77th SNOW 鵺の本能
怜緒樹VS桃悦パート1。
さて、こっから第6章の本番や。
とはいっても前座なんだけどな、これ……ww
怜緒樹の戦闘シーンなんて牛鬼編以来だわ、マジで。
桃悦と怜緒樹はお互いに構える。
余裕綽々の桃悦に対し、怜緒樹は桃悦が何をするかが全く読めないでいた。
(しっかしどうすっかな……『簒奪者』なんてレアすぎてアタシでもやったことないしな……けれど夜は鵺の能力を持つアタシには時間帯的には有利……撹乱して到着を待つしかねえな……)
一息吐き、怜緒樹は黒雲を作り出した。
「へえ……君も刻印者か。」
お手並み拝見と言わんばかりの桃悦の表情、怜緒樹は鵺の狸と虎を解放する。
「テメーは強えって情報が入ってるからな……だったら初めっから全力で行かせてもらうぜ……?」
「ほー、なるほど。じゃあ見せてもらおうかね、君の実力を。」
桃悦は相変わらず余裕そうだ。
それくらい自分に自信を持っているというのがわかる。
怜緒樹は飛び込んだ。
「刻印術……『タイガーブレイク』!!」
黒雲を纏い、怜緒樹は右フックを放つ。
桃悦は左腕を顔面に上げて受け止める。
怜緒樹は続け様に左ボディを放った。
怜緒樹は尚も連打を仕掛けるが、桃悦がダメージを受けている様子もなく、むしろ涼しげに受け流しているようにも見えた。
(チッ……アタシの技を受け流す奴がいるなんてな……)
(ふーん……なるほど、鵺、か……ぶっちゃけあまり強い妖じゃあないけど……いい練度で鍛え上げられてるね……)
それぞれこう思っていたが、桃悦はまだ一回も攻撃をしていない。
「そんなものかい? 警官さん??」
「吐かせ。」
怜緒樹は一度距離を置き、猿も解放した。
「コイツでアドレナリンを分泌させるぜ………!! そんで食らいやがれ……! 『トラツグミ』!!」
怜緒樹のシャウトが響き渡り、甲高い声が砂浜中に聴こえてくる。
桃悦は思わず耳を塞いだ。
三半規管を強烈に刺激していくそのシャウト。
まともな人間なら立っていることは難しい。
「『増幅』……黒炭最大高度……!! 『ダイヤモンドタイガークラッシュ』!!」
耳を塞いだ隙を突き、怜緒樹は強烈な拳を5連打で叩き込んだ。
5発目の右アッパーがまともに桃悦のアゴに入り、怜緒樹は更に右回し蹴りで桃悦を後退りさせた。
しかし、桃悦にダメージは見受けられなかった。
「ヒュウッ……やるねえ……」
「舐めんじゃねえよ……アタシはコイツと10年以上も一緒に居たんだよ……!」
怜緒樹は奪ってばかりのお前とは違う、と言いたげだった。
桃悦はその言葉にも薄笑いを浮かべる。
まるで赤子の手を捻るくらい簡単な作業だと言いたげなくらいに。
「じゃあ僕も少しばかり行こうかね……? 簒奪・『両面宿儺』解放……!」
桃悦の脇腹から腕が左右一本ずつ生え、弓も同時に出現した。
そこから弓を引き、桃悦は矢を放った。
怜緒樹は難なく避ける。
しかし、桃悦は躊躇いなく矢を何発も何発も射る。
だが、流石に怜緒樹も全てを避け切ることは出来ない。
矢を右に流した怜緒樹だが、これを避けたところに別の矢が右脚にクリーンヒット。
「ぐあっ………!!」
激痛を覚え、怜緒樹は膝を突いた。
「やっぱり矢を避け出した時から思ったよ……幾ら刻印者とはいえど、鵺の本能が出てしまっているってね……それが君の弱点だよ。」
桃悦は怜緒樹の弱点が「矢」だと見抜いていた。
幾ら黒雲で身体を固めていようが、弱点だけは防げない。
甚振られるように矢を射られ続け、怜緒樹にもダメージが溜まって行った。
だが、目が慣れたのか、怜緒樹は左手で矢を掴み、もう一本を猿の牙で噛み折って受け止めた。
怜緒樹はすぐさま黒雲から分身を作り出し、勢いよく踏み出して「虚空閃」を繰り出し、桃悦を殴る。
「んおっ……思ったより対応が早いね……」
「コケにしてんじゃねえよ……! こっからだ、本番は……!」
怜緒樹は手負いになっていく中、目に闘志を宿らせていたのだった。
「だったらモード変更だ……『輪入道』に変更するよ……!」
桃悦も火がついたようで、臨戦は更に激化することになるのだった。
次回も引き続き桃悦と怜緒樹との戦い。
全開の戦いになるかなと思いますが、戦いのボルテージ的にはまだ着火した程度です。




