山家当主『凍花(とうか)』様が交渉して……示談が成立した。唯一残った当主を継ぐ者のワシを……当時陽陰家を継いだばかりの月久に嫁がせる……そして京都に住まわせるという条件で、な……」


氷華は難しい顔になった。


まさかそのような事情があったなど、思いもしなかったからだ。


「……今でも忘れられぬ。……ワシから最愛の妹と……最も尊敬していた叔母を失った時の怒りと悲しみと……それを包んでくれた……月久の優しさを……な……」


雪子から語られたのは、19年前に争われた雪女と陰陽師の戦い。


全てを知った時、氷華はより一層晴夜を守らないといけない、そう固く誓ったのであった。

次回は過去編です。

前編と後編に分かれていますので、雪子が月久に心を徐々に開いていく姿をご覧くださいませ。

で、まあ……なんていうんでしょう、今作最大の悪役・土岐昼茂の下衆っぷりも書ければいいかな、と思いますので、是非とも宜しくお願いします。

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