85th SNOW 「2人」の雪女
今回はなかなか見せれなかった天狐の本領を発揮させます。
VS桃悦、決着間近です。
氷華の横に並んだ天狐。
一方の桃悦は怒りに満ちた表情を携えていた。
「よし……行くよ、天狐! アレを!!」
氷華は空気中の窒素を一瞬で大量の液体窒素に変化させ、煙幕のように姿を隠した。
さて、煙幕の中の2人は。
「……正直助かった、それはあるんだけど……ホントにやるの? 天狐の妖力で石田くんの攻撃を耐え切れるとは思えないんだけど。」
「九尾の狐を……見くびってもらっちゃあ困るよ、氷華。アタシの変身は……肉体と耐久力をコピーする。声も、筋肉量もそっくりにね。まあ、氷華みたいに氷の技を使えるわけじゃない、だから思考を混乱させる。それで十分だよ、アタシは。」
そう言って、氷華に右手を差し出す。
氷華もそれを察した。
「わかったよ、天狐……そこまで言うなら。二酸化炭素をドライアイスに変換、剣を生成する!!」
「サンキュー、氷華。……じゃ、アタシもコレ、行きますか……九尾結界……『美麗化身』!!!」
剣を受け取った天狐は全身に妖力を込めて、氷華そっくりに変身した。
と、同時に桃悦が襲いかかってきた。
氷華はそれを察知し、液体窒素内に潜り込んでいった。
そしてそれを天狐が剣で受け止めた。
「へえ……もう1人の女は逃したんだね?」
「それはどうかな?」
と、そこに、氷華が上空から桃悦に襲いかかる。
そして氷華は、踵落としを桃悦に食らわせた。
「うおっ……」
桃悦は脳天にクリーンヒットされ、よろめいた。
天狐は鍔迫り合いの力が抜けたのを確認した上で、剣で腕を払い、踏み込んで斬りかかった。
桃悦はなんとか躱すが、氷華がすかさず、追撃でボディーストレートを放った。
桃悦は後ろに飛んで衝撃を殺したが、避けきれなかったために大きく後退した。
(雪宮さんが2人……!? どういうことだ、見た目も全く一緒……しかも息もピッタリ合っている……一体どうなっているんだ……!?)
桃悦は困惑していた。
これこそ天狐の狙い通りになった。
天狐は尚も追撃していくが、桃悦も実力者だ、左腕一本で天狐の剣技を捌いていった。
だが、桃悦の顔にフラストレーションが苛立ちとなって現れていた。
「忌々しい……!! 散れ!! 『強欲の炎』!!!」
桃悦は左手に妖力を込め、地面に放つ。
その妖力は半径5キロ以内に大爆発を起こし、沖縄の砂浜に轟音が響き渡った。
氷華達はなんとか耐え切り、氷華が反撃で技を放つ。
「闘神拳……『冷波・極小化』!!!」
氷華が真空刃を放つと、桃悦に襲いかかった。
散弾銃が身体中に浴びせかけるように。
桃悦は咄嗟に「塗壁」を生成し、この技をガードした。
だが、ここで氷華の「氷の闘神」の効力が切れかけた。
制限時間が迫っていた。
(マズイ……! ここで切れたら天狐の変身がバレる……!! だけどやるしかない!! 私が倒すんだ!! 石田くんを!!!)
氷華は咄嗟に天狐とアイコンタクトを取る。
任せろといった具合に天狐は頷いた。
氷華は「冷気付与」を天狐の毒の瘴気に向かって放ち、自身は天叢雲剣を抜いた。
「『乱れ吹雪』!!!」
「天叢雲剣剣術……『天神龍閃』!!!」
天狐の瘴気を囮に使い、氷華は桃悦を切り裂いた。
それと同時に「氷の闘神」の効力が切れ、元の姿に戻った。
だが、桃悦は踏みとどまる。
息は荒くなっていたが、闘志は萎えていないようだった。
「忌々しい……!! 忌々しい……………!!!! 何故僕の邪魔をする!!!」
桃悦は激怒していた。
ここまで自分が手こずっていることに、こうも想定外の事態が続いているのか、わからないことに。
「……貴方は『自分の考えが全て正しい』って……思っているんだと思う。だから……自分の過ちに気づけない……それが答えよ。」
氷華も息を切らしながら桃悦にそう返した。
「黙れ……!! 黙れ黙れ黙れェェェェェ!!!!」
桃悦は咆哮する。
自らを正当化するように、奮い立たせて。
「ああ……めんどくさい……もういいよ、何も喋るな……!! もうどうだっていい……!! 君はコイツで始末してやるよ……!! 簒奪全解放!! 『悪魔変化』ォォォォォォォ!!!!!」
桃悦は全身を悪魔に変貌させた。
より禍々しく、凶悪そうな見た目に。
「捩じ伏せてやる……!! 君の行為が愚かだということを刻み込んでやるよォォォォォォォ!!!!」
もはや桃悦の理性など有ってないようなものだった。
だが死線をくぐり抜けてきた氷華は、今更物怖じはしなかった。
「天狐、下がってて……あとは私に任せて。」
氷華の眼を見て、天狐は頷く。
「フフっ……あとは頼むよ、氷華。アイツに勝てるのは……アンタだけだから!」
天狐は元の人間形態に戻り、氷華に後を託すことにした。
そして氷華は、一度休ませた「氷柱錦」を解放した。
「貴方は私が止める……だから全力で貴方を倒す!!!」
巨大な鎌を生成し、構える氷華。
氷華と桃悦の戦いに決着が着こうとしていたのだった。
次回、決着がつきます。
どんな結末で終わるのか、御刮目ください。
多少長くなりますが、覚悟の上です。




